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ステロイドで鬱病になる?
公開. 更新. 投稿者:免疫/リウマチ.この記事は約4分15秒で読めます.
5,312 ビュー. カテゴリ:うつ病とステロイド
ステロイドの副作用で鬱病になることがある。
なぜステロイドを飲むと鬱になるのか?
ストレスがかかると、血液中のノルアドレナリン、アドレナリン、 コルチゾール(ステロイド)などのストレスホルモンのレベルが高まる。
ストレスがかかると、視床下部からCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンが放出される。
これを受け取った脳下垂体が興奮し、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を放出する。
ACTHが血液の流れに乗って遠く離れた副腎に届く。
そして副腎皮質からはコルチゾールが放出され、副腎髄質からはアドレナリンやノルアドレナリンが放出される。
逆にステロイドの血中濃度が高まると、ネガティブフィードバックがかかり、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を抑える。
そのため、ステロイドの服用などによってステロイドの血中濃度が高まると、CRHの分泌が抑えられ、アドレナリンやノルアドレナリンの分泌も抑えられてしまう。うつ病の原因の仮説として、ノルアドレナリン仮説というものがあります。
これがステロイドがうつ病を引き起こすメカニズムです。
糖尿病になるとうつ病になる?
糖尿病患者はうつ病になりやすい。
逆に、うつ病患者は糖尿病になりやすいという説もある。
糖尿病の治療では、食事療法をはじめとする様々な生活上の制約があったり、血糖値の測定やインスリン注射などが頻繁に行われ、患者さんには大きなストレスがかかった状態が続きます。
また、視力障害、腎障害、神経障害などの身体機能を喪失するかもしれないという不安が常に患者さんにはつきまとっています。
糖尿病患者さんは、病気そのものの苦しみに加え、このような病気に関連したストレスや不安で、心にも大きな負担がかかっています。
うつ病患者が糖尿病になりやすいのは、家にこもりがちになり、運動不足になるためというのもある。
ステロイドと糖尿病
ステロイドホルモンはインスリン拮抗ホルモンでもあり、肝臓での糖新生(蛋白質を糖に変換すること)を促したり、インスリンに対する感受性を低下させて末梢組織での糖利用を妨げる働きをもっています。つまりステロイド薬は血糖値を上昇させる作用をもつので、糖尿病の原因となります。
薬剤性うつ病
薬によってうつ病を発症することがある。
よく知られているのがインターフェロン製剤とステロイド剤である。
また、レセルピン(アポプロン)、β遮断剤、抗ヒスタミン剤、経口避妊剤などでも発現する。
薬剤惹起性うつ病の初期症状は「眠れなくなった」「物事に興味がなくなった」「食欲がなくなった」「気分が落ち込む」などである。
インターフェロン製剤は分子量が2万前後であり、正常脳では血液脳関門を通過しないが、第三脳室前壁近傍などから、わずかに中枢神経内へ移行することが確認されている。
中枢内に移行したインターフェロン製剤の多彩な「薬理作用」が、精神症状やうつ状態を引き起こすと考えられる。
それは、うつ状態の症状が用量に依存することからも裏付けられる。
ステロイド剤によるうつ病も、投与量に依存するとされている。
40mg/日を超えると発症率が上がるといわれているが、10~20mg/日程度であってもうつ病を発症する可能性はある。
うつ病患者では、血中コルチゾール値が高く、海馬が萎縮していることが指摘されているが、副腎皮質ステロイドが海馬に影響を与えて、その形態や機能を傷害し、記憶や気分を損なう可能性が指摘されている。
つまり、ステロイド剤によるうつ病の発症も、「薬理作用」によるものと思われる。
メチルドパでうつ病になる?
メチルドパの副作用に「抑うつ」というのがある。
メチルドパの作用機序はα2受容体刺激作用によるもの。
α2受容体はシナプス前膜に存在し、血圧の上昇に関与しているアドレナリンの放出を抑制的に制御している。
逆に、α2受容体を阻害する薬がある。
シナプス前α2アドレナリン受容体を阻害することにより、神経シナプス間隙へのノルアドレナリンの放出を促進し、受容体への刺激を増進することにより、抗うつ作用を示す。
ミアンセリン、商品名はテトラミド。
抗うつ薬です。
α2受容体を阻害すれば抗うつ作用が現れる。
つまり、α2受容体を刺激すれば、うつ病になってしまう。
中枢性α2作動薬
中枢性α2アゴニスト。
α2作動薬。
中枢性交感神経抑制薬。
脳幹部のα2受容体に選択的に作用して、交感神経緊張を抑制し、末梢血管を拡張させることにより血圧降下を示すとされる。
副作用が多く使用頻度は少ない。
眠気、口渇、倦怠感等の副作用が多く通常は他剤が投与できない場合に使用される。
α-メチルドパは妊娠高血圧に有用である。
クロニジンは突然服薬を中止すると離脱症状が出現することがある。
α-メチルドパは肝障害例には用いない。
中枢のα2受容体を刺激し、交感神経を抑制することで降圧をもたらす。
昔ながらの降圧薬で近年ではあまり頻繁には使われないが、早朝高血圧の抑制を目的に就寝前に使われる頻度も再び高くなってきた。
中枢性作動薬の特徴的な副作用として眠気や口渇感(ドライマウス)などがある。
また難治性高血圧において劇的に有効なことがあり、捨てがたい、専門家好みの降圧薬である。
メチルドパは、もっぱら妊娠高血圧に用いられているが、それも最近ではあまり使用されない。
・ことに眠気が危険であり十分な説明が必要である。
・若壮年者ではことに車の運転時に注意を要する。
・高齢者ではまれにうつ状態をもたらすことを家族も含めて指導する必要がある。
・EDをもたらすことがあるが、若壮年者ではなかなか患者本人の口からは訴えがないことが問題であることを服薬指導者は認識すべきである。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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1 件のコメント
コーヒーの健康科学について勉強している1薬剤師です。この記事は実によく書かれていると感服しています。原典の記載がないので推測するだけですが、「糖尿病にうつ病が合併するメカニズムに11β-HSDが関係している」と言い切れるでしょうか?これについて信頼できるデータがあるでしょうか?わかる範囲でご回答いただければ幸いです。