記事
ペンタサ坐剤と注腸の違いは?
公開. 更新. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約3分33秒で読めます.
7,003 ビュー. カテゴリ:ペンタサ坐剤と注腸の違いは
坐剤と注腸って効果に違いはあるの?
お尻から入れるペンタサ=メサラジン製剤には坐剤と注腸がありますが、使い分けはあるのだろうか。
坐剤も注腸も用量は1g=1000㎎で同じ。
用法も1日1個で同じ。
ペンタサの内服薬との併用が可能である。
しかし、質量で比較すると、坐剤は1.6gで、注腸は100mLだから100gはあるとして、薬の行き渡る範囲は、注腸のほうが広く、奥の方まで行き渡る。
作用部位を添付文書で比較すると、
ペンタサ坐剤:「直腸部の炎症性病変に対して使用すること。なお、本剤が腸内で到達する範囲は直腸部に限局されるため、S状結腸より口側の炎症には効果が期待できない」
ペンタサ注腸:「脾彎曲部より口側の炎症には効果が期待できない。」
ペンタサ坐剤はS状結腸まで、ペンタサ注腸は脾彎曲部まで届く。
脾彎曲部というのは下行結腸の奥の方。
内服薬と外用薬の違いとしては、ペンタサの内服薬は小腸から大腸の中でも盲腸~上行結腸~下行結腸の一部まではよく薬が届くが、下行結腸の一部から直腸にかけては薬が届きにくい。このペンタサの内服薬の弱点を補うのが坐剤や注腸製剤である。
しかし、薬をお尻から注入する煩雑さや薬を入れたときの不快感などから、なかなか毎日注腸ができない患者も多いため、坐剤の方が手軽に使えるというわけです。
ペンタサ注腸の使い方
注腸製剤の使い方の指導は、あらかじめ確認しておく必要がある。
ペンタサ注腸製剤のセットには、①注腸容器②ノズル延長用カテーテル③ストッパー、あと使用説明書には書いていないが④廃棄袋も入っている。
使用説明書を見ないとどう使えばいいのか戸惑う。
ストッパーはどうやって使うの?このカテーテルは必ず取り付けるの?
指導のポイントとしては、
・冬場に使う時は薬液が冷たくなっているのでお湯につけてある程度温めるのがいい。
・ノズル延長用カテーテルとストッパーは使わなくてもいい。注腸容器のノズルを直接肛門に入れられる体の柔らかい人はそのまま使っても良い。
・ストッパーはノズルを入れ過ぎないための目印。ノズルを奥まで入れすぎると直腸壁を傷つける恐れがある。
・挿入しづらい場合は、ワセリンやオリーブオイル等を先端に塗っても良い。
・注腸液は薬が沈殿しているので、使う前によく振って混ぜる。
・注腸容器を直接肛門に入れる場合は、直腸壁を傷つけないようにノズルの向きに注意する。
・挿入時の体位は、浣腸と同じ、直腸穿孔を防ぐため、左側臥位。
・薬を奥の方まで到達させるため、使用説明書のとおり、ゴロゴロ寝転がる。漏れることもあるので、無理せず、保持できる液量から増やしていく。
・廃棄袋を手袋みたいにして使うと、そのまま容器を包んで廃棄できるので衛生的。使わなくても良い。
注意点は意外と多い。やはり説明書はあらかじめ読んでおくべきである。
ペンタサ坐剤を飲んでも効かない?
ペンタサ坐剤の形状は、坐薬というよりも飲み薬の錠剤に近い形状なので、誤解して口から服用する恐れもあります。
ペンタサ坐剤を誤って服用した場合、胃内により崩壊、吸収されるそうです。
吸収はされますが、効果は期待できない。なぜなら、ペンタサ(メサラジン)は患部付着による効果発現であるため。内服のペンタサは腸溶錠で、製剤的な工夫がされています。粉砕内服では効果が期待できない。
ただ、上部消化管に病変の広がっているクローン病では、ペンタサ錠の粉砕投与なんてことも聞いたことがあるので、効果はあるのかもしれない。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。
3 件のコメント
知人が大腸炎を患っています。薬について調べたそうですが、薬の値段が高い事に驚いたそうです。原因不明の病とか?どの立場においても大変である事は間違いありません。勉強になりました。
下血が続きペンタサ坐薬1gを使用しています。
インフルエンザ予防接種を受けても大丈夫ですか?
医師に聞くのを忘れてしまいました。
コメントありがとうございます。
大丈夫です。