2024年11月24日更新.2,474記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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半錠に割ったら訴えられる?

半錠の均一性

錠剤を半分に割ったとき、「確実に均等に割れている」と自信のある薬剤師はいるでしょうか?
もろい錠剤だと、欠片が砕けたり、不均等になって小さめの半錠には欠片を一緒に入れてみたり。

正直、半錠の指示は止めてほしい。
自家製剤加算が取れるとしても、やめてほしい。

調剤された薬剤については、PL法の適用は受けないと言われていますが、数ミリの誤差が命にかかわるような薬であった場合、訴えられる可能性もあると思います。

海外の薬局では、自分で割るように指示されるほうが一般的なのだそうだ。
半錠に分割する行為を求められても、完璧に均等に半分に分割することはできないので、何かあったときの責任は患者にゆだねるのがトラブル回避の手段である。

今度半錠の処方が来たらやってみようかな。「自分で割ってください」
怒って別の薬局に行くだろうな。

近隣の医療機関でコメントを追記している処方をみることがある。

フルイトラン錠2mg 1錠
1日2回朝昼食後 14日分
(フルイトラン錠1mgに変更可)

ほとんどの薬剤師はフルイトラン錠1mgに変更するでしょう。
半割面倒だし。バラつきも出るし。

でも、1mgに変更すると薬価が高くなる。
「高くなるけど、1mgに変更していいですか?」などと下手な説明をすると、「安いほうが良いに決まってるでしょ」と患者は変更拒否するだろう。
個別指導なんかが入るとうるさく言われるかも知れない。
そもそもの問題はこの処方がGE変更不可であるという点なのかも知れない。

不均等に半割したら訴えられる?

錠剤を半分に割ったとき、均一に割れないということ、あります。割線の無い錠剤ではとくに多い。
もろい錠剤だと、半割調剤をしたあとのトレーに、欠けた錠剤の残りが多く残っていることもある。

あまりにも不均等なときはやり直します。しかし、やり直しが多くなるとロスも増える。見た目で6:4だとわかりやすく不均等だが、5.5:4.5くらいなら「うーん、まいっか」と思うことも。

カナダでは半錠指示の処方箋が来ても、通常は分割せず、そのまま容器に入れて交付するのが一般的だという。
少ないスタッフで運営している薬局が多く、サービスとして分割する時間が確保できないらしい。

分割を拒否する表向きの理由としては、均等に分割できているか保証できないということ。
保障できないので、その責任は患者に委ねるという考え方です。
海外では、責任は誰にあるのかということに非常に敏感です。
サービスを提供するということは、そのサービスの責任を自分が負うことになります。
たとえ半錠に分割する行為であろうと、完璧に半錠に分割できないと訴えられるかもしれないと考える薬剤師が多いのも事実です。

日本では、半割にばらつきが生じたとしても、「患者から訴えられる」という危機感を持つ薬剤師はほとんどいないでしょう。
日本で半錠指示の処方をシートのまま渡して「自分で割ってください」とか言っても患者理解は得られにくいし、そうして調剤した薬を間違って1錠ずつ飲んだら逆に調剤事故として問題になる可能性もある。

個人的には、薬剤師によってばらつきの生じやすい「粉砕」や「半割」は避けたい調剤業務です。
病院によっては、採用が無いからという理由で安易に半割の指示をしてくる処方を見かけますが、やめてほしい。

割線があれば、自家製剤加算は算定できますが、含量の均一性を担保してくれているとは言い難い。もろい錠剤は半割時に欠けやすく、最近はOD錠も多いので、ボロボロと砕けてしまうこともある。

リクシアナは薬価が高いので半割することが多いが、そのような薬がジェネリック対策としてOD錠を販売するようなことは、患者の利益になっているのだろうかと疑問に思う。

現実問題で言えば、半割後の含量が均一でなかったとしても、それが病状の悪化につながったという因果関係の証明は難しいと思うので、「患者から訴えられる」ということになったとしても、実刑判決が下ることは無いだろうと思う危機感薄めの私なのです。

薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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