記事
漢方薬を長期間飲んでいる患者は大腸検査が必要?
公開. 更新. 投稿者:漢方薬/生薬.この記事は約3分46秒で読めます.
2,702 ビュー. カテゴリ:サンシシと腸間膜静脈硬化症
動脈硬化症はよく聞きますが、静脈硬化症というのはあまり聞かない。
動脈が硬くなれば、静脈も硬くなっているはず。
しかし、静脈が硬くなってもあまり困ることが無いからか、重い病気にはつながらないからなのか、単独の病名としては聞かない。
しかし漢方薬の副作用に、「腸間膜静脈硬化症」というのがある。
漢方薬の原料のひとつ、山梔子(さんしし)を服用していた症例が多く報告されている。山梔子に含まれるゲニポシドは回盲部、特に盲腸で腸内細菌のβ-グルコシダーゼにより加水分解されてゲニピンとなり、これがアミノ酸やタンパク質などと反応すると青色を呈する。これが大腸の着色、および腸間膜静脈の線維化・石灰化を起こすと考えられている。腸間膜静脈硬化症 – Wikipedia
腸間膜静脈硬化症を副作用にもつ漢方薬としては、
加味逍遙散(サイコ、シャクヤク、ソウジュツ、トウキ、ブクリョウ、サンシシ、ボタンピ、カンゾウ、ショウキョウ、ハッカ)
茵ちん蒿湯(インチンコウ、サンシシ、ダイオウ)
辛夷清肺湯(セッコウ、バクモンドウ、オウゴン、サンシシ、チモ、ビャクゴウ、シンイ、ビワヨウ、ショウマ)
黄連解毒湯(オウゴン、オウレン、サンシシ、オウバク)
荊芥連翹湯(オウゴン、オウバク、オウレン、キキョウ、キジツ、ケイガイ、サイコ、サンシシ、ジオウ、シャクヤク、センキュウ、トウキ、ハッカ、ビャクシ、ボウフウ、レンギョウ、カンゾウ)
五淋散(ブクリョウ、オウゴン、カッセキ、カンゾウ、ジオウ、シャゼンシ、タクシャ、トウキ、モクツウ、サンシシ、シャクヤク)
温清飲(ジオウ、シャクヤク、センキュウ、トウキ、オウゴン、オウバク、オウレン、サンシシ)
清上防風湯(オウゴン、キキョウ、サンシシ、センキュウ、ハマボウフウ、ビャクシ、レンギョウ、オウレン、カンゾウ、キジツ、ケイガイ、ハッカ)
防風通聖散(カッセキ、オウゴン、カンゾウ、キキョウ、セッコウ、ビャクジュツ、ダイオウ、ケイガイ、サンシシ、シャクヤク、センキュウ、トウキ、ハッカ、ボウフウ、マオウ、レンギョウ、無水ボウショウ、ショウキョウ)
竜胆瀉肝湯(ジオウ、トウキ、モクツウ、オウゴン、シャゼンシ、タクシャ、カンゾウ、サンシシ、リュウタン)
柴胡清肝湯(サイコ、オウゴン、オウバク、オウレン、カロコン、カンゾウ、キキョウ、ゴボウシ、サンシシ、ジオウ、シャクヤク、センキュウ、トウキ、ハッカ、レンギョウ)
清肺湯(トウキ、バクモンドウ、ブクリョウ、オウゴン、キキョウ、キョウニン、サンシシ、ソウハクヒ、タイソウ、チンピ、テンモンドウ、バイモ、カンゾウ、ゴミシ、ショウキョウ、チクジョ)
加味帰脾湯(オウギ、サイコ、サンソウニン、ソウジュツ、ニンジン、ブクリョウ、リュウガンニク、オンジ、サンシシ、タイソウ、トウキ、カンゾウ、ショウキョウ、モッコウ)
いずれも山梔子(サンシシ)を含む。
症状としては、腹痛、下痢、嘔吐など。
これらの漢方薬を長期服用している患者がたまたま大腸検査を行って、青くなっていたら気づくのだろうか。
しかし、多少下痢っぽい症状が続いても、腸間膜静脈硬化症を疑うのは難しいだろう。
追記
2018年2月13日に添付文書の改訂指示が出た。
サンシシ含有製剤は以下の漢方薬
清肺湯/防風通聖散/梔子柏皮湯/加味帰脾湯/竜胆瀉肝湯/五淋散/温清飲/荊芥連翹湯/柴胡清肝湯/清上防風湯/茵蔯蒿湯/黄連解毒湯/辛夷清肺湯/加味逍遙散
「重要な基本的注意」に
サンシシ含有製剤の長期投与(多くは5年以上)により、大腸の色調異常、浮腫、びらん、潰瘍、狭窄を伴う腸間膜静脈硬化症があらわれるおそれがある。長期投与する場合にあっては、定期的にCT、大腸内視鏡等の検査を行うことが望ましい
との記述が盛り込まれる。
5年以上同じ漢方薬を飲んでいる患者は要注意。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。