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ネオーラルとサンディミュンの違いは?
公開. 更新. 投稿者:アトピー性皮膚炎/ステロイド外用薬.この記事は約4分21秒で読めます.
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ネオーラルとサンディミュン
ネオーラルはサンディミュンでみられた胆汁酸分泌や食事の影響を受けることなくシクロスポリンが安定して吸収されるように開発されたマイクロエマルジョン製剤である。
ネオーラルからサンディミュンへの切り替え
ネオーラルの添付文書には、サンディミュンに切り替えた場合、血中濃度が変化し、有効性や安全性に影響を及ぼす恐れがあることが記載されています。
ガイドラインでは、いわゆるジェネリック医薬品(後発品)に切り替えた場合にも同様の懸念が生じ得るため、注意が必要であるとしています。
サンディミュンの添付文書の警告の記載
本剤はネオーラルと生物学的に同等ではなく、ネオーラルはバイオアベイラビリティが向上しているので、本剤からネオーラルに切り換える際には、シクロスポリンの血中濃度(AUC、Cmax)の上昇による副作用の発現に注意すること。特に、高用量での切り換え時には、本剤の投与量を上回らないようにするなど、注意すること。なお、本剤からネオーラルへの切り換えは、十分な本剤使用経験を持つ専門医のもとで行うこと。
一方、ネオーラルから本剤への切り換えについては、シクロスポリンの血中濃度が低下することがあるので、原則として切り換えを行わないこと。特に移植患者では、用量不足によって拒絶反応が発現するおそれがある。
生物学的に同等ではなく、添加剤も異なる。
このためサンディミュンからネオーラルに切り替えると、シクロスポリンの血中濃度の上昇による副作用が発現する可能性がある。
サンディミュン:T細胞に特異的に作用し、IL-2などのサイトカイン産生を抑制。
ネオーラル:吸収を安定化したマイクロエマルジョン製剤。
ネオーラルをジェネリックに変えちゃダメ?
ネオーラルは、シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤で生体内の薬物動態が安定している。
製剤特許が残っているため、後発品ではこれらの技術を使用できない。
シクロスポリンの後発品の中には、先発品と比べて生体内での吸収が悪く、治療効果が劣る製品も存在している。
従って、低用量・1日1回・朝食前内服は、後発品への変更が適さない処方といえる。
カルシニューリン阻害薬
免疫応答性リンパ球(特にT細胞)のシグナル伝達に関与するカルシニューリンの作用を阻害して免疫抑制作用を発揮する薬剤。
シクロスポリンとタクロリムスはいずれもカルシニューリンインヒビターで、活性化したヘルパーT細胞に作用して各種サイトカインの産生を抑えることで免疫抑制作用を発揮すると考えられている。
臓器移植の際の拒絶反応には、サイトカインのインターロイキン2が関与しています。
そして、この産生にはカルシニューリンと呼ばれる脱リン酸化酵素が関与します。
免疫抑制薬は、カルシニューリンを活性化させないための薬です。
細胞内にあるイムノフィリンと総称される受容体に免疫抑制薬が結合すると、カルシニューリンが不活性型のまま維持されて、臓器移植などによる拒絶反応が起こらなくなるのです。
移植時などの拒絶反応では、抗原によりサイトカインであるインターロイキン2の分泌が刺激されることが重要なステップです。
インターロイキン2の分泌は、NFAT(Nuclear Factor of Activated T-cellsの略)と呼ばれる転写因子の脱リン酸化が重要なステップです。
この反応は「カルシニューリン」と呼ばれるカルシウム依存性タンパク質の活性が制御しています。
活性化は細胞内のカルシウムイオン濃度に依存して起こるものですが、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇は、抗原提示細胞がT細胞上のT細胞受容体に結合することによるので、これがメカニズムを動かす引き金ということになります。
この機序は、免疫抑制薬がみつかったことで初めて解明されたものです。
現在用いられている免疫抑制薬は、拒絶反応に関連して活性化されるカルシニューリンを不活性型のまま維持する作用をもっています。
このことで、インターロイキン2が発現せずに拒絶反応が起こらないようにできるのです。
カルシニューリンを不活性型のままにするためには、NFATとの結合を阻害することが一つのターゲットです。
細胞内にあるイムノフィリンは免疫抑制薬に対する受容体の役割をして、そのリガンドがあるときのみカルシニューリンと結合・活性化を阻害します。
イムノフィリンには、免疫抑制薬のタクロリムスに対するFK結合蛋白質(タクロリムスは「FK506」とも呼ばれることに由来します)やシクロスポリンに対するシクロスフィリンがあります。
このように免疫抑制薬の作用機序が明らかにされたこともあり、その使途が拡大してきました。
いまでは、タクロリムスは臓器移植に限らずアトピー性皮膚炎や関節リウマチのような免疫関連疾患でも用いられています。
サンディミュンの特徴
・免疫抑制剤、カルシニューリン阻害薬、ヘルパーTリンパ球抑制薬
・ヘルパーT細胞のインターロイキン-2、インターフェロンγ産生を抑制し拒絶反応を防
・骨髄抑制作用は弱い
・用量規制因子:腎障害(副作用と拒絶反応を鑑別すること)
・メトトレキサートに比べ、白血球の回復がやや早く、口内炎は少なく、腎障害、多毛は多い
・ステロイドを大幅に減量できる、または併用しないでよい
・肝で一部代謝され、胆汁~便へ排泄
・1日1~2回(ネオーラルは1日2回)
ネオーラルの特徴
・免疫抑制剤、カルシニューリン阻害薬、ヘルパーTリンパ球抑制薬
・ヘルパーT細胞のインターロイキン-2、インターフェロンγ産生を抑制し拒絶反応を防ぐ
・骨髄抑制作用は弱い
・ネオーラルはサンディミュンでみられた胆汁酸分泌や食事の影響を受けることなくシクロスポリンが安定して吸収されるように開発されたmicroemulsion製剤である
・用量規制因子:腎障害(副作用と拒絶反応を鑑別すること)
・メトトレキサートに比べ、白血球の回復がやや早く、口内炎は少なく、腎障害、多毛は多い
・ステロイドを大幅に減量できる、または併用しないでよい
・肝で一部代謝され、胆汁~便へ排泄
・1日2回(サンディミュンは1日1~2回)
参考書籍:薬効力 ―72の分子標的と薬の作用―
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