塗り薬の使用期限はどのくらい？

塗り薬の使用期限

「この薬の使用期限はどのくらいですか？」

よく聞かれる質問です。

使用期限が製品に記載されている薬であれば、期限ははっきりしています。遮光や吸湿に注意する薬については、箱や袋の開封前という条件のある薬もありますが。

ただし、患者から聞かれて、箱に記載された期限を伝えるというケースはあまりない。面倒だし、処方された薬はその期間内の使用にとどめることが基本であるので、薬剤師がその薬の期限を伝える義務もない。

「半年前にもらった薬が残っているんですが、使えますか？」

という質問に対しては、有効成分的には問題なくても「使っていいかどうかは医師に確認してください」と言うべきである。

兵庫県薬剤師会のQ&Aには以下のように書かれている。

病院でもらったお薬に有効期限はありますか？

医薬品には使用期限があり、製造されてからの期間を指しますが、病院で処方されたお薬、または薬局で調剤されたお薬には有効期限という考え方はありません。医師から指示された服用日数（使用日数）がそれに相当します。
病院でもらうお薬は、その時のあなたの症状に合ったお薬です。したがって、以前のお薬が今の症状にあうとは限りません。以前に処方されたお薬を取っておいたり、飲み残したりして、別の時に自己判断で使用することはお勧めできません。残ったお薬は処分しましょう。

まさしく正論です。

しかし、世の中正論だけでは通用しない。

沖縄県薬剤師会のQ&Aには以下のように書かれている。

そのおくすりは、容器や箱に開封日を記載し、きちんとフタを閉め、冷暗所に保存してありますか？
薬の品質に影響を及ぼすのは、湿度、温度、光の３つです。
ですから、薬を保管する際には、以上の３つに気を付ける事がポイントとなります。

そのように保存して、使用期限の記載のあるものはその使用期限内（ただし目薬をのぞく） 、また使用期限の記載のないもの、錠剤・カプセル剤・散剤・未開封の坐薬などであれば１年、塗り薬は半年、シロップ剤や点眼剤であれば開封後約2～3カ月が、安全に使用できる期間の目安です。

使用期限を記載しなくとよいと定められているのは 、適切な条件下で保管された場合、未開封の状態で製造後３年は品質を保つことが保証された医薬品です。
ただし、これらの期限はいったん開封しますと無効になります。

保管条件や個別の薬品によっても異なるので、絶対というものは無いが、目安として。薬局によっては期限ぎりぎりの在庫を調剤している可能性もあるだろう。

自分が回答に苦しんだのが、マイザー軟膏とヒルドイドソフト軟膏の混合剤を、半年に1回の頻度でもらいに来ている患者からの「使用期限はいつまで？」という質問だ。

一包化や粉砕なども含め、薬局内で加工しているような製品については、とくに判断が難しい。

そもそも薬の使用期限を気にする理由としては、
・効果が続くのか？
・悪くなっていないのか？
ということが考えられる。

医薬品は時間経過とともに薬効が落ちる可能性はありますが、効果が落ちて症状が悪化するようであれば、医師もそこを含めて受診間隔を考えるだろう。「次回受診までは効果はもつと思いますが、だんだん効果は落ちてくる」といった話でお茶を濁す。

また、食品では、汚染リスクによる食中毒の危険性が一番気になるところですが、薬の場合だと食中毒ということではない。「毒に変化しているのではないか？」と気にする人もいるが、そんなことはない。

ただ、外用薬で細菌汚染された場合の症状悪化は気になるので、なるべく汚染されないように、直接軟膏ツボに手を突っ込んで使うことは避けてもらう、冷蔵庫に保管してもらう等、清潔な環境で使ってもらうことを意識してもらう。

個人的には、混合していない外用薬の期限を6カ月として、混合軟膏は２～３ヵ月が期限といったところだと思う。
次回の受診予定日がそれ以上だったら、「急に悪くなるわけではない」ということを伝えればよい。

期限の決まっている外用薬

以下の外用薬は開封後の使用期限が決まっている。

フィブラストスプレーの開封後の使用期限：溶解後は10℃以下の冷暗所に保存し、2週間以内に使用すること。
コムクロシャンプーの開封後の使用期限：開封後、6ヵ月以上経過したものは使用しないこと。
クレナフィン爪外用液：開封後12週間経過した場合は、残液を使用しないこと。