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ワーファリンとNSAIDsを併用しちゃダメ?
公開. 更新. 投稿者:脳梗塞/血栓.この記事は約4分36秒で読めます.
7,245 ビュー. カテゴリ:ワーファリンとNSAIDsを併用しちゃダメ?
ワルファリンは血中のアルブミンと非可逆的に結合するが,蛋白結合率が90~99%ときわめて高い。
また,アルブミンとの主要結合部位は 1~3ヵ所とされるが、いずれも親和性が低いため、アルブミンとの親和性が高く結合率が高い他の薬剤の影響を受けやすく,併用により容易に結合部位を置換され、遊離型の薬剤が増加して作用が増強されることが多い。ワルファリンとの蛋白結合の置換による相互作用が報告されている薬剤としては、アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬、クロフィブラート、スルホニル尿素系血糖降下薬など多くの薬剤があり、幅広い注意が必要となる。
NSAIDsの蛋白結合率も高いので、併用には注意を要する。
ボルタレンの蛋白結合率は99.7%。
セレコックス97%。
ハイペン 98.6~98.9%。
ロキソニン97%。
アスピリン80~90%。
軒並み高い。
ちなみにアセトアミノフェンの蛋白結合率は8~40%。
わざとパラミヂンを併用して、ワーファリンの血中濃度を上げることもあります。
ワーファリンと少量アスピリンの併用はざらに行われますし。
ワーファリン服用中の患者がOTCを買いに来た時は注意が必要です。
ワーファリンとブコロームをあえて併用する?
ワルファリンを1日5mg以上に増量しても目的とする効果が得られず、それ以上に増量すると、出血などの副作用が懸念されることがあります。
そういった場合に、ワルファリンの用量を抑える目的で、抗炎症作用と尿酸排泄促進作用を持つブコローム(パラミヂン)が併用されることがあります。
パラミヂン(ブコローム)はワルファリンを血漿蛋白から遊離させて作用を増強する。
パラミヂンを併用することで、ワーファリンの代謝を阻害することによりワーファリン投与量を少なくし、かつ安定した治療域を保つことができるとした報告例がある。
パラミヂンの併用でワルファリンの効力が強くなるのは、ブコロームがCYP2C9を競合阻害することによって、ワルファリンの代謝速度を遅くし、抗凝固作用を増強するためだと考えられています。
しかしながら、この目的でパラミヂンをワーファリンと併用することは適応外使用である。
両薬の適応症が異なることに十分留意するとともに、併用によりINRが治療域を逸脱して上昇し、出血を来した症例の報告もあるので、定期的な血液凝固能検査を行うことが必要である。
血漿タンパク結合率
ワルファリンは血中で90~99%がアルブミンと可逆的に結合している。
その他の蛋白結合率の高い薬剤であるエトトイン、バルプロ酸ナトリウム、非ステロイド性消炎鎮痛薬などについても、併用による蛋白結合の置換に対して注意が必要である。
この蛋白結合率の相互作用を利用して、ワルファリンとNSAIDsの一種であるブコロームが併用される場合がある。
ただ、ブコロームはワルファリンの血漿タンパクとの結合置換だけでなく、CYP2C9の代謝活性を阻害することから、ワルファリンが低用量で効果を発揮するとされている。
ただ、PT-INR値が不安定になるという指摘もあり、以前いわれていたほど臨床的有用性は高くないのではとの指摘もある。
ワーファリンと併用する場合のパラミヂンの用量は?
ワーファリンとブコロームの併用時の投与量は確立されていないが、ワルファリンは1mgから必要に応じて漸増するのが望ましいとされている。
ブコロームは用法用量は、通常1日600 ~1200mgの2~4回の分割投与だが、ワルファリンの作用増強目的では、1日300mg の1 回投与が一般的なようである。
なお、ブコロームによるワルファリンの作用増強の機序は、血液中において、蛋自結合能を持つブコロームがワルファリンのアルブミンへの結合を競合的に阻害し、遊離型ワルファリンが増加するという仮説で説明されてきた。
しかし近年は、むしろ肝薬物代謝酵素チトクロームP450 (CYP) 2C9 に対するブコロームによるワルファリンの競合阻害が主因とする説が有力である。
ワーファリンとアセトアミノフェン
ワーファリンを飲んでいる患者がもしドラッグストアに鎮痛剤や風邪薬を買いに来たら。
アセトアミノフェンなら大丈夫だろう、と思って売ってしまうかも知れない。
しかし、ワーファリンの添付文書にはアセトアミノフェンとの相互作用の記載もあり、
薬効分類:解熱鎮痛消炎剤
アセトアミノフェン
臨床症状・措置方法 本剤の作用を増強することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。
機序・危険因子 機序不明
アセトアミノフェンの蛋白結合率は低めですが、別な相互作用の機序の1つとして、アセトアミノフェンの中間代謝物がビタミンK 依存性カルボキシラーゼを阻害することでビタミンK依存性因子Ⅶ の生成が減少するため、凝固作用が減弱しワルファリンの作用が強く表れると考えられる。
ワーファリン服用患者には余計な薬は売らないほうが無難。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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