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アフターピルとピルの違いは?― 緊急避妊薬と低用量ピル、何がどう違うの?
公開. 更新. 投稿者: 81 ビュー. カテゴリ:妊娠/授乳.この記事は約5分32秒で読めます.
目次
アフターピルとピルの違いは?― 緊急避妊薬と低用量ピル、何がどう違うの?

2026年2月2日から、緊急避妊薬(いわゆるアフターピル)の一つであるノルレボが、一定の条件のもとで薬局でも販売できるようになります。
このニュースをきっかけに、
・アフターピルって何?
・ピルとはどう違うの?
・「早く飲め」と言われるのはなぜ?
と疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
実は、アフターピル(緊急避妊薬)と低用量ピル(経口避妊薬)は、名前が似ているだけで役割はまったく別の薬です。
妊娠の仕組みから制度上の背景まで含めて、勉強していきます。
妊娠はどのように成立するのか
まず、妊娠の基本的な流れを整理しておきましょう。
妊娠は、
・排卵(卵巣から卵子が放出される)
・受精(卵管で卵子と精子が出会う)
・着床(受精卵が子宮内膜に入り込む)
という段階を経て、着床が完了した時点で「妊娠成立」と定義されます。
つまり、
受精しただけでは妊娠ではありません。
排卵日前後に妊娠しやすいのはなぜ?
妊娠しやすさを考えるうえで重要なのが、卵子と精子の寿命です。
・卵子の寿命:約24時間
・精子の寿命:約3~5日
このため、
・排卵日の数日前に性行為があっても
・体内に残った精子が
・排卵を待って受精する
ということが起こります。
その結果、
排卵日の約5日前から排卵当日までが、最も妊娠しやすい時期になります。
生理と排卵の関係
よく、
「生理は排卵から14日後にくる」
「生理中は妊娠しにくい」
と言われますが、これは概ね正しい理解です。
排卵後から次の生理までの期間(黄体期)は、
多くの女性で約14日間と比較的一定です。
そのため、
排卵 → 約14日後 → 生理
という流れになります。
生理中はすでに前周期の排卵が終わっているため、
原則として妊娠しにくい時期です。
ただし、
・生理周期が短い
・排卵が早まる体質
の場合は、生理中の行為でも妊娠の可能性がゼロとは言い切れません。
アフターピル(緊急避妊薬)とは?
アフターピルは、
避妊に失敗した、または避妊できなかった後に使う薬です。
・コンドームが破れた
・避妊せずに性行為をしてしまった
・性被害など、本人の意思に反する状況
こうした「緊急時」に、妊娠を防ぐための最後の選択肢として使われます。
毎日飲む薬ではなく、必要なときに1回だけ服用します。
ノルレボはなぜ妊娠を防げるのか
ノルレボの有効成分は、レボノルゲストレルという黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
この薬の最大の特徴は、
排卵を遅らせることで妊娠を防ぐ
という点にあります。
排卵が起こる前に服用できれば、
排卵のタイミングをずらすことで、
精子と卵子が出会う機会を減らします。
一方で、
・受精を直接止める薬ではない
・着床後の妊娠を中断させる薬ではない
という点は、とても重要です。
排卵後にノルレボを飲んだらどうなる?
ノルレボは「排卵を遅らせる薬」です。
そのため、
・すでに排卵が終わっていた場合
・受精が起こってしまえば
妊娠を防げない可能性があります。
これが、
「ノルレボは、できるだけ早く飲む必要がある」
と言われる理由です。
排卵日との距離で妊娠阻止率は変わる
ノルレボの妊娠阻止率は、
「何時間以内に飲んだか」だけでなく、「排卵日からどれだけ離れているか」で変わります。
・排卵よりかなり前 → 効果が高い
・排卵直前 → 効果はやや低下
・排卵後 → 効果は限定的
つまり、
同じ72時間以内でも、効果は同じではありません。
低用量ピル(経口避妊薬)とは?
低用量ピルは、
毎日継続して飲むことで妊娠を防ぐ薬です。
主な目的は、
・計画的な避妊
・生理周期の安定
・生理痛やPMSの改善
などです。
低用量ピルはなぜ避妊できるのか
低用量ピルには、
・エストロゲン
・黄体ホルモン
の2種類の女性ホルモンが含まれています。
これにより、
・排卵を起こさせない
・精子が入りにくい状態を作る
・着床しにくい子宮環境を維持する
という複数の仕組みで妊娠を防ぎます。
成分と用量の決定的な違い
ここが、アフターピルと低用量ピルの本質的な違いです。
ノルレボ
→ 黄体ホルモン単独を高用量で1回投与
低用量ピル
→ エストロゲン+黄体ホルモンを少量ずつ毎日投与
例えるなら、
・ノルレボ:一時的に強くブレーキをかける
・低用量ピル:穏やかなブレーキをかけ続ける
という違いがあります。
妊娠阻止率の違い
ノルレボ
→ 約80~90%(条件により変動)
低用量ピル
→ 正しく服用すれば99%以上
日常的な避妊としては、
低用量ピルの方がはるかに確実です。
なぜ薬局での販売は厳格なのか
緊急避妊薬は、
・妊娠
・性被害
・強要や犯罪利用
と深く関わる薬です。
そのため、
・研修を受けた薬剤師が対応
・本人の意思確認
・対面での説明
・その場での服用確認
・3週間後の妊娠確認の説明
といった、厳密な手順が設けられています。
「早く飲みたい」と「確認が必要」の衝突
ノルレボは、
1分でも早く飲むほど効果が高い薬です。
一方で、
薬局では安全確保のために一定の確認時間が必要です。
このため、
・利用者は「早く飲みたい」
・薬局側は「確認が必要」
というすれ違いが起こりやすくなります。
これは、どちらが悪いわけでもありません。
アフターピルは「常用する薬」ではない
アフターピルは、
・飲めば安心
・何度も使える
・ピルの代わりになる
という薬ではありません。
あくまで、
「緊急時の選択肢」です。
継続的な避妊を考える場合は、
低用量ピルなど、日常的な方法を検討することが重要です。
まとめ
・妊娠は「排卵→受精→着床」で成立する
・排卵日前後が最も妊娠しやすい
・ノルレボは「排卵を遅らせる薬」
・排卵後では効果が下がる
・低用量ピルは日常的に妊娠を防ぐ薬
・両者は目的も使い方もまったく違う
ノルレボの薬局販売開始は、
選択肢を広げつつ、安全性も守るための制度です。
正しい知識を持つことが、
不安や誤解を減らす第一歩になります。




