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喘息とCOPDの違いは?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約7分18秒で読めます.
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気管支喘息とCOPDの違いは?
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。
このCOPDと気管支喘息は、いずれも慢性の炎症性呼吸器疾患で、閉塞性換気障害により呼吸困難症状が見られる。
ただし、喘息では主としてアレルギー反応により気道炎症が惹起されるのに対し、COPDはたばこの煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入することで、炎症が引き起こされると考えられている。
疫学的には、喘息は小児から高齢者まで全年齢層で発症するが、COPDは40歳以上の中高年層に多いという特徴がある。
臨床的には、喘息は可逆性のある気道狭窄で、発作性の咳や呼吸苦を呈し、日内変動(夜から早朝にかけて発作が起こりやすい)や季節変動がある。
一方、COPDは喘息に比べて可逆性に乏しいため、発作性に症状が出ることは少なく、労作時に息切れなどの症状が強く出る。
病理組織学的には、喘息はCD4陽性T細胞から放出されるTh2系サイトカインにより局所に誘導される好酸球や肥満細胞による気道炎症であるのに対し、COPDにはCD8陽性T細胞やマクロファージ、好中球が関与しているとされる。
喘息とCOPDの違い
COPDと喘息の鑑別は難しい例もありますが、一般的に、喘息は発作性の呼吸困難、喘鳴が特徴で、夜間や早朝に出現しやすいといった日内変動がみられるのに対し、COPDは、咳や痰のほか、歩行や階段昇降時、入浴時などの日常生活の様々な場面で息切れがみられるのが特徴です。
夜の咳は喘息で、昼の咳はCOPDといわれます。
【気管支喘息】
・喘息は気道の慢性炎症性疾患
・炎症によって気道過敏性の亢進が生じ、喘鳴や息切れ、胸部圧迫感などの症状が「夜間から早朝にかけて」起こるのが特徴
・夜間の症状に気づいていなかったり、診察室で夜間症状についてきちんと言えない患者さんもいる
【COPD】
・慢性閉塞性肺疾患のことを、英語のChronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字からCOPDと呼ぶ
・COPDはタバコ煙の吸入を主原因とする肺の炎症性疾患であり、進行性に気流閉塞が進み、呼吸困難などの症状が「労作時に」生じることが特徴
・初期症状において、動いた後に苦しくなるところが喘息との違いである
・COPDは症状のみならず、肺機能検査が必須である(1秒率が70%未満をCOPDと診断)
薬物治療
そのため、両疾患の薬物治療に使用される薬剤は異なっている。
好酸球性の炎症疾患である喘息の管理は吸入ステロイドが中心で、これにロイコトリエン受容体拮抗薬、気管支拡張薬、抗アレルギー薬などを組み合わせる。
一方のCOPDの管理には気管支拡張薬が用いられる。
気管支拡張薬には抗コリン薬、β2刺激薬、メチルキサンチンの3種類があるが、2009年に発表された日本呼吸器学会の「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版」では、安定期のCOPDに対する第一選択薬として、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)または長時間作用型β2刺激薬(LABA)が推奨されている。
これに、労作時の呼吸困難など必要時に応じて短時間作用型の気管支拡張薬(SAMA、SABA)を使用する。
前立腺肥大症や緑内障を併存していて抗コリン薬を使えない患者には、SABAやLABAが用いられることが多い。
以上のように、COPDと喘息は全く異なる疾患であり、薬物治療も異なると考えられてきた。
しかし喘息が重症化して気道のリモデリングなどにより気流閉塞の可逆性が失われた症例、喘息とCOPDで好中球に加えて好酸球も関与している症例など、典型例と異なり両疾患の鑑別が難しい症例も少なくない。
実際、両疾患の適応を持つ薬剤もある。
気管支喘息と肺気腫
気管支喘息と肺気腫の違いは、喘息が気管支の炎症という気管支だけの病変であるのに対して、肺気腫は細気管支や肺胞の破壊を伴う肺実質に病変の主座をおく疾患であるということです。
木に例えていうと、喘息は幹や枝の部位の病気、肺気腫は葉っぱのつけ根か、葉の病気ということになります。
肺気腫の症状としては咳、痰、息切れ、呼吸困難、喘鳴などは喘息と全く同じようなことがあります。喘息は発作性で、よくなったり、悪くなったり(よい時は健常人と変わらない)、治療によく反応します肺気腫は寒さや、冬場で悪化し、呼吸困難が慢性的で大きな改善がありません。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患です。
呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示し、通常は進行性です。
臨床的には労作時の呼吸困難 (息切れ) や慢性の咳、痰などを特徴としますが、これらの症状に乏しい場合もあります。
