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肝硬変にPPI?
公開. 更新. 投稿者:消化性潰瘍/逆流性食道炎.この記事は約2分27秒で読めます.
7,061 ビュー. カテゴリ:肝硬変により食道静脈瘤が破裂
肝硬変患者にPPIが使われるのはなぜ?
肝硬変になると、肝臓内の血管が細く硬くなり、血流が悪くなります。
そのため、肝臓を通過するはずの血液が食道の細い静脈に流れ込んで無理に通過しようとして、食道静脈を押し広げて瘤状の膨らみができます。
これが食道静脈瘤です。
食道壁は筋層が薄く、非常に破れやすいです。
食道静脈瘤が破裂すると、大量に吐血して出血性ショックで死に至ることもあります。
肝硬変患者の7~8割が食道静脈瘤を合併しているとされる。
食道静脈瘤にPPI
胃酸によって食道粘膜が傷つくと、静脈瘤が破裂する危険性が上昇します。
PPIは強力な酸分泌抑制作用によってこのリスクを低減させます。
食道静脈瘤歯破裂の予防にはH2ブロッカーではなくPPIが処方されることが多いです。
門脈
門脈は、胃や腸、脾臓、胆嚢、膵臓からの血液が肝臓に流れ込む1本の太い静脈の通り道である。
肝硬変になると、肝組織の線維化や肝星細胞の活性化などにより肝内血管抵抗が上昇し、門脈の血流が滞る。
その結果、門脈内部の圧力が高くなる(門脈圧亢進症)。
門脈圧亢進症が持続すると、肝臓を通って心臓に戻るはずの血液が、食道静脈にバイパス(側副血行路)を形成して無理に通過しようとするため、食道静脈が押し広げられて静脈瘤を形成する。
門脈圧亢進
腹腔内の消化管や脾臓からの静脈血を肝臓に運ぶ血管である門脈に狭窄や閉塞が生じた結果、門脈の血圧が上昇した病態を門脈圧亢進症と総称します。
脾臓肥大を生じるので、脾機能が亢進します。
門脈圧亢進と吐き気
肝臓が悪くなると、門脈域の肝細胞に炎症が起こり、門脈圧が高まって、胃や腸から肝臓への血液の流れが悪くなります。
胃や腸は、それで血行不全になり、「胃が重たい」「気持ちが悪い」「吐き気がする」といった症状になります。
食道静脈瘤破裂
肝硬変患者の約8割が食道静脈瘤を合併しているとされ、治療せずに放置していると、やがて瘤が破裂し、命にかかわる大量出血を引き起こしかねない。
肝硬変では血液凝固因子や血小板が減少しているため、一度破裂すると総出血量が1リットルを超えることも少なくない。
食道壁は筋層が薄いため非常に破れやすく、強い咳をしたり硬い食べ物を飲み込んだ時、重い物を持ち上げようと力を入れた時などに静脈瘤が破れることがある。また、門脈圧が高くなると胃酸が逆流しやすくなるため、胃酸で食道壁が傷つき、静脈癌が破裂する可能性が高くなる。
そのほか静脈瘤破裂の危険因子としては、肝障害の進展、細菌感染(エンドトキシン血症)、腹水貯留、飲酒、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用などがある。
食道静脈瘤に対する根治療法はなく、ウルソやグリチロン)などの肝機能改善薬の使用により肝障害の進展を抑える治療が一般に行われる。
門脈圧を下げる作用を持つ非選択性β遮断薬や硝酸薬などが併用されることがあるが、その有効性に対する評価は定まっていない。
発赤所見が認められるなど出血の危険が極めて高い食道静脈瘤に対しては、内視鏡下で硬化剤(ポリドカノールなど)を注入して静脈瘤を固める硬化療法が行われる。
また、食道に逆流した胃酸の刺激による静脈瘤破裂を防ぐために、強力な胃酸分泌抑制作用を持つプロトンポンプ阻害薬(PPI)や受容体拮抗薬が使われることがある。
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