2020年7月12日更新.2,811記事.6,052,480文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

糖尿病治療薬一覧


分類分類商品名一般名
インスリン製剤インスリンアナログ(超速効型)ノボラピッドインスリンアスパルト
ヒューマログインスリンリスプロ
アピドラインスリングルリジン
インスリンアナログ(速効型)ノボリンR/ヒューマリンRインスリンヒト
インスリンアナログ(混合型)/二相性ノボラピッド30ミックス/50ミックス/70ミックスインスリンアスパルト二相性製剤
ヒューマログミックス25/ミックス50インスリンリスプロ混合製剤
インスリンアナログ(配合溶解)ライゾデグインスリンデグルデグ+インスリンアスパルト
ヒトインスリン(混合型)/二相性ノボリン30R/イノレット30R/ヒューマリン3/7ヒト二相性イソフェンインスリン
インスリンアナログ(中間型)ヒューマログN中間型インスリンリスプロ
ヒトインスリン(中間型)ノボリンN/ヒューマリンNヒトイソフェンインスリン水性懸濁
インスリンアナログ(持効型溶解)ランタス/ランタスXRインスリングラルギン
レベミルインスリンデテミル
トレシーバインスリンデグルデグ
SU剤SU剤(第一世代)デアメリンSグリクロピラミド
ジメリンアセトヘキサミド
アベマイドクロルプロパミド
SU剤(第二世代)オイグルコン/ダオニールグリベンクラミド
グリミクロン/グリミクロンHAグリクラジド
SU剤(第三世代)アマリールグリメピリド
速効型インスリン分泌促進薬スターシス/ファスティックナテグリニド
シュアポストレパグリニド
グルファストミチグリニドカルシウム水和物
ビグアナイド系グリコランメトホルミン塩酸塩
ジベトスブホルミン塩酸塩
メトグルコメトホルミン塩酸塩
αグルコシダーゼ阻害薬グルコバイアカルボース
ベイスンボグリボース
セイブルミグリトール
チアゾリジン誘導体アクトスピオグリタゾン塩酸塩
インクレチン関連薬DPP4阻害薬グラクティブ/ジャヌビアシタグリプチンリン酸塩水和物
エクアビルダグリプチン
ネシーナアログリプチン安息香酸塩
トラゼンタリナグリプチン
テネリアテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物
スイニーアナグリプチン
オングリザサキサグリプチン水和物
ザファテックトレラグリプチンコハク酸塩
マリゼブオマリグリプチン
GLP-1アナログビクトーザリラグルチド
バイエッタエキセナチド
ビデュリオンエキセナチド
リキスミアリキシセナチド
トルリシティデュラグルチド
チアゾリジン誘導体+ビグアナイド系メタクトピオグリタゾン塩酸塩+メトホルミン塩酸塩
チアゾリジン誘導体+SU剤ソニアスピオグリタゾン塩酸塩+グリメピリド
チアゾリジン誘導体+DPP4阻害薬リオベルピオグリタゾン塩酸塩+アログリプチン安息香酸塩
速効型インスリン分泌促進薬+αGIグルベスミチグリニドカルシウム水和物+ボグリボース
DPP4阻害薬+ビグアナイド系エクメットビルダグリプチン+メトホルミン塩酸塩
イニシンクアログリプチン安息香酸塩+メトホルミン塩酸塩
SGLT2阻害薬スーグライプラグリフロジンL-プロリン
フォシーガダパグリフロジンプロピレングリコール水和物
ルセフィルセオグリフロジン水和物
デベルザ/アプルウェイトホグリフロジン水和物
カナグルカナグリフロジン水和物
ジャディアンスエンパグリフロジン
DPP4阻害薬+SGLT2阻害薬カナリアテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物+カナグリフロジン水和物
種類種類主な作用血糖降下作用低血糖リスク体重主な副作用
インスリン抵抗性改善系ビグアナイド薬肝臓での糖新生の抑制高い低い不変~若干減少?消化器症状(下痢、腹部膨満感)、乳酸アシドーシス、ビタミンB12欠乏
チアゾリジン薬骨格筋・肝臓でのインスリン感受性の改善(主に脂肪組織に作用)高い低い増加浮腫、心不全、骨粗鬆症、膀胱癌(?)
インスリン分泌促進系SU薬インスリン分泌の促進高い高い増加低血糖
グリニド薬より速やかなインスリン分泌の促進・食後高血糖の改善中等度中~低不変~やや増加?低血糖(特に肝・腎に障害がある患者)
DPP-4阻害薬血糖依存性のインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制中等度低い不変SU薬併用時の低血糖、急性膵炎(?)、関節痛、アシドーシス、水疱性類天疱瘡
糖吸収・排泄調節系α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)炭水化物の吸収遅延・食後高血糖の改善高い低い不変~若干減少?消化器症状(腹部膨満感、放屁の増加、下痢)
SGLT2阻害薬腎での再吸収阻害による尿中ブドウ糖排泄促進中等度低い減少性器感染症、尿路感染症、脱水、低血糖、皮疹、ケトアシドーシス

