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ピルは休薬しない方が良い?
公開. 更新. 投稿者: 70 ビュー. カテゴリ:月経/子宮内膜症.この記事は約6分49秒で読めます.
目次
低用量ピルの休薬期間は必要なのか?

低用量ピルでは、「21日間飲んで7日間休薬」という飲み方がよく知られている。
28錠タイプでは7日分がプラセボになっている製品もあり、実質的には同じことである。
しかし最近では、休薬期間を短くした製剤や、長期間連続して服用する製剤も使われている。
では、そもそもピルにはなぜ休薬期間が必要なのだろうか。
毎月休薬して出血を起こすことに意味はあるのだろうか。
なぜピルは21日飲んで7日休む?
低用量ピルの代表的な服用方法は、
「21日実薬+7日休薬」
である。
休薬期間に入ると、エストロゲンとプロゲスチンの作用がなくなることで子宮内膜が剥がれ、「消退出血」が起こる。
一見すると通常の月経と同じようにみえるが、排卵後に起こる自然な月経とは仕組みが異なる。
では、なぜわざわざ休薬して出血を起こす必要があるのか。
実は、ピルを服用している人が健康を維持するために「毎月出血する必要がある」というわけではない。
ピルの休薬は「体を休ませるため」ではない
患者から、
「ずっとピルを飲んでいて大丈夫ですか?」
「休薬期間は体を休ませるためですか?」
と聞かれることがある。
しかし、休薬は「薬を飲み続けると体に悪いから設けられている期間」というわけではない。
休薬によって毎月消退出血を起こすこと自体が、医学的に必須というわけでもない。
そのため現在では、
「毎月出血させなくてもよいのではないか」
という考え方から、休薬回数を減らした「連続投与」「延長周期投与」が行われるようになっている。
休薬すると何が起こる?
休薬するとホルモン濃度が低下し、消退出血が起こる。
しかし同時に、それまで抑制されていた卵巣の活動も再び動き始める方向へ向かう。
そのため、避妊目的の低用量ピルでは特に、
休薬期間を必要以上に長くしない
ことが重要である。
休薬期間の前後で実薬を飲み忘れると、実質的な休薬期間が延びてしまう。
「休薬後の新しいシートを飲み始めるのを忘れた」というケースに注意が必要なのはこのためである。
7日間休薬しなくてもいい?
従来は「21日+7日」が一般的だったが、現在では休薬期間を4日間にした製剤もある。
例えばヤーズ配合錠は、
24日間実薬+4日間プラセボ
という服用方法である。
さらにヤーズフレックス配合錠では、毎月休薬する必要すらない。
最長120日間連続して服用し、その後4日間休薬する方法が認められている。
つまり、
「21日+7日」
だけがピルの絶対的な飲み方というわけではない。
休薬しないメリット
休薬回数を減らす最大のメリットは、出血回数を減らせることである。
月経困難症の患者にとっては重要な意味を持つ。
月経に伴って、
- 下腹部痛
- 腰痛
- 頭痛
- 悪心
- 倦怠感
などが起こるのであれば、そもそも出血する回数を減らすことで、それらの症状が起こる機会も減らせる可能性がある。
特に月経困難症や子宮内膜症では、毎月消退出血を起こすことに積極的なメリットは乏しい。
そのため、治療目的では連続投与が有用な選択肢となる。
休薬期間に頭痛が起こる人もいる
休薬期間そのものが症状の原因になる場合もある。
実薬服用中は一定だった女性ホルモンの状態が、休薬によって急激に変化する。
こうしたホルモン変動が頭痛などの症状に関係することがある。
「ピルを飲んでいる間は調子がいいのに、休薬期間になると頭痛がする」
という場合には、休薬によるホルモン変動が関係している可能性も考えられる。
では休薬しない方が良い?
