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川崎病児がインフルエンザに罹ったらアスピリン中止?
公開. 更新. 投稿者:抗菌薬/感染症.この記事は約2分24秒で読めます.
4,049 ビュー. カテゴリ:川崎病とインフルエンザとアスピリン
川崎病の子供は心疾患予防のためアスピリンを服用しています。
アスピリンの添付文書には、「15歳未満の水痘,インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが,やむを得ず投与する場合には,慎重に投与し,投与後の患者の状態を十分に観察すること.」と記載されています。
もし川崎病患児がインフルエンザに罹患した場合、服用継続すべきなのでしょうか?
川崎病の治療
川崎病の急性期の治療では、入院の上、免疫グロブリンを1~2g/kg/日と大量に投与します。
解熱後は、通常、3~5mg/kgのアスピリンを毎日1回服用させます。
川崎病では血小板数が増加し、血管壁が障害され、血栓ができやすくなるので、それを防ぐためです。
川崎病の罹患後に、合併症の冠動脈瘤があれば、急性虚血性心疾患などの発症リスクが高くなるため、冠動脈瘤の所見が消失するまで、アスピリンを服用します。
多くの患者では冠動脈瘤は見られないのですが、しばらくは血小板凝集能が亢進するので、2~3ヶ月間は、毎日アスピリンを服用するよう、日本小児循環器学会の「川崎病急性期治療のガイドライン」でも推奨されています。
ただし、患者がインフルエンザや水痘に罹患した場合は、完治するまでの数日間、アスピリンを休薬するのが一般的です。
アスピリンを服用している患児がこれらの疾患になると、原因不明の急性脳症や肝不全を来すReye(ライ)症候群を発症する恐れがあるためです。
家族がインフルエンザなどに罹患した場合も、子どもに伝染する可能性が高いので、念のため休薬させます。
これまで毎日服用させていたアスピリンを急に中断することに不安を覚える保護者も少なくないでしょう。
実際には、アスピリンの抗血小板効果は、休薬しても5~7日間は持続することが明らかになっていますので、心配要りません。
ただし、リスクが高い場合は他の抗血小板薬に切り替える場合もあります。
フロベンに変更
アスピリンでは肝障害の副作用が起こりやすいため、肝機能低下などの理由でアスピリンが投与できない場合、フルルビプロフェン(フロベン)を使用する。
アスピリン30~50mg/kg/日を1日3回で、ガンマグロブリン製剤と併用することが推奨されている。このときに肝機能障害や冠動脈瘤を有する場合、アスピリン以外の抗血小板薬を使用することがあり、肝機能障害時はアスピリンの代わりにフルルビプロフェン(フロベン)を使用することが多い。
初期には、3~5mg/kg/日で開始し、臨床症状が軽快してからは3mg/kg/日で投与を継続する。
川崎病患者に同薬を用いた場合、アスピリン療法より肝障害の発生が著しく低かったとする報告がある。
また、インフルエンザ罹患時にアスピリンを服用するとライ症候群を発症する可能性があることから、フルルビプロフェンが使用される場合もある。
川崎病は後遺症が残る?
川崎病で怖いのは後遺症で、心臓に後遺症が残ることがあります。
後遺症で一番気になるのが、冠動脈瘤ですが、巨大動脈瘤と言われる8mm以上のコブは、200人に一人くらいの割合だそうです。
後遺症の確率は、10%前後。
冠動脈に変化が見られるのは、発病から5日前後から2、3週間の間が多いそうで、それ以降、後遺症が残ることは少ないそうです。
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