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アトピー外用薬の濃度と年齢の違い―コレクチム・プロトピック・モイゼルトは何歳から使える?
公開. 更新. 投稿者: 117 ビュー. カテゴリ:アトピー性皮膚炎/ステロイド外用薬.この記事は約9分43秒で読めます.
コレクチム・プロトピック・モイゼルトの違い

アトピー性皮膚炎に使われる非ステロイド外用薬には、濃度の異なる製剤があります。
- コレクチム軟膏0.5%・0.25%
- プロトピック軟膏0.1%・0.03%小児用
- モイゼルト軟膏1%・0.3%
処方を見ていると、
「低濃度が子供用で、高濃度が大人用?」
と考えたくなります。
確かにプロトピックは、
0.1%=成人
0.03%=小児
と比較的明確に分かれています。
しかし、コレクチムとモイゼルトは違います。
小児では低濃度製剤を基本としながら、症状に応じて高濃度製剤を使用することができます。
さらに重要なのが年齢です。
乳幼児まで含めると、
モイゼルト → 生後3か月以上
コレクチム → 生後6か月以上
プロトピック → 2歳以上
という違いがあります。
「小児用」という言葉だけでは分からない、3剤の濃度と年齢の違いを整理します。
まずは3剤の違いを一覧表で
処方鑑査で使いやすいように、最初に全体像をまとめます。
| 薬 | 作用機序 | 成人の通常濃度 | 小児の通常濃度 | 小児で高濃度 | 年齢の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| コレクチム(デルゴシチニブ) | JAK阻害 | 0.5% | 0.25% | ○ 症状に応じ0.5% | 6か月~ |
| プロトピック(タクロリムス) | カルシニューリン阻害 | 0.1% | 0.03%小児用 | × | 2歳~ |
| モイゼルト(ジファミラスト) | PDE4阻害 | 1% | 0.3% | ○ 症状に応じ1% | 3か月~ |
この表から分かる重要なポイントは3つです。
① 低濃度製剤は基本的に小児を意識した製剤
② コレクチムとモイゼルトでは小児にも高濃度製剤を使用できる
③ 使用できる年齢が3剤で違う
つまり、
濃度だけでなく「患者の年齢」まで見ないと処方の妥当性を判断できない
ということになります。
コレクチム―0.25%は小児、でも0.5%も小児に使える
コレクチム(デルゴシチニブ)はJAK阻害薬です。
JAKファミリーのキナーゼ活性を阻害することによって、サイトカインによるシグナル伝達を抑え、アトピー性皮膚炎の炎症やそう痒などを改善します。
成人では通常、
コレクチム軟膏0.5%
を使用します。
一方、小児では通常、
コレクチム軟膏0.25%
を使用します。
ここだけを見ると、
0.5%=成人用
0.25%=小児用
と覚えたくなります。
しかし、小児については症状に応じて0.5%製剤を使用することができます。
したがって、
小児
↓
通常0.25%
↓
症状に応じて0.5%
↓
症状が改善したら0.25%への変更を考慮
という使い方があります。
つまり、
小児にコレクチム0.5%が処方されていても、それだけでは処方ミスではない
ということです。
コレクチムは何歳から?