ここまで読むと、
「それなら休薬しない方が良いのでは?」
と思う。
実際、月経困難症の治療という観点では、長期間連続して服用する方法にはメリットがある。
日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」でも、28日周期で休薬期間を設ける周期投与より長期間連続投与のほうが疼痛日数を減少させるとの報告が紹介され、連続投与が推奨されている。
ただし、
「休薬しない方が良い」=「どのピルでも休薬を飛ばして飲めばよい」
ではない。
ここは分けて考える必要がある。
自己判断で休薬を飛ばしてはいけない
ピルと一口にいっても、製品によって承認されている服用方法が異なる。
21日服用して7日休薬する製品もあれば、24日服用して4日間休薬する製品、長期間連続投与できる製品もある。
また「ピル」という言葉には、避妊目的のOCと月経困難症などの治療に用いるLEPが混同されていることもある。
したがって、
「休薬は不要らしいから、次のシートをそのまま飲もう」
と患者が自己判断で服用方法を変更するのは適切ではない。
処方された製剤の用法に従うことが基本となる。
連続投与すると出血しなくなる?
連続投与すれば必ず出血しなくなるわけではない。
むしろ連続投与では、
不正出血(破綻出血・点状出血)
が起こることがある。
特に連続投与を始めた初期には、不規則な出血がみられることがある。
そのため「休薬しなければ一切出血しない」と説明するのは適切ではない。
連続投与を続けることで出血が減っていく場合もあるが、出血が続く場合には一定期間休薬する方法が用いられることもある。
例えばヤーズフレックスでは、24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与し、25日目以降に3日間連続して出血した場合には4日間休薬する。
また、出血がなくても120日間連続投与したら4日間休薬する。
「生理を止めると血がたまる」は誤解
連続投与について患者が心配することの一つに、
「生理を止めてしまったら、子宮の中に血がたまるのでは?」
というものがある。
しかし、ピルによって子宮内膜の増殖自体が抑えられている。
つまり、
出血すべき子宮内膜が毎月どんどん蓄積しているわけではない。
そのため「定期的に出血させないと古い血が体内にたまる」というイメージは適切ではない。
患者への説明では、この点を伝えるだけでも連続投与への不安を軽減できるだろう。
休薬期間は短い方が避妊には有利?
避妊という観点からも、休薬期間を必要以上に延長することは望ましくない。
休薬期間が長くなれば卵巣の活動が回復しやすくなるためである。
特に注意したいのが、
「休薬期間+飲み忘れ」
である。
例えば7日間休薬した後、新しいシートの開始を2日忘れれば、ホルモンを服用していない期間は9日間になる。
そのため、実薬の飲み忘れは休薬期間の前後で特に問題となる。
逆にいえば、休薬期間を短縮したり減らしたりする服用方法には、卵巣抑制を維持しやすいという側面もある。
「休薬=必要な生理」ではない
ピルの休薬について理解するうえで最も重要なのは、
休薬期間の出血を「正常な月経を起こしている」と考えないこと
だろう。
ピル服用中の消退出血は、自然な排卵周期による月経とは異なる。
そして健康のために毎月この出血を起こさなければならないわけでもない。
そのため現在では、
「毎月休薬して出血させる」
だけではなく、
「休薬する回数を減らして出血そのものを減らす」
という治療方法も選択されるようになっている。
まとめ
「ピルは休薬しない方が良い?」という問いに対して、単純に「はい」と答えることはできない。
ただし、毎月休薬して消退出血を起こすことが医学的に必須というわけではない。
特に月経困難症では、休薬回数を減らした連続投与によって疼痛日数などを減らせる可能性があり、日本のガイドラインでも連続投与が推奨されている。
一方、連続投与では不正出血が起こることがあり、製品によって認められている服用方法も異なる。
したがって、
「休薬は体を休ませるために必要」でもなければ、「休薬は全部なくした方が良い」でもない。
患者の目的や症状、使用する製剤に応じて、周期投与と連続投与を使い分けることが重要である。



