2026年1月18日更新.2,723記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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タムスロシンとシロドシンの違いは?

タムスロシンとシロドシンの違いは?

前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療で、最もよく処方される薬といえば
タムスロシンとシロドシンでしょう。

どちらも「α1遮断薬」として同じ分類に入りますが、
実臨床では
「効きが違う」
「副作用の質が違う」
「患者満足度が変わる」
といった明確な違いが存在します。

・作用機序の違い
・排尿症状への効果の違い
・副作用(特に射精障害・下痢・めまい)
・処方・服薬指導での使い分け

を中心に、掘り下げます。

そもそもα1遮断薬とは何か

前立腺肥大症の排尿障害は、単に前立腺が大きくなるだけでなく、
・前立腺平滑筋
・膀胱頸部
・尿道周囲

が交感神経の刺激で収縮することによって悪化します。

この収縮に関与するのが
α1アドレナリン受容体です。

α1遮断薬はこの受容体をブロックすることで、
・尿道抵抗を下げる
・排尿をスムーズにする

という効果を発揮します。

α1受容体には「種類」がある

重要なのは、α1受容体が1種類ではないという点です。

サブタイプ主な分布
α1A前立腺・尿道
α1B血管平滑筋
α1D膀胱・脊髄

どのサブタイプをどれだけ遮断するか
これが薬ごとの差を生みます。

タムスロシンの特徴

● 作用機序
・α1A+α1D 選択的遮断
・血管のα1Bへの作用は弱め

● 効果の特徴
・前立腺だけでなく膀胱にも作用
・排尿開始遅延、残尿感の改善が安定

● 副作用の傾向
・めまい・立ちくらみ
・鼻閉
・射精障害は比較的少ない

● 臨床的ポジション
・初回治療として選ばれやすい
・高齢者でも使いやすい
・降圧薬併用時も比較的安全

「バランス型のα1遮断薬」
と位置づけられます。

シロドシンの特徴

● 作用機序
・α1A受容体ほぼ特異的
・α1B・α1Dへの作用はごく弱い

● 効果の特徴
・前立腺・尿道平滑筋を強力に弛緩
・尿勢改善が非常に強い
・効果実感が早い

● 副作用の傾向
・射精障害(逆行性射精・無精液)
・下痢・軟便
・めまいは少なめ

「効果特化型」の薬と言えます。

排尿改善効果の違い

項目タムスロシンシロドシン
尿勢
排尿開始
残尿感
即効性

実臨床では
「タムスロシンで不十分 → シロドシンへ変更」
という流れは非常に多く見られます。

射精障害の違いはなぜ起こる?

● 射精の仕組み
射精時には、
・精管
・精嚢
・前立腺
がα1A刺激によって収縮し、精液を前方へ押し出します。

● シロドシンの場合
・α1Aを強力に遮断
・射精時の収縮が起こらない
・精液が膀胱側へ逆流 or 出てこない

機序的に避けられない副作用

● タムスロシンの場合
・α1A遮断は中等度
・射精機能は比較的保たれる

下痢の副作用はなぜシロドシンで多い?

消化管運動は
・副交感神経(動かす)
・交感神経(抑える)

のバランスで調整されています。

α1受容体は腸管神経叢にも存在し、
腸の動きを抑える方向に働いています。

シロドシン
・α1A遮断が強力
・消化管の抑制が外れやすい
・腸管運動亢進 → 下痢・軟便

タムスロシン
・遮断がマイルド
・消化管への影響は軽め

下痢は
シロドシン > タムスロシン
となりやすい理由があります。

用法・服薬指導の違い

項目タムスロシンシロドシン
用法1日1回1日2回
食事の影響少ないあり(食後)
高齢者使いやすい注意
若年男性無難射精障害説明必須

薬剤師的な使い分けの考え方

タムスロシンが向くケース
・初回治療
・高齢者
・めまいリスクが気になる
・性機能への影響を避けたい

シロドシンが向くケース
・排尿症状が強い
・他剤で効果不十分
・血圧低下を避けたい

服薬指導で差がつくポイント

シロドシン開始時
・射精障害の説明
・下痢の可能性
・「異常ではなく薬の作用」

タムスロシン開始時
・立ちくらみ注意
・起床時の動作指導

→説明不足は服薬中断の原因になります。

まとめ

タムスロシン
 → バランス型・安全性重視

シロドシン
 → 効果最優先・副作用説明必須

同じα1遮断薬でも、
「どこにどれだけ効くか」が違うことで、
効果も副作用もここまで変わります。

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