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モーラスパップ・モーラステープ・モーラスパップXRの違い
公開. 更新. 投稿者: 58 ビュー. カテゴリ:痛み/鎮痛薬.この記事は約7分26秒で読めます.
モーラスパップ・モーラステープ・モーラスパップXRの違い

モーラスには、「モーラスパップ」「モーラステープ」「モーラスパップXR」という3種類の貼付剤があります。
いずれも有効成分はNSAIDsのケトプロフェンです。
しかし、
- モーラスパップ30mg
- モーラステープ20mg
- モーラスパップXR120mg
と並べてみると、含量がかなり違います。
特に気になるのがモーラスパップXRです。
「XRだから普通のパップより強い?」
「120mgも入っているなら、モーラステープ20mgより6倍強い?」
「パップ剤とテープ剤は何が違う?」
今回は、モーラス3兄弟の違いについて調べてみます。
まず3種類の違いを比較
主な違いをまとめると、次のようになります。
| 製品 | 剤形 | 規格 | ケトプロフェン濃度 | 用法 |
|---|---|---|---|---|
| モーラスパップ | パップ剤 | 30mg・60mg | 0.3% | 1日2回 |
| モーラステープ | テープ剤 | 20mg・L40mg | 2% | 1日1回 |
| モーラスパップXR | パップ剤 | 120mg・240mg | 2% | 1日1回 |
すべてケトプロフェン製剤ですが、通常のモーラスパップだけは大きく性格が違います。
モーラスパップは0.3%のパップ剤で1日2回。
一方、モーラステープとモーラスパップXRはともに2%で、1日1回です。
つまりモーラスパップXRは、単純に「モーラスパップの大容量版」というより、パップ剤でありながらモーラステープのように1日1回使用できるようにした製剤と考えると分かりやすいでしょう。
パップ剤とテープ剤は何が違う?
まず、「パップ」と「テープ」の違いです。
どちらも皮膚に貼る薬ですが、基剤が異なります。
パップ剤は一般に水分を多く含む膏体を使用しており、厚みがあります。いわゆる昔ながらの「湿布」に近い剤形です。
一方、テープ剤は水分をほとんど含まない粘着性の高い基剤を使用した薄い製剤です。
そのため使用感にも違いがあります。
テープ剤は薄く、伸縮性や粘着性に優れ、関節などの動く場所にも貼りやすいという特徴があります。
一方、パップ剤は厚みがありますが、水分を含んだパップ剤特有の使用感があります。
どちらが優れているというより、貼る場所や患者さんの好みによって使い分ける剤形です。
モーラスパップとモーラスパップXRは何が違う?
名前だけを見ると、
「モーラスパップの新しいタイプがモーラスパップXR」
という関係に見えます。
実際、その理解はそれほど間違っていません。
大きな違いは持続時間です。
通常のモーラスパップは1日2回ですが、モーラスパップXRは1日1回です。
XRは一般に「Extended Release」、つまり持続性・徐放性を意味する表現です。
従来のモーラスパップよりも長時間作用するパップ剤として設計されているため、貼り替え回数を1日2回から1日1回に減らすことができます。
さらに成分濃度にも大きな違いがあります。
モーラスパップはケトプロフェン0.3%ですが、モーラスパップXRは2%です。
したがって、
モーラスパップ30mg → 0.3%・1日2回
モーラスパップXR120mg → 2%・1日1回
というかなり異なる製剤になっています。
モーラスパップXRはモーラステープより濃い?
ここは少し注意が必要です。
モーラスパップXR120mgとモーラステープ20mgを見ると、
「120mgと20mgだから、XRのほうが成分が濃い」
と思ってしまいそうです。
しかし、これは違います。
モーラスパップXRもモーラステープも、ケトプロフェン濃度は2%です。
違うのは1枚に使われている膏体の量です。
例えば同じ10×14cmサイズで比較すると、
- モーラステープL40mg:ケトプロフェン40mg
- モーラスパップXR120mg:ケトプロフェン120mg
となっています。
同じ大きさなのに、パップXRには3倍のケトプロフェンが入っています。
しかし、だからといって「3倍強い」ということではありません。
120mgと40mgなのに効果は同じ?
ここがモーラスパップXRを理解するうえで非常に重要です。
モーラスパップXR120mgとモーラステープL40mgについては、健康成人男性を対象に、貼付後の角層中ケトプロフェン量を比較する試験が行われています。
12時間後の角層中ケトプロフェン量は、
- モーラスパップXR120mg:43.988μg
- モーラステープL40mg:40.080μg
24時間後では、
- モーラスパップXR120mg:33.234μg
- モーラステープL40mg:36.237μg
でした。
そして、この試験では両製剤の生物学的同等性が確認されています。
つまり、
モーラスパップXR120mg ≒ モーラステープL40mg
と考えられるわけです。
「120mg」と「40mg」という数字だけを見ると3倍も違いますが、皮膚へ移行するケトプロフェン量まで3倍になるわけではありません。
なぜパップXRには120mgも入っているのか?
