記事
アメナリーフは新しい作用機序の抗ヘルペスウイルス薬?
公開. 更新. 投稿者:皮膚感染症/水虫/ヘルペス.この記事は約4分6秒で読めます.
6,052 ビュー. カテゴリ:目次
アメナリーフ錠
アメナリーフは他のヘルペス薬とは違うの?
アメナリーフ錠という帯状疱疹の薬が2017年7月に承認された。
帯状疱疹に使われる薬は以下のラインナップ。
医薬品名 | 一般名 | 効能効果 | 規格剤形 | 用法用量 |
---|---|---|---|---|
アメナリーフ | アメナメビル | 帯状疱疹 | 錠:200㎎ | 帯状疱疹:1回400mg1日1回食後 |
バルトレックス | バラシクロビル塩酸塩 | 単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制、帯状疱疹、水痘、性器ヘルペスの再発抑制 | 顆粒:50% 錠:500㎎ | 帯状疱疹:1回1000mg1日3回 |
ファムビル | ファムシクロビル | 単純疱疹、帯状疱疹 | 錠:250㎎ | 帯状疱疹:1回500mg1日3回 |
ゾビラックス | アシクロビル | 単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制、帯状疱疹 | 顆粒:40% 錠:200㎎、400㎎ 軟膏:5% クリーム:5% | 帯状疱疹:800mg1日5回 |
アラセナA | ビダラビン | 帯状疱疹、単純疱疹 | 軟膏:3% クリーム:3% | 1日1~4回塗布または貼付 |
アメナリーフ錠の1日1回という用法が光る。
このアメナリーフという薬、既存の抗ヘルペスウイルス薬とは作用機序が違うと、マルホのHPに書いてる。
有効成分であるアメナメビルの標的は、ヘルペスウイルス増殖の初期段階に働くヘリカーゼ・プライマーゼ複合体です。アメナメビルはヘリカーゼ・プライマーゼ活性を直接阻害することで、二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成を抑制し、ヘルペスウイルスの増殖を初期段階で阻害します。これは既存の抗ヘルペスウイルス薬とは異なる新規作用機序です。
ファムビル、バルトレックス、ゾビラックスは「DNAポリメラーゼ」阻害作用により、ウイルスの増殖を抑制する。
アメナリーフは、「ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体」阻害作用により、ウイルスの増殖を抑制する。
作用機序が違うので、既存の薬で効果の無い、耐性ウイルスをもった患者にも効く可能性がある。
アメナリーフは粉砕不可?
アメナリーフの注意書きに「本剤はコーティングを施しているので、錠剤をつぶすことなく服用させること。」とある。
バルトレックスやファムビルにも同様の記載がある。
アメナリーフも苦味のためだろうか?
バルトレックスやファムビル同様、大きな錠剤なので、飲み込みに困難しそうだ。
医師が粉砕の指示を出してくる可能性もある。
帯状疱疹には7日まで
バルトレックスもゾビラックスもファムビルも、帯状疱疹には7日間までの使用制限がある。
アメナリーフも同様に、
「本剤は、原則として7日間使用すること。改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、速やかに他の治療に切り替えること。」
と記載がある。
ヘルペスの薬は高いので、投与日数には気を付ける。
アメナリーフとバルトレックスの違いは?
アメナリーフとバルトレックスの大きな違いの一つに代謝経路がある。
バルトレックスやゾビラックスやファムビルは腎排泄の薬のため、腎機能障害のある患者においては減量する必要がある。
一方、アメナリーフは糞便排泄、肝代謝の薬のため、腎機能の落ちている患者でも用量調節は必要ない。
しかし、肝代謝、CYP3Aによって代謝され、またCYP3A、CYP2B6の誘導作用もあるため、相互作用に注意すべき薬がいくつかある。
リファンピシンとの併用は特に、相互に血中濃度が低下してしまうため併用禁忌となっている。
腎障害と抗ヘルペスウイルス薬
一般的に抗ウイルス薬であるバラシクロビル、アシクロビルの経口投与は急性腎障害の発現リスクにおいて他の抗ウイルス薬と同程度であるという報告はあるが、なぜバラシクロビルに注意が必要なのかを次に述べる。
バラシクロビルは、アシクロビルに比べて吸収率が良くなっているため、十分に水分を摂る必要がある。
なぜなら水分摂取量が少ないと遠位尿細管や集合管で結石を作り、腎後性腎障害によって腎機能が悪化する恐れがあるからである。
腎機能の悪化に伴いアシクロビル中毒へとつながる危険性がある。
また、腎機能低下時には蓄積によるバラシクロビルの過量は、結晶の析出で急性腎不全を引き起こす危険性も報告されている。
抗ヘルペスウイルス薬は、主に腎臓から排泄されるため、腎障害が生じる可能性がある薬剤の一つである。
腎尿細管で薬剤が濃縮されて薬物濃度が高くなり、再結晶化して尿細管閉塞を来すと考えられている。
用量依存的に発現することから、過量投与が腎障害の発現につながる恐れがある。
また、出血や脱水等で体内の水分量(血液量)が減少した場合にも、腎尿細管内で薬物濃度が高くなり、腎障害を発現する可能性が高くなると考えられる。
投与期間中は飲水の指導とともに薬剤の有効性と安全性の両面から十分に観察する。
腎障害とアメナリーフ
既存の抗ヘルペス薬が腎排泄型薬物であるのに対して、アメナメビルは肝代謝型薬物であり、腎排泄の寄与は小さいため、クレアチニンクリアランスに基づく用量調節は不要であるとされている。
このように、アメナメビルは、腎機能に応じた用量調節が不要である点で、そのほかの経口抗ウイルス薬とは異なる。
ただし、軽度、中等度、高度の腎機能障害患者にアメナメビルを単回経口投与した試験で、健康成人と比較して、アメナメビルのAUCはそれぞれ20%、35%、78%高値を示したと報告されている。
また、透析を必要とする腎障害患者における臨床試験は行われていないことも知っておきたい。
アメナリーフは食後服用?
バルトレックス、ゾビラックス、ファムビルには特に食事による影響は受けないが、アメナリーフの添付文書には、
健康成人(24例)に本剤800mgを空腹時に投与したとき、アメナメビルのCmax及びAUCは食後投与と比較してそれぞれ約0.64倍及び0.52倍に減少した。
と書かれている。
また、最高血中濃度到達時間(Tmax)も空腹時投与で2時間、食後投与では4時間と食事により延長することが確認されている。
食後に服用しないと十分な効果を発揮しない恐れがあるため、食後しばらくして気づいたら、何か食べてから飲んだほうが良いだろう。
抗ヘルペスウイルス薬
DNAポリメラーゼを阻害し、又、DNA鎖に取り込まれてその伸長を阻害することによりウイルスの増殖を抑制する。
アシクロビルは単純ヘルペスウイルス(Ⅰ型、Ⅱ型)あるいは水痘ウイルスの重症感染症の治療薬である。
バラシクロビル経口投与による生物学的利用度はアシクロビルの2~3倍である。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
2 件のコメント
勉強のためによく拝見させていただいております!
アメナリーフの処方例ですが、
アメナリーフ錠200mg 2錠
1日1回朝食後 7日分
であるかと思われます。
いつも更新楽しみにしております!
コメントありがとうございます。
ご指摘ありがとうございます。このようなご指摘により私自身も勉強させていただいています。共に高みを目指しましょう。