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タケルダは消化性潰瘍歴がないと処方しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約3分9秒で読めます.
5,241 ビュー. カテゴリ:タケルダの適応症
抗血小板薬のバイアスピリンを使うときに、胃の負担軽減のためにタケプロンなどの胃薬を併用する。
このバイアスピリンとタケプロンの合剤がタケルダ。
タケルダの適応症は、
下記疾患又は術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)
・狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)
・冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後
過去に胃潰瘍又は十二指腸潰瘍になったことのある患者さんにしか使えない。
しかし消化性潰瘍患者には禁忌なので、潰瘍が悪化したら中止。
ただ実際には、バイアスピリンとPPIの併用というのは、潰瘍歴のあるなしにかかわらず予防的に処方されることが多い。
タケプロンとバイアスピリンの併用についても、以下のように記載されている。
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合
血栓・塞栓の形成抑制のために低用量のアスピリンを継続投与している患者を投与対象とし、投与開始に際しては、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を確認すること。
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合
関節リウマチ、変形性関節症等における疼痛管理等のために非ステロイド性抗炎症薬を長期継続投与している患者を投与対象とし、投与開始に際しては、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往を確認すること。
消化性潰瘍の既往の確認は必須である。
しかし、タケプロンの適応症には逆流性食道炎などもあるので、わざわざ疑義照会までして確認することは無いだろう。
タケプロンなどのPPIが長期処方されている患者で、テキトーに全部逆流性食道炎とか病名付けて薬歴のアリバイを作っている薬剤師は、特にタケプロン+バイアスピリンからタケルダに変更になった際には、注意する。
ちなみにPPIの中でオメプラールには「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の適応症はない。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違いは?
食後に胃が痛くなるのは胃潰瘍。
空腹時に胃が痛くなるのは十二指腸潰瘍。
食事をすると痛みが治まるのは十二指腸潰瘍です。
胃炎と胃潰瘍の違いは?
胃炎と胃潰瘍の違いは病巣の深さです。
一般に、病巣が胃の壁の中にある粘膜筋板という層を越えない深さの炎症を胃炎とよびます。
一方、粘膜筋層を超えるほど深く胃壁の組織が欠損した状態を胃潰瘍とよびます。
症状にはっきりした違いは無いので、胃カメラで確定診断します。
消化性潰瘍
潰瘍とは、粘膜から粘膜下層、さらにそれよりも深部までの組織が障害されなくなった状態をいいます。
胃にできると胃潰瘍、十二指腸にできると十二指腸潰瘍といいます。
正常な胃は強い胃酸や消化酵素(ペプシン)にさらされながらも潰瘍になりません。これは、さまざまな仕組み(防御機構)が備わっていて胃をしっかりと守っているからです。
では、消化性潰瘍はどうしてできるのでしょうか。以前は、酸やペプシンなどの攻撃因子と粘膜の血流や粘液などの防御因子のバランスが崩れて攻撃因子の方が優勢になった場合に潰瘍が生じるというバランス説で説明されてきましたが、バランスが乱れる原因についてはよくわかっていませんでした。
現在ではそのバランスを乱して潰瘍を起こす最大の原因は、ピロリ菌の感染であると考えられています。ピロリ菌の次に重要な原因は消炎鎮痛薬(NSAID)などの薬剤であり、現在では胃潰瘍のほとんどはこの2つのどちらか、あるいは両方が原因となっています。
胃のなかには塩酸があるため、胃の粘膜は酸に強く、簡単には消化されない構造になっています。そのため、少々酸分泌が増えたからといって潰瘍ができることはありません。しかし、酸から胃粘膜を防御している機構に異常が生じれば、容易に潰瘍が形成されます。
そのため、胃潰瘍では過酸症の人は少なく、むしろ低酸症が多いといわれています。
これに対して、十二指腸の粘膜には、酸に対する防御機構が十分に備わっていないので、過酸症があれば十二指腸潰瘍が生じやすくなります。
そのため、若くて胃酸分泌が活発な世代に十二指腸潰瘍が多くみられるのに対し、高齢になり動脈硬化などで胃粘膜への血液の供給が滞ってくると胃潰瘍を生じやすくなります。
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