2024年12月18日更新.2,481記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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紅麹は危険か?紅麹コレステヘルプ

紅麹コレステヘルプ

薬剤師

紅麹って危険なものなの?

小林製薬の紅麹コレステヘルプによる腎機能障害による死亡報道が世間をにぎわせています。
紅麹は体に悪いのでしょうか?原因物質はプベルル酸?シトリニン?

紅麹と聞くと、麹菌の仲間だろうと思います。味噌に入っているので、安心安全なイメージを持ちます。麹菌も紅麹菌も真菌類で、カビの仲間です。
ただし、麹菌はAspergillus属、紅麹菌はMonascus属です。

アスペルギルス属は、肺アスペルギルス症などの原因菌として聞きますね。モナスカス属は聞いたことがない。

以前から紅麹由来のサプリメントに対する注意喚起はされていました。

紅麹を由来とするサプリメントに注意(欧州で注意喚起) | 食品安全委員会 – 食の安全、を科学する (fsc.go.jp)

2014年に出されていますが、これは紅麹中のシトリニンという成分に対するものです。しかし、小林製薬の作る紅麹にこのシトリニンは入っていないという。

日本で主に利用されている紅麹菌M. pilosusは、物質レベルでシトリニンを生成せず、ゲノムにもシトリニン産生遺伝子が存在しないことが確認されました。一方、中国で主に利用されている紅麹菌M. purpureusでは、シトリニンの産生およびシトリニン産生遺伝子の存在が確認されました。台湾で主に利用されているM. ruber に関しては、今回の研究で用いた菌株ではシトリニンを作る遺伝子は存在していませんでしたが、M. purpureusとM. ruberは過去にシトリニンの遺伝子が機能している菌株の報告があります(Shimizu et al., 2005 and Wang et al., 2016)。
以上のことから、紅麹菌M. pilosus NBRC 4520は、ゲノムレベルでカビ毒シトリニンを作らない報告のある紅麹菌として、高い安全性を持つ、有用な食品利用菌種であると考えられます。

紅麹:ゲノム解析によるカビ毒シトリニン生成不能の証明 | 小林製薬 中央研究所 (kobayashi.co.jp)

シトリニンの構造式

シトリニンはスタチン系薬と構造式が近いので、コレステロールを下げる働きが期待できる一方、副作用もあり注意喚起されていましたが、今回の原因物質ではない。

そのため、小林製薬では原因物質としてプベルル酸の可能性が高いと発表しています。

プベルル酸の構造式

ただ、プベルル酸はアオカビ属が産生するので、紅麹自体に含まれるものではなく、どこかで混入した恐れがあるという。つまり、小林製薬の製造工程に問題があり、紅麹自体は悪者ではない可能性が高いということだが、もはや紅麹=危険物質というイメージがついてしまった。紅麴のみならず、塩麹、味噌までも風評被害を受ける始末だ。

紅麴を使っている沖縄の伝統食「豆腐よう」も危険ではないし、赤色の着色料としてベニコウジ色素を使用している食品も多いが、問題はない。

今回の件については、紅麹自体に問題があるというよりも、小林製薬に問題がある、あるいは「コレステロールを下げる健康食品」という市場に問題があると思っている。
今回の健康被害の症例について詳しくはまだわかっていないが、高齢でコレステロールを下げたいと思っている層は、健康診断で異常値を指摘されていたり、すでに医療機関でコレステロールを下げる薬を飲んでいる人たちであろうと思われる。動脈硬化リスクも高く、疾患によるリスク、副作用によるリスクも高いので、因果関係のあるなしに関わらず、健康被害の報告は出やすいだろう。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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