コレクチムについて覚えておきたい年齢のラインは、
生後6か月
です。
6か月以上の乳児にも使用できます。
一方、
低出生体重児、新生児および6か月未満の乳児
については臨床試験が実施されておらず、安全性が確立していません。
ここで注意したいのは、
「6か月未満=禁忌」ではない
ということです。
「臨床試験がなく、安全性が確立していない」という位置づけと、明確な禁忌は区別して考える必要があります。
また、6か月以上2歳未満については使用経験のある量にも限りがあるため、乳幼児では年齢だけでなく塗布量にも注意します。
処方鑑査では、
コレクチム → まず「6か月」を思い出す
という覚え方が便利です。
プロトピック―0.1%成人、0.03%小児用
プロトピック(タクロリムス)はカルシニューリン阻害薬です。
T細胞などの活性化を抑制し、炎症性サイトカインの産生を抑えることによってアトピー性皮膚炎を改善します。
製剤は、
プロトピック軟膏0.1%
と、
プロトピック軟膏0.03%小児用
があります。
販売名そのものに「小児用」と入っているため、3剤の中では最も分かりやすい薬です。
基本的には、
0.1% → 成人
0.03% → 小児
と覚えてよいでしょう。
コレクチムやモイゼルトのように、
「小児では低濃度から始め、症状によって成人と同じ高濃度へ」
という使い方ではありません。
この違いは重要です。
プロトピックの「小児用」は乳児用ではない
もう一つ重要なのが年齢です。
「0.03%小児用」という名前を見ると、
「赤ちゃんにも使えるのかな?」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、プロトピック0.03%小児用は、
2歳以上16歳未満の小児
に使用します。
つまり、
2歳未満には使用できません。
この点がコレクチム、モイゼルトとの大きな違いです。
「小児用」という名称だけで判断せず、
プロトピック → 2歳
という年齢ラインを覚えておく必要があります。
モイゼルト―0.3%は小児、でも1%も小児に使える
モイゼルト(ジファミラスト)はPDE4阻害薬です。
PDE4(ホスホジエステラーゼ4)を阻害することで細胞内cAMP濃度を上昇させ、炎症性サイトカインなどの産生を抑えます。
成人では通常、
モイゼルト軟膏1%
を使用します。
一方、小児では通常、
モイゼルト軟膏0.3%
を使用します。
したがって一見すると、
1%=成人用
0.3%=小児用
に見えます。
しかし、コレクチムと同じように、モイゼルトも小児では症状に応じて1%製剤を使用できます。
つまり、
小児
↓
通常0.3%
↓
症状に応じて1%
という使い方ができます。
したがって、
小児にモイゼルト1%が処方されていても、それだけでは処方ミスではない
ということです。
モイゼルトは生後3か月から
モイゼルトの年齢で覚えておきたいのは、
生後3か月
です。
低出生体重児、新生児または生後3か月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施されていません。
したがって3剤を並べると、
モイゼルト → 3か月
コレクチム → 6か月
プロトピック → 2歳
となります。
これは処方鑑査でかなり使いやすい覚え方です。
乳幼児ではどう違う?
乳幼児に限定して整理してみます。
生後3か月未満
モイゼルト:臨床試験なし
コレクチム:臨床試験なし
プロトピック:使用不可
この年齢で処方されていたら、特に慎重な確認が必要です。
生後3か月~6か月未満
モイゼルト:○
コレクチム:臨床試験なし
プロトピック:使用不可
この年齢では、3剤の中ではモイゼルトが使用可能です。
生後6か月~2歳未満
モイゼルト:○
コレクチム:○
プロトピック:使用不可
この時期になるとコレクチムも選択肢になります。
2歳以上
モイゼルト:○
コレクチム:○
プロトピック0.03%小児用:○
ここで3剤すべてが選択肢に入ってきます。
年齢別に見るとさらに分かりやすい
| 年齢 | コレクチム | プロトピック | モイゼルト |
|---|---|---|---|
| 3か月未満 | △ 安全性未確立 | × | △ 安全性未確立 |
| 3~6か月未満 | △ 安全性未確立 | × | ○ |
| 6か月~2歳未満 | ○ | × | ○ |
| 2歳~16歳未満 | ○ | ○ 0.03%小児用 | ○ |
| 16歳以上 | ○ | 0.1% | ○ |
※「△」は禁忌を意味するものではなく、該当年齢を対象とした臨床試験が実施されておらず、安全性が確立していないという意味です。
