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一包化に適さない薬でも一包化していい?
公開. 更新. 投稿者:調剤/調剤過誤.この記事は約2分4秒で読めます.
7,224 ビュー. カテゴリ:一包化不可でも一包化している薬
添付文書上「一包化してはいけない」という薬がある。
その理由としては、ほぼ吸湿性の問題である。光の問題のこともありますがその場合は遮光袋で対応可能。
参考:一包化に適さない薬一覧 – くすりの勉強 -薬剤師のブログ-
湿気に弱いからシートから取り出して調剤してはいけない。
湿気に弱いと薬はどうなるのか?
・効果が落ちる。
・変色する。
・ヒビが入る。
・粉々になる。
・ベトベトになる。
効果がどの程度減弱したかは、わかりにくいですが、外観の変化は患者にもわかります。
薬を飲もうと思ったら、色が変わっていたり、ベトベトしていたり、ボロボロと崩れ落ちたら、患者さんはどう思うでしょうか?
嫌ですね。
ただ、薬が毒になるわけでも無いので、「一包化不適の薬を一包化してしまった」ということは調剤事故というレベルの問題になることは少ないと思います。
「粉砕すべきでない薬を粉砕してしまった」は調剤事故につながるケースもあります。
事前に薬剤師が、「湿気に弱いので錠剤にヒビが入るかも知れませんが、効果に変わりはありません」等と説明していれば、一包化しても問題ないという薬もあります。
抗生剤など短期間の使用で終わるものであれば、一包化しても問題ないだろう。
以下の薬は、私の考えでは一包化可能と思われる。
医薬品名 | 理由 |
---|---|
アカルディカプセル | 「本剤は吸湿性があるので、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。また、できるだけPTP包装のまま調剤を行うこと。」→「できるだけ」と書かれているので一包化可能。インタビューフォームでも1か月では変化なしとなっている。 |
アサコール錠 | 「分包した場合には,湿気を避けて保存すること。なお,自動分包機内での保存は避けること。」→乾燥剤を入れておけば一包化可能。 |
アスパラカリウム錠 | 「錠剤は一包化に適さない薬剤である。ただし、一包化が必要な場合は気密性の高い容器で保存し、必要に応じて乾燥剤を入れるなど湿気に十分注意すること。」→乾燥剤を入れておけば一包化可能。 |
サワシリン錠 | 「錠剤は吸湿性のため防湿包装をしている。服用直前に錠剤を取り出すよう注意のこと(注:加湿虐待条件下で錠剤の外観変化がみられる)」→加湿虐待条件下での外観変化なので、乾燥剤を入れておけば可能。代替としてカプセルを提案する方法も。 |
ザンタック錠 | 40℃75%RH遮光の条件下で「1 ヵ月以降、経時的に錠剤の平衡相対湿度の増加、3 ヵ月以降、着色、含量低下、硬度低下、溶出性の低下、類縁物質の増加が認められた。」とあるので、1か月は可能。乾燥剤を入れておけば3か月もいける。 |
シュアポスト錠 | 苛酷試験において、2 ヵ月で含量が低下となっているので、2か月までなら可能。 |
トビエース錠 | ヒートから出して1か月で粘着性が出てくるという話。 |
バファリン錠 | 1か月後に含量低下などがみられるが、規格値内なので、一包化可能。 |
湿度の試験は代替75%RHで行われる。
結構高湿度だが、夏場だとそのくらいになることも多い。
乾燥剤のシリカゲルを入れて密封すれば、40%を切るくらいには保てる。
ラジレス、プラザキサ、ベルソムラ、デパケン錠あたりは一包化無理っぽい。
あ、毒になる薬がありました。アボルブ。
アボルブは、経皮吸収され、生殖器の男性化などの恐れがあるので、女性や子供は触れてはいけません。カプセルを外さなければ問題ないとも思われますが、若い女性薬剤師が触れるのも嫌でしょう。
患者や施設、医療機関から求められた場合に、断固として「一包化できません」と断るべき薬というのはあまり無いだろう。
ザンタックみたいに代替薬があれば、ガスターを提案する等の方法もある。
しかし、一包化不適の薬を、自動分包機のカセットに入れっぱなしにして調剤することは避けるべきだろう。
一包化のデメリット
服用時点の同じ薬を一緒の袋に入れて飲ませる一包化調剤。
高齢者の方だと何種類も薬を飲んでいて、飲み忘れの問題もあり、一包化しているケースが多いです。
この一包化にも問題点があります。
患者さんが何の薬を飲んでいるかわからない、ということがあります。
そもそも飲み忘れるのは、薬の必要性を感じていないから、ということかも知れません。
大事なものだという認識がない。
高血圧の薬や高脂血症の薬などではなおさら。
便利にすれば良いというわけでも無いのです。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
1 件のコメント
一包化できるか否かの判断はメーカーの試験結果を見て、薬剤師として判断が必要ですよね。ところで、1点誤りがあるかと思うので指摘させていただきます。アボルブで生殖器の「男性化」と記載があるのですが、「女性化」の誤りかと。アボルブは前立腺肥大のお薬で、男性ホルモンを抑えるものなので(このハゲェエーーーーが適応の同じ成分の薬もありますよね)。胎児が男の子だった場合に生殖器の発達が阻害(雌化)されちゃうかもしれないので禁忌だったかと思います。