記事
リウマトイド因子陽性なら関節リウマチ?
公開. 更新. 投稿者: 1,447 ビュー. カテゴリ:免疫/リウマチ.この記事は約5分21秒で読めます.
目次
リウマトイド因子陽性なら関節リウマチ?―検査結果の意味と診断の考え方―

健康診断や血液検査で「リウマトイド因子(RF)」という項目を見て、不安になる人は少なくありません。
「リウマトイド因子が陽性です」と言われると、「関節リウマチなのでは?」と心配になる方も多いでしょう。
しかし実際には、リウマトイド因子陽性=関節リウマチとは限りません。
リウマトイド因子は関節リウマチでよく見られる自己抗体ではありますが、健康な人でも陽性になることがあり、他の病気でも上昇することがあります。
この記事では、
・リウマトイド因子とは何か
・リウマトイド因子が陽性になる病気
・関節リウマチの診断方法
・抗CCP抗体との違い
・朝のこわばりなどの症状
などを整理しながら、「リウマトイド因子陽性の意味」をわかりやすく解説します。
リウマトイド因子とは何か
リウマトイド因子(Rheumatoid Factor:RF)は、自己抗体の一種です。
通常、抗体は細菌やウイルスなど外敵を攻撃するために作られます。しかし自己免疫疾患では、自分自身の体の成分に対して抗体が作られてしまうことがあります。
リウマトイド因子は、
・IgG抗体のFc部分に対する自己抗体
として知られています。
最も一般的に検出されるのは
・IgM型のRF
ですが、実際には
・IgG型
・IgA型
なども存在します。
リウマトイド因子は、自己免疫疾患の研究の中で比較的早くから知られている自己抗体であり、関節リウマチの血液検査として古くから使われてきました。
リウマトイド因子陽性=関節リウマチではない
リウマトイド因子は関節リウマチでよく見られる検査ですが、陽性であれば必ず関節リウマチというわけではありません。
一般的に言われている数字は次の通りです。
・関節リウマチ患者
・約70〜80%がRF陽性
つまり逆に言えば、
・約20〜30%の患者はRF陰性
です。
このような患者は
・RF陰性関節リウマチ(seronegative RA)
と呼ばれます。
健常人でも陽性になる
健康な人でも
約1〜5%
でRF陽性になることがあります。
さらに年齢が上がると陽性率は上昇します。
例えば
75歳以上では5〜25%が陽性
とも報告されています。
つまり
・RF陽性でも健康な人は存在する
・RF陰性でも関節リウマチは存在する
ということになります。
そのため、RFは診断の決め手ではなく参考指標の一つです。
リウマトイド因子が陽性になる病気
RFが陽性になるのは関節リウマチだけではありません。
代表的なものには以下があります。
膠原病
・シェーグレン症候群
・全身性エリテマトーデス(SLE)
・混合性結合組織病
特にシェーグレン症候群では高率にRF陽性になります。
慢性感染症
慢性炎症が続く感染症でもRFが陽性になることがあります。
例
・結核
・感染性心内膜炎
・慢性肝炎
・肝疾患
肝硬変
・慢性肝炎
などでもRFが陽性になることがあります。
その他
・悪性腫瘍
・高齢者
・慢性炎症状態
このように、RFは特異性の高い検査ではありません。
関節リウマチの診断はどうやって行うのか
関節リウマチの診断は、血液検査だけで決まるものではありません。
症状・身体所見・検査結果を総合的に判断します。
古くからよく知られているのが、アメリカリウマチ学会(ACR)の分類基準です。
1987年ACR分類基準
以下の7項目のうち4項目以上を満たすと関節リウマチと分類されます。
1 朝のこわばり(1時間以上)
2 3関節以上の関節炎
3 手の関節の腫脹
4 対称性の関節炎
5 リウマチ結節
6 リウマトイド因子陽性
7 X線で骨びらん
ただし現在では、より早期診断のための新しい基準が使われています。
現在主流の2010年分類基準
現在は
ACR/EULAR 2010分類基準
が広く使われています。
評価項目は次の4つです。
①関節数
腫れている関節の数
②自己抗体
・RF
・抗CCP抗体
③炎症反応
・CRP
・赤沈(ESR)
④症状の持続期間
6週間以上続くかどうか
これらを点数化し、6点以上で関節リウマチと分類します。
この基準では、抗CCP抗体が重要な役割を持っています。
抗CCP抗体とは
抗CCP抗体は
抗環状シトルリン化ペプチド抗体
と呼ばれる自己抗体です。
この抗体は
関節リウマチに対する特異度が非常に高い
ことが知られています。
一般的には
特異度 約95%
とされています。
つまり、
抗CCP抗体陽性なら関節リウマチの可能性が非常に高い
ということになります。
また抗CCP抗体は
発症前から陽性になることがある
早期診断に有用
とされています。
関節リウマチの特徴的な症状
関節リウマチの代表的な症状は
・朝のこわばり
です。
朝起きたときに
・手が動かしにくい
・指がこわばる
・関節が固まった感じがする
という症状が現れます。
健常者でも朝に体がこわばることはありますが、リウマチの場合は
・30分〜1時間以上続く
ことが特徴です。
時間が長いほど、炎症の活動性が高いと考えられます。
関節リウマチの初期症状
関節リウマチの初期には次のような症状が出ることがあります。
・朝、手が動かしにくい
・ペットボトルのふたが開けにくい
・シャツのボタンが留めにくい
・手指の関節が腫れる
炎症が進むと
・手首
・肘
・膝
・足の関節
などに広がっていきます。
関節リウマチの特徴は
・多関節・左右対称
に症状が出やすいことです。
関節破壊はなぜ起きるのか
関節リウマチでは、関節内にある
・滑膜
という組織に炎症が起こります。
炎症が続くと
滑膜が異常に増殖し、
・パンヌス
と呼ばれる組織になります。
パンヌスは
・軟骨
・骨
を侵食し、関節破壊を引き起こします。
その結果
・関節変形
・関節拘縮
・機能障害
が起こります。
画像検査の役割
関節リウマチの診断では画像検査も重要です。
X線
骨びらんなどの骨破壊を確認
関節エコー
滑膜炎を早期に検出
MRI
早期骨びらんの検出
特に最近は関節エコーがよく使われています。
MMP-3とは
血液検査では
・MMP-3
という検査も使われることがあります。
MMP-3は
滑膜から分泌される酵素で、
・軟骨を分解する働き
を持っています。
そのため
・関節炎の活動性
・関節破壊の進行
を評価する指標として利用されます。
まとめ
リウマトイド因子陽性についてまとめると次の通りです。
・RFは自己抗体の一種
・関節リウマチの約70〜80%で陽性
・しかし健康な人でも陽性になる
・高齢者では陽性率が上昇する
・他の膠原病や感染症でも陽性になる
つまり
・RF陽性=関節リウマチではない
ということです。
関節リウマチの診断は
・症状
・関節所見
・血液検査
・画像検査
を組み合わせて総合的に判断されます。
特に現在は
・抗CCP抗体
が診断において重要な検査となっています。
もし
・朝のこわばり
・手指の関節の腫れ
・複数関節の痛み
などが続く場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。
関節リウマチは早期診断・早期治療によって関節破壊を防げる時代になっています。



