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甲状腺の病気は見つけにくい?
公開. 投稿者:甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症.この記事は約3分4秒で読めます.
1,697 ビュー. カテゴリ:甲状腺の病気はみつけにくい
甲状腺の病気は見つかりにくいと言われます。
自覚症状が更年期障害など他の病気と見分けがつきにくいからです。
ただ血液検査をすればすぐにわかります。
疑わしいと感じたら医師に血液検査をお願いしましょう。
うちの奥さんも自分から申し出て発見されました。医者はただの風邪だと、風邪薬を処方してましたけど。
甲状腺の検査
甲状腺ホルモンには、トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)という二種類があります。
基準値は
T3:0.75~1.80ng/ml、遊離T3:2.50~5.50pg/ml
T4:4.50~12.5μg/dl、遊離T4:0.85~1.80ng/dl
甲状腺ホルモンの大部分は、血清蛋白と結合していますが、実際に直接、体に働く甲状腺ホルモンは、血清蛋白と結合していない遊離T4と遊離T3です。
測定法によって基準値は異なるようです。
甲状腺ホルモンの数値が高ければ甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、数値が低ければ甲状腺機能低下症(橋本病)です。
ホルモンの数値は1日のうちでも変動するので、甲状腺ホルモンの数値だけでは確定診断できません。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は脳下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺ホルモン(T3,T4)の生産を調整する働きをしています。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の基準値は0.24~3.70μIU/ml
甲状腺刺激ホルモンが少ない状態なら、甲状腺を刺激する必要がないということ=甲状腺機能亢進症、逆に甲状腺刺激ホルモンが多い状態なら甲状腺機能低下症です。
これ以外に自己抗体検査もします。
自己抗体とは、言葉通り自分に対する抗体で、自分自身を攻撃し排除しようとします。
甲状腺の自己抗体には3種類あります。
抗サイログロブリン抗体(TgAb)
甲状腺濾胞細胞内に貯蔵されている糖蛋白(サイログロブリン)に対する自己抗体。
慢性甲状腺炎(橋本病)で高頻度に陽性となるが、バセドウ病でも陽性となることがあります。
TSH受容体抗体(TRAb、TBII)
TSHレセプター抗体は、TSH受容体に対する自己抗体で、バセドウ病では90%以上が陽性となります。この抗体の結合により、TSH受容体が刺激され甲状腺ホルモンが増加します。ラジオレセプターアッセイ法で測定したものをTBII、バイオアッセイ法で測定した刺激抗体をTSAbと言います。
眼症状の活動性と関連する。
抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体=抗マイクロゾーム抗体(MCHA)
慢性甲状腺炎(橋本病)、バセドウ病で陽性となります。
高齢者のバセドウ病はわかりにくい?
バセドウ病の症状は、動悸と甲状腺の腫脹、眼球突出が三大症状ですが、ほかにも頻脈や体動時の息切れなどの循環器症状や、不眠やいらいら感などの精神神経症状、食欲の増加を伴う体重減少や発汗過多、口渇・多飲などの代謝亢進症状、手のひらが温かく湿った状態になったり毛髪が柔らかくなり脱毛しやすいといった皮膚症状など、症状は多岐にわたります。
高齢者では三大症状が目立ちにくく、バセドウ病の診断が付きにくい場合があります。
甲状腺疾患と検査値
甲状腺機能低下症の場合、甲状腺ホルモンは低い数値を示し、甲状腺刺激ホルモンは高い数値を示します。
甲状腺ホルモンが不足しているので、甲状腺刺激ホルモンが分泌され甲状腺を刺激しますが、甲状腺ホルモンは低いまま。
甲状腺機能亢進症の場合、甲状腺ホルモンは高い数値を示し、甲状腺刺激ホルモンは低い数値を示します。
甲状腺ホルモンが充足しているので、甲状腺刺激ホルモンは分泌を抑えますが、甲状腺ホルモンは高い状態のまま。
バセドウ病でTSHが低くなるのはなぜか?
バセドウ病とは、甲状腺機能亢進症。
甲状腺ホルモンの値はもちろん高くなる。
で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値は低くなる。
甲状腺機能亢進症なんだから、甲状腺を刺激するホルモンの値も高くなるんじゃないの?と思われがち。
そこはネガティブフィードバックの話。
バセドウ病では、自己抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰産生されます。
甲状腺ホルモンが十分に産生されていれば、甲状腺刺激ホルモンは不要。
これ以上、甲状腺を刺激する必要はない、お役御免、ってことでTSHは低くなるのです。
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