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お酒を飲んじゃいけない薬
公開. 更新. 投稿者:癌性疼痛/麻薬/薬物依存.この記事は約2分4秒で読めます.
5,091 ビュー. カテゴリ:ジスルフィラム様作用
薬を飲んでたらお酒を飲んじゃダメでしょ?
服用中にお酒を飲んじゃいけない薬がある。
極論を言えば、全ての医薬品は服用中に飲酒してはいけない、とも言えるが、絶対に飲んではいけない薬がある。
その代表格がフラジール(メトロニダゾール)である。
アルコール依存症の患者さんにジスルフィラム(商品名ノックビン)という薬が処方されます。
ジスルフィラムは、アセトアルデヒド脱水素酵素を阻害し、アルコールの代謝過程で生じるアセトアルデヒドが分解できないようにします。
そのため、毒性の強いアセトアルデヒドが血中に蓄積し、顔面紅潮や悪心、頻脈、多汗、頭痛といった「悪良い」症状が表れます。
このジスルフィラムと同じような作用を「ジスルフィラム様作用」といって、ジスルフィラム以外の薬でも起こることがあります。
抗トリコモナス薬のフラジール、血糖降下薬のクロルプロパミドやヘキストラスチノン(販売中止)、抗癌剤のミフロール(販売中止)など。
アルコール依存症治療薬と飲酒
アルコール依存症治療薬には、嫌酒薬といわれるジスルフィラム(ノックビン)、シアナミド(シアナマイド)、飲酒欲求を抑制する断酒補助薬であるアカンプロサート(レグテクト)、飲酒量低減薬といわれるナルメフェン塩酸塩水和物(セリンクロ)がある。
嫌酒薬は酔いやすくなる薬、断酒補助薬・飲酒量低減薬は飲みたくなくなる薬。
ノックビンやシアナマイドとアルコールは、飲酒により健康被害を生じるため、添付文書上併用注意となっているが、レグテクトやセリンクロとアルコールの相互作用については特に何の記載も無い。
セリンクロの作用機序
アルコールの摂取により神経伝達物質であるβエンドルフィンとダイノルフィンの脳内への分泌が促進され、βエンドルフィンはμオピオイド受容体に、ダイノルフィンはκオピオイド受容体に作用し、それぞれ「快」と「不快」の情動を発現させる。
アルコール依存症患者においては、アルコールによる「快」を求めて飲酒量や飲酒頻度が増大するために、βエンドルフィンの多量分泌によるμオピオイド受容体を介し、シグナル伝達が増強する。
一方で、ダイノルフィンの多量分泌によるκオピオイド受容体を介したシグナル伝達の増強も起こるため、「不快」の情動が高まり、この不快感回避のためにさらに飲酒欲求が高まる。こうした飲酒欲求の高まりによりって、飲酒コントロールの不良が引き起こされる。
セリンクロ(ナルメフェン)は、μオピオイド受容体には拮抗薬として、κオピオイド受容体には部分作動薬として作用し、シグナル伝達を調整することで、飲酒量の低減作用を発揮すると考えられている。
μオピオイド受容体に作用するオピオイド受容体作動薬の効果を減弱させてしまうため、麻薬を使用している患者には、禁忌となる。
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