慢性気管支炎(末梢気道病変)と肺気腫(気腫性病変)のうち、気流閉塞を伴うものをCOPDといいます。
COPDの気流閉塞は、末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用して起こるため、その病型として気腫性病変が優位な気腫型COPD、末梢気道病変が優位な非気腫型COPDがあります。
長期にわたる有害な粉塵やガスの吸入暴露(ほとんどは喫煙暴露)によって肺に異常な炎症が惹起され、肺胞構造の破壊による気腫病変と、気管支、とくに細気管支の壁肥厚および粘液過剰産生による気道病変を併せもつ疾患で、40歳以上の喫煙歴を有する高齢者に多くみられる。
気管支拡張薬および吸入ステロイド(ICS)を含む治療においても完全には正常化しない不可逆性の気流閉塞(閉塞性換気障害)を特徴とする。
気流閉塞は年単位で徐々に進行し、労作性呼吸困難をきたし、日常生活動作が厳しく制限される。
また、病期の進行とともに低酸素血症をきたし呼吸不全に至る。
炎症は肺だけに留まらず、全身性にも影響を及ぼし、栄養障害、骨格筋の機能障害、心血管病、骨粗鬆症など多くの併存症を引き起こす。
喫煙者の約20%弱に生じ、有病率は40歳以上の日本人の8.6%、約540万人が罹患しているが、そのうち4%しか診断および治療を受けていない。
【慢性気管支炎(末梢気道病変)】
喀痰症状が年に3か月以上あり、それが2年以上連続して認められていることが基本条件となる。
※この症状が他の肺疾患や心疾患に起因する場合を除く。
【肺気腫(気腫性病変)】
終末細気管支より末梢の気腔が肺胞壁の破壊を伴いながら異常に拡大しており、明らかな線維化は認められない病変を指す。
COPDは長年の喫煙習慣による肺の生活習慣病であり、慢性の咳と痰、労作時呼吸困難を特徴とします。
40歳以上の日本人のCOPD有病率は8.6%と推測されているが、その大部分が未診断、未治療の潜在患者である。
その理由としては、早期診断の難しさがあげられる。
禁煙がすべての治療に優先されます。
中等症以上では、第一選択薬として長時間作用性抗コリン薬または長時間作用性β2刺激薬を投与し、重症度に応じて段階的に治療法を増強する。
吸入ステロイド薬は、おおむねⅢ期以上の気流閉塞を有し、増悪を繰り返す症例において併用する。喘息合併例では、治療開始時から投与する。
COPDの定義
・タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた、肺の炎症性疾患
・呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す
・気流閉塞は、末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に作用することにより起こる
・通常は進行性
・臨床的には徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の積、痰を特徴とするが、これらの症状に乏しいこともある
COPDの症状
【呼吸困難】
・呼吸困難は最も特徴的な症状の1つであり、最初は労作時にみられる。症状は持続的で進行性があり、呼吸機能が悪化すると日常生活動作時や安静時にも呼吸困難が生じ、QOLが低下する原因となる。
【慢性の咳】
・咳は最初のうちは間欠的であるが、のちに毎日みられるようになり、1日中持続することもある。一方で、気流閉塞が顕著でも咳がない場合もある。一般的には喀痰を伴うことが多いが、乾性咳のこともある。
・激しい咳は咳嗽失神や肋骨の骨折につながることもある。
【慢性の喀痰】
・患者によっては痰を喀出せずに飲み込んでいることもあり、喀痰症状を正確に評価することは難しい。
・大量の喀痰がある場合は、気管支拡張症が疑われる。また、膿性の喀痰は、白血球の存在を反映しており、気道感染や増悪の徴候の可能性がある。
【喘鳴】
・喘鳴は、日や時間によって変動する。一般に、重症や最重症のCOPD患者でみられることが多く、喘息や心不全との鑑別を必要とする。聴診時には、断続性ラ音でやや低調なcoarse cracklesや連続性ラ音などの副雑音を認める。
【樽状胸郭、胸郭の拡張】
・COPDによる肺の過膨張によって、肋骨が水平になる樽状胸郭(barrel chest)となり、腹部が突出する。 また、気管の短縮を認める場合もある。
【呼吸の異常】
・浅く速い呼吸は呼気が延長し、促迫する。呼吸音(とくに肺胞呼吸音)が減弱することもある。
・口すぼめ呼吸(気道内圧を高めることで呼気時の気流閉塞を緩和する)が自然にみられる場合がある。
・呼吸補助筋(胸鎖乳突筋、斜角筋など)の肥厚や、呼気時の肋骨や鎖骨上窩の陥入がみられる。
・最重症例ではHoover徴候(呼気時に下部胸郭が拡張せず、逆に陥凹する)がみられる。
【チアノーゼ】
・チアノーゼは口唇、顔面、指尖などで観察されるが、低酸素血症以外にも静脈うっ血、心拍出量減少、末梢血管収縮などでみられる。
【呼吸不全の徴候、右心不全の徴候】
・COPDでは早期から肺血管病変が認められ、気流閉塞・低酸素血症が進行すると肺高血圧症となる。持続的な肺高血圧症は、右室の肥大と拡張をもたらし肺性心と呼ばれる状態となる。
・頸静脈の怒張、肝腫大、下腿浮腫などがあれば、右心不全や呼吸不全を疑う。
【ばち指】
・ばち指がみられる場合は、肺癌の合併にも注意が必要となる。
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