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COPD患者は脂肪を摂取したほうが良い?
公開. 更新. 投稿者:喘息/COPD/喫煙.この記事は約3分14秒で読めます.
3,246 ビュー. カテゴリ:COPD患者の体重減少
COPD患者は、病気の悪化に伴い体重が減少することが知られています。
これには、エネルギー代謝の亢進と、摂取エネルギーの低下が大きく関係しています。
エネルギー代謝の亢進は、換気障害により呼吸が荒くなり、呼吸運動に必要なエネルギーが増加するために起こります。
さらにCOPDは全身性の炎症性疾患であるため、炎症性サイトカインの代謝・分解に伴うエネルギー消費が発生します。
これらを食事量に換算すると、健康な方と比べて約1.5倍もの量を食べないといけないという報告があります。
その一方で、摂取エネルギーは低下しがちになります。
これには、食べ物の咀嚼や嚥下の際に呼吸が乱れたり、肺の過膨張で腹部が圧迫されるため、少量でも満腹感を感じやすくなることが関係しています。
また、摂食に影響するホルモンの量の変化で、食欲が減退しがちになります。
このため、COPDの進行に伴い体重は減少しやすくなるのですが、その結果、体力・筋力が低下して息切れしやすくなり、食事量が減って、さらに体重が減るという悪循環が生じます。
COPDでは糖尿病などの生活習慣病と比べると栄養指導は疎かにされがちですが、適切な食生活と食習慣によって死亡率が減少するという報告もあるので、栄養管理はかなり重要です。
食事中の息切れなどのために十分なカロリー摂取ができていない恐れがある場合、食事の回数を増やすことで、必要なカロリー摂取を達成しやすくなります。
1日の総カロリーを増やすために、間食が勧められることもあります。
呼吸商
COPDの栄養管理では、呼吸商の低い食品の比率を上げて、肺が二酸化炭素を排出する負担をできるだけ軽くする工夫が必要です。
呼吸商とは、体内で栄養素をエネルギーに変換するときに、消費される酸素に対して発生する二酸化炭素の比のことです。
糖質、蛋白質、脂質の中では、脂質が最も呼吸商が低いため、脂質が多い食事が望まれます。
また脂質は質量当たりのカロリーも高い(9kcal/g)ので、同じエネルギーを摂取するなら、脂質優位の食事にする方が膨満感を抑えることができ、換気系への負担も軽くなります。
COPDの患者さんやご家族への服薬指導では十分なカロリー摂取を促すため①食事の前に呼吸を落ち着ける②ゆっくり食べる③少量ずつ何回かに分ける、など、栄養管理に対するアドバイスもできるとよいでしょう。
ABC療法
COPDの増悪時の薬物療法の基本はABCアプローチと言われます。
Aは抗菌薬(antibiotics)、Bは気管支拡張薬(bronchodilators)、Cはステロイド薬(corticosteroids)です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患です。
呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示し、通常は進行性です。
臨床的には労作時の呼吸困難 (息切れ) や慢性の咳、痰などを特徴としますが、これらの症状に乏しい場合もあります。
慢性気管支炎(末梢気道病変)と肺気腫(気腫性病変)のうち、気流閉塞を伴うものをCOPDといいます。
COPDの気流閉塞は、末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用して起こるため、その病型として気腫性病変が優位な気腫型COPD、末梢気道病変が優位な非気腫型COPDがあります。
長期にわたる有害な粉塵やガスの吸入暴露(ほとんどは喫煙暴露)によって肺に異常な炎症が惹起され、肺胞構造の破壊による気腫病変と、気管支、とくに細気管支の壁肥厚および粘液過剰産生による気道病変を併せもつ疾患で、40歳以上の喫煙歴を有する高齢者に多くみられる。
気管支拡張薬および吸入ステロイド(ICS)を含む治療においても完全には正常化しない不可逆性の気流閉塞(閉塞性換気障害)を特徴とする。
気流閉塞は年単位で徐々に進行し、労作性呼吸困難をきたし、日常生活動作が厳しく制限される。
また、病期の進行とともに低酸素血症をきたし呼吸不全に至る。
炎症は肺だけに留まらず、全身性にも影響を及ぼし、栄養障害、骨格筋の機能障害、心血管病、骨粗鬆症など多くの併存症を引き起こす。
喫煙者の約20%弱に生じ、有病率は40歳以上の日本人の8.6%、約540万人が罹患しているが、そのうち4%しか診断および治療を受けていない。
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