この表を見ると、
モイゼルト → コレクチム → プロトピック
の順に使用可能となる年齢が上がっていく、と覚えられます。
「小児」と一括りにしない
薬局では「小児」という言葉を使いますが、
生後4か月と、1歳と、5歳と、15歳では、使用できる薬や濃度が同じとは限りません。
特に今回の3剤では、
乳児なのか
2歳未満なのか
2歳以上なのか
16歳以上なのか
によって判断が変わります。
「小児だから小児用を使う」というだけでは不十分です。
「低濃度=弱い薬」ではない
もう一つ注意したいのが、濃度の数字です。
コレクチム0.5%、プロトピック0.1%、モイゼルト1%を並べると、
1% > 0.5% > 0.1%
なので、
「モイゼルトが一番強いのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、これは比較できません。
成分も作用機序も違うからです。
濃度の数字は、
同じ成分の製剤間で比較する
ものと考えた方がよいでしょう。
モイゼルト1%がプロトピック0.1%の10倍強い
という意味ではありません。
3剤は作用機序も違う
いずれも非ステロイド外用薬ですが、作用する場所は異なります。
コレクチム
JAK阻害薬
サイトカインから細胞内への炎症シグナル伝達を抑えます。
プロトピック
カルシニューリン阻害薬
T細胞の活性化や炎症性サイトカイン産生を抑えます。
モイゼルト
PDE4阻害薬
PDE4を阻害して細胞内cAMP濃度を上昇させ、炎症性サイトカイン産生などを抑えます。
つまり、
コレクチム → JAK
プロトピック → カルシニューリン
モイゼルト → PDE4
と覚えておくとよいでしょう。
非ステロイド外用薬という共通点
3剤はいずれもステロイド外用薬ではありません。
そのため、ステロイド外用薬で長期使用時に問題となる、
- 皮膚萎縮
- 毛細血管拡張
- 多毛
- ステロイドざ瘡
などとは異なる副作用プロファイルを持っています。
そのため、顔面や頸部などステロイドの長期連用を避けたい部位や、寛解維持療法などでも重要な選択肢になります。
ただし、
「非ステロイド=副作用がない」
という意味ではありません。
プロトピックでは塗布部位の灼熱感などが特徴的ですし、それぞれの薬剤について感染症などの注意点も確認する必要があります。
処方鑑査では「年齢→濃度」の順で見る
これらの薬が処方されていたら、まず、
①患者は何歳か?
を確認します。
そのうえで、
②何%が処方されているか?
を見ると判断しやすくなります。
例えば、
1歳+プロトピック0.03%小児用
であれば、「小児用だからOK」とは判断できません。
年齢の確認が必要です。
一方、
10歳+コレクチム0.5%
では、「成人用濃度が処方されている」と即座に疑義照会するのも適切ではありません。
小児でも症状に応じて0.5%を使用できるからです。
同様に、
10歳+モイゼルト1%
もあり得ます。
つまり処方鑑査では、
「小児か成人か」だけでなく、「何歳か+何%か」をセットで見る
ことが重要になります。
処方鑑査用の覚え方
最後に、かなり単純化して覚えてみます。
コレクチム
6か月~
成人:0.5%
小児:0.25% → 症状に応じ0.5%
プロトピック
2歳~
成人:0.1%
小児:0.03%小児用
モイゼルト
3か月~
成人:1%
小児:0.3% → 症状に応じ1%
年齢だけなら、
モイゼルト3か月
コレクチム6か月
プロトピック2歳
濃度なら、
コレクチム:0.5/0.25
プロトピック:0.1/0.03
モイゼルト:1/0.3
そして最も重要なのが、
コレクチムとモイゼルトは、小児でも高濃度製剤を使うことがある
という点です。
まとめ
コレクチム、プロトピック、モイゼルトには、それぞれ濃度の異なる製剤があります。
一見、
高濃度=成人用
低濃度=小児用
に見えますが、完全には正しくありません。
コレクチム
→ 生後6か月以上
→ 成人0.5%
→ 小児0.25%、症状に応じ0.5%
プロトピック
→ 2歳以上
→ 成人0.1%
→ 小児0.03%小児用
モイゼルト
→ 生後3か月以上
→ 成人1%
→ 小児0.3%、症状に応じ1%
という違いがあります。
特に処方鑑査では、
「低濃度は小児を意識した製剤だが、高濃度だから成人とは限らない」
ことを覚えておくとよいでしょう。
そして乳幼児では、
モイゼルト3か月 → コレクチム6か月 → プロトピック2歳
という使用年齢の違いが重要になります。
「小児用」という言葉だけで判断せず、患者の具体的な年齢と製剤濃度をセットで確認することが、これらの外用薬を処方鑑査するポイントです。



