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フラジールの塗り薬?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約3分36秒で読めます.
5,009 ビュー. カテゴリ:ロゼックスゲル
ロゼックスゲルという癌の悪臭に使われる薬がある。適応疾病名としては「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」です1)。
がん性皮膚潰瘍臭の約8割が乳がんのステージ3以降でみられ、末期の乳がん患者も少なくない。乳がん患者でみると、その4%にがん性皮膚潰瘍がみられ、多くの患者で痛みとともに強い臭気を放つ。
乳癌や口腔癌などでは、皮層表面に腫瘍による潰瘍が露出することがある。
こうした癌性皮膚潰瘍は、出血や惨出液が生じやすく、感染を伴う。
特に、嫌気性菌が産生する脂肪酸やポリアミン類によって悪臭が発生し、患者の生活の質 (QOL)が低下する。
このような癌性皮層潰瘍の悪臭に対して適応のある外用薬は従来市販されておらず、医療機関ではメトロニダゾールの錠剤(フラジール)や試薬などから院内製剤として軟膏を調製し、対応してきた。
メトロニダゾールは、1950年代にトリコモナス症の治療薬として開発された抗原虫薬であり、嫌気性菌に抗菌作用を有する。
原虫や細菌の内部で還元反応によりニトロソ化合物が生成され、DNAと結合することでDNA合成を阻害し、抗原虫・抗菌作用を示す。
またミ還元反応の過程で生成するヒドロキシルアミン化合物も同様にDNA損傷を引き起こす。
このメトロニダゾールを医療用医薬品の外用薬として市販化したものがロゼックスである。
一応、フラジール錠に準じて、妊婦に禁忌だったり、アルコールと併用注意だったりします。
皮膚がんの妊婦というのはあまり考えられませんが、お酒を飲む患者はいるので注意しましょう。
薬理作用には、
「メトロニダゾールは、皮膚潰瘍部位において臭気物質(プトレシン、カダベリン)を産生する数種類のグラム陽性及びグラム陰性嫌気性菌に対して抗菌作用を発揮することによってがん性皮膚潰瘍に伴う臭気を軽減する。」
と書かれている。
腐った臭いに効きます。
こういった抗菌外用薬は、普通の体臭にも効くのだろうか。
嫌気性菌に対する働きから、適応外で口臭にフラジールが使われることはあるようだ。
メトロニダゾール軟膏?
表皮の癌による悪臭に、フラジールの軟膏が使われるそうです。
以下のような処方
フラジール錠250mg 4錠
親水軟膏 全量 100g
悪臭以外に、酒さにも使われるそうです。
メトロニダゾールとして錠剤を使用する場合と、試薬を使用する場合があります。
調整では試薬を使った方が簡便ですが、試薬を使用した場合は倫理委員会などの承認を受けることが望ましいと考えられます。
基剤も症状に応じて、プラスチベース、ゲルおよびマクロゴール軟膏などが選択されています。
メトロニダゾールの濃度は0.75~0.8%です。
癌患者は悪臭がする?
体臭、口臭のほか、がんの壊死により臭いが発生することがあります。
患者さん自身は臭いを感じていないことが多い。
悪臭の発生は、本人はもとより周囲の患者に不快感を与え、食欲を減退させる。
さらに家族、面会人、時には医療従事者も遠ざけ、患者が孤独になったり、心を閉ざす原因になり得る。
悪臭と病原菌
中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎などの病巣や、皮膚・粘膜へ浸潤して潰瘍を形成して自潰し何度も感染を起こしているがん患者の病巣などに、悪臭が伴うことがある。
悪臭の主な原因となるのは病巣の嫌気性菌。
嫌気性菌の除菌には、クリンダマイシンやメトロニダゾールが使われる。
悪臭対策
芳香剤は、においを重ねるとかえって不快臭を増強させることがある。
脱臭剤や脱臭スプレーの使用は、患者の尊厳を脅かす。
参考文献
1)ロゼックスゲル 添付文書
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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