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乳がんになりやすい遺伝子
公開. 投稿者:癌/抗癌剤.この記事は約7分52秒で読めます.
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乳がんと遺伝子
乳がんになりやすい遺伝子として、BRCA1とBRCA2の遺伝子変異というのが有名です。
BRCA1および2という遺伝子に変異があると、生涯の発がんリスクが一般の女性に比べ10〜19倍に高まる。
BRCA1またはBRCA2のどちらか一方、あるいは両方に変異のある女性が一生のうちに乳がんを発症するリスクは約60%。こうした変異のない女性の場合、リスクは12%だという。
さらに、BRCAに変異のある女性は比較的若いうちに乳がんを発症する公算が大きく、両乳房にがんが発症する可能性も高いという。一部の研究ではそのリスクは高くて87%とされている。
親が乳がんだと子も乳がんになる可能性が高い。
アンジェリーナジョリーは乳がん予防のため、両乳房を切除しました。
検査でBRCA1遺伝子の変異が見つかったそうです。
親の闘病生活を見ていると、少しでもリスクは減らしたいと思います。
毎年乳がん検診を受けていても、発見できないケースもあります。
BRCAの検査を受けておきたいと思う女性は多いでしょう。
しかし、親が乳がんでBRCAの検査を受けて変異があったという場合、その女性はどのような心理状況に置かれるのか。皆が皆、アンジェリーナ・ジョリーのようには戦えない。むしろそんな女性は少ない。
トリプルネガティブとBRCA
乳がんでよく聞くトリプルネガティブ。
私もネガティブですが、トリプルネガティブと聞くとどんだけネガティブなんだろうと。
トリプルネガティブ乳がんとは、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2(HER2の詳細は、よくある質問の「診断」のA4を参照してください)の3つ(トリプル)が腫瘍細胞に発現していない(ネガティブ)乳がんのことを呼んでいます。現在、乳がん全体の15~20%ぐらいがこのトリプルネガティブの患者さんといわれています。女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンは、それぞれの受容体が発現している乳がんの発生と増殖に関する因子であり、これらの受容体が発現している場合はホルモン療法が有効となります。HER2はがん遺伝子で、HER2が発現している場合は抗HER2療法の効果が期待できます。しかしトリプルネガティブ乳がんは、これらの因子とは全く関係ない発がんメカニズムを持つ乳がんですから、ホルモン療法も、HER2を攻撃する分子標的薬も効かないので、一般的に予後が悪いと言われていました。実際には個々の患者さんで発症の要因が異なり、化学療法の効果が高い病気です。
よくある質問 乳がん.JP – 乳がんの情報サイト
トリプルネガティブはホルモン療法も、HER2をターゲットにした分子標的薬も効かないということで、治療に苦慮する乳がん。
このトリプルネガティブ乳がんでは、BRCAに変異のある人だと再発率が低いという。
HER2陰性、ホルモン受容体陰性のいわゆるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)患者のBRCA遺伝子変異を解析したところ、19.5%の患者が変異を持ち、変異のある患者は再発のリスクが有意に低かったことが発表された。
トリプルネガテイブ乳癌でBRCA遺伝子に変異のある患者は再発リスクが低い可能性【ASCO BREAST 2010】:日経メディカル
出産経験が無い女性に乳癌が多い
乳がんはエストロゲン依存性を持っているといわれます。
エストロゲン依存性とは、エストロゲンが多く分泌されている時間が長いほど発症のリスクが高くなる、または病気が進行するという性質の事です。
授乳中はプロラクチンやオキシトシンが分泌されるせいでエストロゲンの分泌が抑えられます。
そのため、出産をし母乳育児をしている女性には乳癌が少ないといわれます。
遺伝子が子供を産まないような女性を排除するという選択をしているという説も。
独身女性は乳がんになる?
乳がんの多くはホルモン依存性であり、エストロゲンが重要な働きをしています。
したがって、早い初潮年齢、遅い初産年齢、少ない出産数、遅い閉経年齢など、生涯にわたる女性ホルモンへの曝露量を増大させる要因が乳がんのリスクを高めていることになります。
病気とリボンの色
○○リボン運動、というと私は乳がんのピンクリボン運動が思い浮かびます。
そのほかにも色々なリボン運動があるようで。
ブルーリボン運動というと、日本では拉致被害者の運動を思い浮かべますが、アメリカでは前立腺がんらしい。
なので、日本ではブルークローバー運動という。
その他も見ると、
ピンクリボン=乳がん
ブルークローバー=前立腺がん
ゴールドリボン=小児がん
シルバーリボン=脳に起因する病(障害)および心の病
イエローリボン=障害者
グリーンリボン=臓器移植
オレンジリボン=子供虐待防止
オレンジバルーン=緩和ケア
色んな意味を持つリボンもあるようです。
乳房同時再建術は全額自費?
