2024年11月22日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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SGLT2阻害薬は朝飲まなきゃダメ?

SGLT2阻害薬の用法は?

続々とSGLT2阻害薬が発売されているようですが。
あまり処方をみかけないので、一番手のスーグラくらいしか名前でピンと来ない。

スーグラ(イプラグリフロジン)、フォシーガ(ダパグリフロジン)、ルセフィ(ルセオグリフロジン)、デベルザ(トホグリフロジン)、アプルウェイ(トホグリフロジン)、カナグル(カナグリフロジン)。
フロジン系とか呼ぶのかな。フロジン液が思い浮かんでしまうな。

スーグラ、ルセフィ、デベルザ、アプルウェイ、カナグルの用法は、「1日1回朝食前又は朝食後」となっており、服用時点が朝と定められている。
これは、SGLT2阻害薬に利尿作用があるためと勉強会で言っていた。

しかし、フォシーガの用法は「1日1回」とだけで服用時点は定められていない。

他の薬と比べて利尿作用に差があるとは思えないけど。
他のSGLT2阻害薬も夕食後に飲んでも問題ないのかなあ、と思う。

なので、なし崩し的に他のSGLT2阻害薬も朝に限らず処方されてきそうな感じ。

SGLT2阻害薬の利尿作用

尿中ブドウ糖排泄促進作用により浸透圧利尿作用が働き、尿量増加による頻尿、多尿がみられる。それにより体液量が減少し軽度の脱水症状を起こすおそれがある。

高齢者では口渇を感じにくくなっているので脱水を引き起こしやすく、電解質異常、血管障害(脳梗塞や心筋梗塞)の危険性が高くなる。口渇感がなくても毎日の十分な水分を摂取するよう指導する。下痢や発熱などのシックデイ時や夏場の高温下での発汗時にも注意する。

SGLT2阻害薬と脱水と脳梗塞

SGLT2阻害薬については、副作用による脱水について注意喚起されている。スーグラの添付文書には以下のように書かれている。

本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。脱水、血圧低下等の異常が認められた場合は、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者や利尿剤併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。

SGLt2阻害薬はグルコースの再吸収に関わる主要な経路であるSGLT2を選択的に阻害して、循環血中で余剰となったグルコースを尿とともに排泄することにより、血糖値を低下させる。SGLT2阻害薬の臨床試験データを概観すると、1日あたりおよそ40~80gのグルコースを尿中に排泄することになる。

SGLT2は血糖が高い時に近位尿細管に高発現してグルコースの再吸収を亢進させる。一方、血糖が低い状態ではSGLT1を介したグルコースの再吸収量が増加するとされている。食後の高血糖を脱した後は、SGLT1によるグルコースの再吸収が亢進すると期待されることから、SGLT2を選択的に阻害すれば、低血糖をきたすリスクも低減できる可能性がある。

一方、SGLT2の阻害によりグルコースの尿中排泄量が増加すると、浸透圧性利尿作用が働いて、水分の排出も増加する。SGLT2阻害薬により1日あたり200~400mL程度尿量が増加するといわれている。

尿量が増加して体液量が減少すると、脱水から血液の濃縮が起こり、それが脳梗塞を含む血栓塞栓症など、重篤な心血管系合併症を発症するリスクを高めると指摘されている。

特に夏場の水分補給については、注意を促すように指導したい。

処方例

カナグル錠100mg 1錠  
 1日1回朝食前 30日分

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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