記事
アイピーディが膀胱炎に効く?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約4分17秒で読めます.
6,513 ビュー. カテゴリ:アイピーディと間質性膀胱炎
アイピーディが膀胱炎に効くのはなぜ?
アレルギー疾患の治療薬アイピーディが間質性膀胱炎に適応外処方されることがあるようです。
大鵬薬品は間質性膀胱炎の適応追加で臨床試験を進めていましたが、プラセボ投与群と比較して優越性を検証できず臨床試験を中止したとのこと。効果のほどは不明です。
間質性膀胱炎は膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い、頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱不快感・膀胱痛などの症状があり、約90%が女性です。
通常の膀胱炎は細菌感染によって膀胱粘膜の表面が炎症を起こすので尿に異常が出るが、間質性は粘膜の深い所で病変が起こるので尿検査で通常は異常を認めない。間質性膀胱炎の明確な原因は不明だが,膀胱上皮に接着した炎症性サイトカインが炎症の遷延に関与している可能性がある。
抗アレルギー薬のアイピーディは。ヘルパーT細胞(Th2)サイトカインからのインターロイキン4(IL-4)および IL-5産生抑制作用等を有し、アレルギー性炎症の改善作用があるため、使用することがある(保険適応外使用)。
現在、間質性膀胱炎に対して保険が適用される内服薬はない。
精神的ストレスが症状の悪化につながることが知られており、アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール)などの三環系抗うつ薬が適応外使用される。
また、ヒスタミンなどのメディエーターが関与しているとの考えから、抗アレルギー薬のスプラタストトシル酸塩(アイピーディ)が適応外使用される。
このほか、中枢抑制作用を持つ抗アレルギー薬のヒドロキシジン塩酸塩(アタラックス)や、三環系抗うつ薬のアミトリプチリン塩酸塩(トリブタノール)、イミプラミン塩酸塩(トフラニール)も、しばしば処方される。
間質性膀胱炎の症状悪化には精神的ストレスが関係していることが知られており、アミトリプチリンの抗不安作用が有用と考えられている。
アミトリプチリンはまた、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを抑制することで、中枢神経の痛み刺激伝達を抑制(下行性疼痛抑制系の賦活)し、鎮痛作用を発揮する。
このほか、ナトリウムチャネル遮断作用やカルシウムチャネル遮断作用などもあり、末梢レベルでも神経傷害性疼痛を抑制することが明らかにされており、膀胱痛の改善が期待できる。
膀胱筋の萎縮を緩和する作用もあるので、頻尿や尿意切迫感の改善が期待できる。
スプラタストは、免疫グロブリン(Ig)E抗体の産生や好酸球の浸潤を抑制することにより、間質性膀胱炎の炎症を抑え、症状を改善すると考えられている。
膀胱炎にウワウルシが効く?
ドラッグストアに膀胱炎の薬を求めてくるお客さんがたまにいる。
膀胱炎に使う薬、って抗生物質じゃなきゃ治らないんじゃね、と思いますが。
非細菌性の膀胱炎であれば、漢方薬もアリかと思いますが、細菌性の膀胱炎に漢方薬使うのもどうなのかなあ。
たとえ、抗菌作用のある漢方薬、生薬があったとしても、その抗菌作用はたかが知れているだろうし。
症状を抑えることで、受診が先延ばしになって状態が悪化するという事態は避けたいけど。
ベアベリックスは、細菌感染しやすい尿路を消毒し、排尿時の不快感や残尿感を改善する植物性製剤です。
欧米やアジアの寒冷地や高地に自生する、抗菌作用のある薬用植物ウワウルシを有効成分としています。
水にサッと溶け手軽に服用できる「溶かしてのむ顆粒タイプ」のドライシロップ剤。排尿時に不快感を感じたら、早めにしっかりケアすることが大切です。ベアベリックスは、尿トラブルに悩む人の生活改善薬として、快適な生活を応援します。ベアベリックス-製品情報【エスエス製薬】
ウワウルシってのが、生薬で、抗菌作用も持っているらしく。
腎仙散という漢方薬にもウワウルシが入っている。
「腎仙散」には15種類の生薬エキスが配合されていますが、その中でもタクシャ、チョレイ、ブクリョウ、ソウジュツ、ケイヒは強い利尿効果を持つといわれる漢方「五苓散(ごれいさん)」の処方生薬です。五苓散は、余計な水分が体内にたまって起こるさまざまな症状を改善させる効能を持ち、下痢や口の渇き、ムクミといった症状にも効果があります。五苓散に加えて、抗炎症効果を持つウワウルシなどを配合することで、膀胱炎への対処能力を強めたお薬が「腎仙散」といえるでしょう。以前は膀胱炎に効果のある抗菌薬が薬局で販売されていたのですが、現在は、効果のある一般用医薬品は生薬エキス製剤だけになりました。女性が知っておきたい疾患・膀胱炎と市販薬 [知っておきたい常備薬] All About
ドラッグストアに勤めているといろんな患者さんが来るので。
とりあえずの対応としては、ウワウルシを勧めてみようかな。
予防にクランベリージュースとかも聞きます。
膀胱炎に漢方薬は効く?
膀胱炎というと細菌感染が原因なので、抗菌剤を処方しなければ意味がないと思ってしまいますが、非細菌性の慢性膀胱炎というのも多いそうです。
そんなときには漢方薬を使うこともあります。
膀胱炎に使われる漢方薬としては、五淋散、清心連子飲、猪苓湯、龍胆瀉肝湯あたりか。
小林製薬からは五淋散を「ボーコレン」という商品名で販売しています。
さすがのネーミングです。
クランベリージュースと飲み合わせの悪い薬は?
膀胱炎にクランベリージュースを飲んでいる、という患者さんがいました。
クランベリージュースは、欧米では古くから尿路感染症に対する効果が知られており、細菌の付着を直接抑制すること、尿のpHを下げ細菌の増殖を抑えること、またこれらの効果にはいくつもの成分が関与していることが示唆されています。
クランベリージュースとの飲みあわせで注意する薬はワルファリンです。
ワルファリンとの相互作用の作用機序の詳細は不明ですが、クランベリージュース中の何種類かのフラボノール配糖体によりワルファリンのCYPを経由する代謝(主にCYP2C9)を阻害しているのではないかと推測されています。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。