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コンサータやストラテラで成長障害?
公開. 更新. 投稿者:小児/先天性疾患.この記事は約3分43秒で読めます.
4,109 ビュー. カテゴリ:コンサータによる食欲不振
ADHD治療薬のコンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)による成長障害が報告されている。
添付文書には以下のように記載されている。
小児に中枢神経刺激剤を長期投与した場合に体重増加の抑制、成長遅延が報告されている。本剤の投与が長期にわたる場合には患児の成長に注意し、身長や体重の増加が思わしくない時は投与を中断すること。
また、成人においても体重減少が報告されているので、観察を十分に行い、体重減少が著しい場合には投与を中断するなど、適切な処置を行うこと。
体重減少、成長遅延の原因としては、コンサータによる食欲不振が根本にある。
食欲減退(42.1%)、不眠症(18.5%)、体重減少(12.0%)、悪心(5.6%)などがみられる。
睡眠不足も原因としてありそう。
覚醒剤使ってやせていくのと同じ。
コンサータ以外のADHD治療薬、ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)やビバンセ(リスデキサンフェタミンメシル酸塩)も同様に成長遅延の副作用が報告されている。
これらの薬にも副作用に食欲減退、不眠、体重減少、悪心がみられ、同じような原因である。
親にとって小学生の子供の成長遅延は、重要な問題であるため、なるべく服用させたくないというのが親心。
そのため、医師は学校に行かない土日祝日は休薬を指示することもある。
夏休みなどの長期休暇のときにも休薬を指示されることがあるかと思うが、添付文書に、「1ヵ月以上休薬した後に本剤を服用する場合は、18mgを初回用量とすること。」と記載されており、再開時の用量には注意する。
コンサータは昼過ぎに服用すると夜眠れなくなる可能性があるので朝食後の服用となっており、昼食時に食欲低下を来しやすい。朝と夜をしっかり食べて、食べられそうな時に間食する。昼食は食べられる量だけ食べればよいと保護者や子供に伝えるとともに、学校側にも、給食を全く食べられないことがあるかも知れないとあらかじめ伝えておく。
ストラテラと食欲不振
ADHD治療薬のストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)の主な副作用には、頭痛(22.3%)、食欲減退(18.3%)、傾眠(14.0%)、腹痛(12.2%)、悪心(9.7%)がある。
これらの副作用は飲み始めに多く表れ、体が薬に慣れるにしたがって軽減することがあるため、忍容性を確認しながら1週間以上の間隔をあけて漸増し、至適維持量を決める。
一方、薬剤による症状軽減は投与開始2週目から認められ、維持量(1.2~1.8mg/kg/日)に到達後4週間で安定した効果が得られるとの報告がある。
このように、副作用が先に表れる可能性があり、離脱が起こりやすい点に注意が必要である。
食欲減退については、血中濃度が高い昼食(給食)時に食欲低下作用が強く見られ、食べ残したり、ほとんど食べなかったようなケースが報告されている。
これについては、アトモキセチンを維持量までゆっくり増やす、食事とともに服用する、服用時間を調整する、朝夕の服用量のバランスを変更する(夕食後を多めにする)、消化管運動を促進する薬剤の併用を検討する、などの対応で改善できる場合がある。
ストラテラの作用機序
ストラテラ(アトモキセチン)は、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、非中枢神経刺激薬に属するADHD治療薬である。
前頭前野に多く分布しているノルアドレナリン(NA)トランスポーターに親和性を持ち、NAの再取り込みを阻害してNA濃度を高める。
ドパミン(DA)トランスポーターに対する親和性はほとんど有しない。
ただし、前頭前野にはDAトランスポーターが少ない為、DAもNAトランスポーターを介して再取り込みされる。
この結果、アトモキセチンは前頭前野におけるDAの濃度も上昇させると考えられている。
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