乳がんの手術で、女性が一番気にするのは、胸が無くなる、変形するということだと思います。
変形した女性の胸を写真で見ましたが、やはり可哀想な気持ちになります。
そのため、乳がんの手術後に美容整形で胸にシリコンを入れて形を整える方法があります。
乳腺摘出後、すぐにシリコンを入れて、1回の手術で済ませる「乳房同時再建術」という方法もあります。
しかし、基本的に美容整形は自費扱いとなります。
保険を使った医療と自費で行う医療の併用は、混合診療となるので、乳がんの手術も保険が効かないことになり、全額自費扱いとなるので高額です。
別々に行ったほうが、乳がんの手術については保険が効かせられるので安く抑えられます。
でも手術を受ける負担は1回のほうがいいですよね。
乳房切除後疼痛症候群
患側上腕内側や腋窩、胸部の慢性的な疼痛で、乳房手術後から発症し、場合によっては数年間疼痛が続くことがあります。
症状としては、ヒリヒリ、チリチリとした疼痛で、感覚の低下やアロディニアなどの感覚異常が見られます。
原因としては、腋窩リンパ節を隔清する際、第1、第2肋間上腕神経を損傷して起こると考えられていますが、肋間上腕神経を温存していても発症する場合もあります。
治療方法としては、筋力の低下や、肩関節の可動制限や日常生活や仕事に影響がある場合は、薬物療法を行います。
薬剤は三環系抗うつ剤が第一選択です。ノリトリプチリン(ノリトレン)は、アミノトリプチリンよりも口渇、眠気などの副作用が少ないです。
外科医はこの乳房切除後疼痛症候群に関心が少なく、治療可能であるにも関わらず、放置されている患者さんが多数存在します。大事なことは、痛みの訴えを聴く医療者の姿勢です。
乳癌の化学療法薬
細胞増殖にかかわるDNA、RNA、微小管などに作用して、細胞分裂を抑制し細胞死をもたらします。
ホルモン受容体や、HER2、Ki67発現の有無にかかわらず、すべての患者が投与対象となりえます。通常は、まずホルモン受容体やHER2の発現の有無を確認し、発現している受容体に合わせてホルモン療法薬や分子標的治療薬が選択されます。
一方で、ホルモン受容体とHER2いずれも陰性であった場合はトリプルネガティブ乳がんと呼ばれ、化学療法薬のみが有効となります。
化学療法薬はがん細胞だけでなく正常細胞にも作用するため、特に髪の毛や口、消化管などの粘膜、骨髄などといった新陳代謝が活発な細胞が影響を受けやすく、脱毛や口内炎、下痢、骨髄抑制など、薬剤ごとに幅広い副作用がみられます。
副作用がみられた際にはその症状の重さによって減薬・休薬や、薬剤の変更が必要となりますが、フッ化ピリミジン系薬(カペシタビン、S-1)による手足症候群、タキサン系薬(ドセタキセル、パクリタキセル)による末梢神経障害は、上手に対処することで副作用の発現や重症化を抑えながら継続投与することができます。
乳癌のホルモン療法薬
女性ホルモンの働きを抑える作用などを持つ薬剤であり、ホルモン受容体の発現が確認された乳がん患者が投与対象となります。
術後薬物療法として使用する場合は、5年間の継続治療が目安となります。
副作用は、一般に化学療法薬と比較すると軽いと言われており、LH-RHアゴニスト(ゴセレリン酢酸塩、リュープロレリン酢酸塩)や抗エストロゲン薬(タモキシフェン、トレミフェンクエン酸塩、フルベストラント)によるほてりや発汗などの更年期様症状、アロマターゼ阻害薬(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)による関節痛などが代表的です。
多くは治療を開始して数か月から数年後に治まります。
乳癌の分子標的治療薬
乳がんで現在承認されている分子標的治療薬はHER2阻害薬とVEGF阻害薬があります。
現在、日本で乳がん治療において承認されているHER2阻害薬は、トラスツズマブとラパチニブトシル酸塩水和物です。
このうち、トラスツズマブの効能効果は「HER2過剰発現が確認された乳がん」であり、初期治療(術前・術後薬物療法でも転移または再発後治療でも使用することが可能です。
一方、ラパチニブの効能・効果は「HER2過剰発現が確認された手術不能または再発乳がん」ですので、初期治療(術前・術後薬物療法)には使用できません。
VEGF阻害薬は、すでに進行大腸がんや進行非小細胞がんにおいて承認されていますが、2011年9月に転移性乳がんに対するパクリタキセルとの併用療法でベバシズマブが承認されました。
薬剤の開発コンセプトは「がんに特異的な因子を阻害すること」ですが、少なからず正常細胞にもHER2やVEGFが発現していることから正常細胞への影響もゼロではなく。トラスツズマブでは心毒性があり、ラパチニブは下痢や皮疹がみられます。
また、ベバシズマブは高血圧が最も多くみられます。
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