これは「含有量」と「皮膚へ実際に移行する量」は同じではないからです。
パップ剤とテープ剤では基剤が異なります。
そのため、同じケトプロフェン2%製剤であっても、1枚に必要な膏体量や薬物の放出・皮膚移行の特性が異なります。
モーラスパップXR120mgは膏体6gにケトプロフェン120mg、モーラステープL40mgは膏体2gに40mgです。
どちらも計算すると2%です。
つまり、
「パップXRはテープより薬が濃いから120mg」なのではなく、「同じ2%でもパップ剤は膏体量が多いので、1枚に含まれる総量が多い」
ということです。
したがって、貼付剤の「○mg」という数字だけを見て強さを比較することはできません。
モーラスパップXRは「よくしみこむ」のか?
「モーラスパップXRは成分が濃くて、テープ剤よりよくしみこむ」と説明されることがありますが、少なくともモーラステープとの比較としては、この説明は適切ではありません。
確かに通常のモーラスパップと比較すれば、
0.3% → 2%
とケトプロフェン濃度は高くなっています。
しかしモーラステープも2%です。
さらに前述したように、モーラスパップXR120mgとモーラステープL40mgでは角層中ケトプロフェン量について生物学的同等性が確認されています。
したがって、
「XRはテープより濃くて、よく浸透する」
というより、
「従来のモーラスパップより高濃度・持続型にすることで、パップ剤でも1日1回の使用を可能にした」
と理解したほうがよいでしょう。
では、モーラステープとモーラスパップXRは何で使い分ける?
モーラステープとモーラスパップXRは、
- ケトプロフェン2%
- 1日1回
- 同じサイズ同士では皮膚への薬物移行性も同等
というところまで似ています。
そうなると、大きな違いは剤形です。
テープ剤の使用感を好む患者さんもいれば、パップ剤の使用感を好む患者さんもいます。
また、貼付部位、剥がれやすさ、皮膚への刺激、貼ったときの感触などによっても選択は変わります。
モーラスパップXRは、「テープ剤ではなくパップ剤を使いたいが、1日2回貼り替えるのは面倒」という患者さんにとって、一つの選択肢になります。
効能・効果にも違いがある
通常のモーラスパップと、モーラステープ・モーラスパップXRでは適応症にも違いがあります。
モーラスパップの効能・効果は、
- 変形性関節症
- 肩関節周囲炎
- 腱・腱鞘炎
- 腱周囲炎
- 上腕骨上顆炎
- 筋肉痛
- 外傷後の腫脹・疼痛
などに対する鎮痛・消炎です。
一方、モーラステープおよびモーラスパップXRでは、これらに加えて腰痛症などにも適応を持っています。
さらに関節リウマチにおける関節局所の鎮痛という適応もあります。
「同じケトプロフェンの湿布だから何に使っても同じ」と考えず、処方監査では製剤ごとの効能・効果を確認する必要があります。
光線過敏症には3剤とも注意
剤形は違いますが、有効成分はいずれもケトプロフェンです。
そのため、モーラスシリーズで特に注意したい副作用が光線過敏症です。
貼っている最中だけではなく、使用後もしばらく貼付部を紫外線にさらさないことが重要です。
また、ケトプロフェン外用剤では、過去にケトプロフェン製剤で過敏症を起こした患者など禁忌に該当するケースがあります。
「湿布だから副作用は軽い」と考えず、ケトプロフェン製剤特有の注意点を確認する必要があります。
まとめ
モーラスパップ、モーラステープ、モーラスパップXRは、すべてケトプロフェンを有効成分とする貼付剤ですが、同じ薬ではありません。
最も簡単に整理すると、
モーラスパップ
→ 従来型のパップ剤。0.3%、1日2回。
モーラステープ
→ 薄く粘着性の高いテープ剤。2%、1日1回。
モーラスパップXR
→ 持続型のパップ剤。2%、1日1回。
となります。
特に注意したいのが「mg」の数字です。
モーラスパップXR120mgは、モーラステープL40mgの3倍のケトプロフェンを含んでいます。
しかし、両剤では角層中ケトプロフェン量について生物学的同等性が確認されています。
したがって、
「120mgだから40mgより3倍強い」
とは考えられません。
貼付剤では、製剤に含まれる薬物の総量だけでなく、基剤からどれだけ薬物が放出され、どれだけ皮膚へ移行するのかが重要だからです。
モーラスパップXRは、「モーラスパップより強い湿布」と覚えるよりも、
「モーラステープのように1日1回使えるようにしたパップ剤」
と覚えておくと、3製剤の違いが整理しやすいのではないでしょうか。
参考資料
PMDA「モーラスパップ30mg・60mg 添付文書、インタビューフォーム」
PMDA「モーラステープ20mg・L40mg 添付文書、インタビューフォーム」
PMDA「モーラスパップXR120mg・240mg 添付文書、インタビューフォーム」



