記事
認知症に非定型抗精神病薬の少量投与が効く?
公開. 更新. 投稿者:認知症.この記事は約3分25秒で読めます.
4,085 ビュー. カテゴリ:認知症に非定型抗精神病薬の少量投与?
セロクエルの少量投与の目的は?
非定型抗精神病薬を認知症に使用する場合は、統合失調症の治療に使用する投与量よりも少量の投与が望ましいです。
ある医師は1日最大量をリスペリドンは2mg、クエチアピンは200mg、オランザピンは10mg前後に設定し、この範囲内で投与量を調節しています。
セロクエルは少量でも効く?
セロクエル細粒は50%という規格である。
500mg/gである。
セロクエルの用法は、
通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。通常、1日投与量は150~600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。
なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日量として750mgを超えないこと。
となっており、肝障害のある患者には、1日25mgという用量も推奨されている。
25mgというと、0.05gである。
しかも、もっと少ない用量で認知症患者のせん妄とかに使われたりする。
1日10mgだと、0.02gになる。
これはアステラスの策略だと思う。
1gに満たない処方量で、100gの容器を購入させ丸儲けするという。
100gを期限が切れる前に使い切れるのは、精神科の門前くらいだろう。
用量に幅のある薬
セロクエルの用量の幅は添付文書上でも25mg~750mgと、10倍以上の幅がある。
精神科領域の薬では、用量に幅があるものが多い。
レボトミン1日25~200mg
ウインタミン1日30~450mg
セレネース1日0.75~6mg
フルメジン1日1~10mg
成人用量で10倍くらいの用量幅があると、思い込みで調剤してしまうとミスの元凶になる。
精神科は種類も多いし、用量も幅があるし、調剤ミスのリスクは高い。
セロクエルの用量による効果の違い
セロクエルの適応症は統合失調症しかないが、多元受容体作用抗精神病薬(MARTA)と呼ばれ、多くの受容体に親和性を持つ。
高用量(750mg)で用いると抗精神病作用、300mgの中用量では抗うつ作用、25~100mgといった少量ではヒスタミンH₁受容体阻害作用により睡眠の改善効果が期待されるという。
抗精神病薬が認知症に効く?
抗精神病薬を認知症の周辺症状に使うことがある。
患者さんが攻撃的になったり興奮状態になったりした時に、症状を抑えるのに用います。
なるべく鎮静し過ぎず、興奮を抑えるくらいのできるだけ少量を用いますが、効き過ぎると元気がなくなってしまったり筋力が低下したりすることもあります。
また、非定型抗精神病薬を認知症の患者さんに用いると生命予後が悪化することが知られており、添付文書でも注意が喚起されています。
自律神経系や代謝系の副作用により、心血管系の事故や突然死が発生しやすくなることが原因と考えられています。
このことが広く知られるようになってから、認知症の周辺症状には介護環境の改善や介護者の態度など、薬に頼らない方法で対応するべきだという考え方が主流になりました。
興奮よりもうつ病のほうがマシ?
認知症の周辺症状に使われる薬としては、抗うつ薬よりも抗精神病薬のほうが多い。
抗精神病薬は、錐体外路症状などの副作用への懸念から処方をためらう医師が少なくないが、処方しやすいはずの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などと比較して多い。
うつ状態などの陰性症状よりも、興奮や攻撃性などの陽性症状が困る、ということ。
本人が嫌なのは陰性症状。介護者が困るのは陽性症状。
診察でも服薬指導でも家族の話ばかりを聞かされるわけで、何か大事なものを見失っているような気もする。
認知症からうつ病に?
能力の低下を強く自覚し、密かに認知症に関する本で調べたりしている人もいます。
そして自ら認知症を疑って将来に望みをなくし、うつ状態になることもあります。
周囲の対応としては、本人に恥をかかせないようにすることが大事です。
「できることをやってもらう」ことは必要ですが、できたはずのことができなくなるという経験をさせ、本人の自信をなくすという結果になったのでは逆効果です。
自分の能力が低下してしまったことを再認識させるようなことはますます自信を失わせます。
例えば、昔、書道がうまかったからといって書道を強要すると、本人にとってはヘタになった文字を見るのは辛いと考えることもあるのです。
それとなく手助けをして成功体験に結びつけることができれば少しでも笑顔が戻るようになるでしょう。
うつ状態にあるときには周囲からの「がんばれ」が負担になるので注意が必要です。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。