糖尿病治療薬

インスリン抵抗性改善薬:ビグアナイド薬、チアゾリジン薬
インスリン分泌促進薬:スルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬、DPP4阻害薬、GLP-1受容体作動薬
糖吸収・排泄調節薬:αグルコシダーゼ阻害薬、SGLT2阻害薬
インスリン製剤

ビグアナイド系薬

ビグアナイド薬は、肝臓内のATP産生を誘導するAMP活性化キナーゼ(AMPK)を活性化することで、乳酸ATPの増加を図り、乳酸からグルコースを産生する糖新生を抑制する。

また、AMPKが活性化されると細胞内脂肪がエネルギー源として燃焼される方向に働き、さらに脂肪肝の患者ではインスリン抵抗性が改善する。

また、消化管における糖吸収の抑制や骨格筋へのブドウ糖取り込み促進などの作用を示す。

ビグアナイド系薬の特徴

・体重増加を起こしにくい
・腎機能障害・肝機能障害のある者には禁忌となる(メトグルコは、中等度以上の腎機能障害・重度の肝機能障害のある者には禁忌となる)。

ビグアナイド系薬の効果・利点

肝臓でブドウ糖が新しく作られるのを抑制し、インスリンの働きを良くする。また、腸からブドウ糖が吸収されるのを抑制します。

ビグアナイド類はフェンホルミンで乳酸アシドーシスの副作用により死者が出たことから1970年代以後使用されなくなっていたが、最近になってメトホルミンのインスリン抵抗性改善作用が注目され復権を果たした。
ビグアナイド類にはインスリン分泌促進作用はなく、肝臓からの糖放出抑制、末梢での糖取り込みの促進、消化管からの糖吸収抑制により血糖を降下させる。

最近、メトホルミンの主要細胞内標的分子がAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)であることが明らかになり、AMPKをリン酸化することで糖・脂質代謝に多様な降下をもたらし、インスリン抵抗性を改善することが明らかになった。
欧米では、肥満のある場合の第一選択薬として用いられており、SU類と同等の血糖改善があるとされているが、食事内容、肥満度、使用できる用量などが異なる日本人での効果は確立していない。

ビグアナイドの利点

・豊富な処方経験
・体重増加なし
・低血糖なし
・心血管イベント減少の可能性(UKPDS研究)

ビグアナイド系薬の副作用・欠点

【ビグアナイドの欠点】
・消化管症状(下痢、腹部痙攣)
・乳酸アシドーシスのリスク(まれ)
・ビタミンBl2欠乏
・複数の禁忌項目(CKD、アシドーシス既往、低酸素血症、脱水など)

主な副作用は消化器症状である。
また、まれに重大な副作用として乳酸アシドーシスがあらわれることがある(透析患者を含む腎機能障害患者や心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者、脱水・シックデイ・過度のアルコール摂取などを認める患者、高齢者などであらわれやすいことが報告されている)。

ビグアナイド類の副作用で最も注意すべきものは乳酸アシドーシスで、メトホルミンによる発生頻度は9.6~16.2人/10万人であるが、発生すると致命率は50%に及ぶ。
服用中の患者でも下痢や嘔吐などで脱水をきたす危険があるときは服用を中止する。

肝・腎機能、心肺機能に障害のある患者、アルコール多飲者、高齢者では禁忌である。
また、ヨード造影剤を用いる時には一時的に中止する。

メトグルコ

ビグアナイド系経口糖尿病薬。

ビクアナイド剤は、1970年代後半にフェンホルミン(日本では未発売)による重篤な乳酸アシドーシスが問題となり、世界的に使用量が減少した。

日本で中心的に使用されてきたビグアナイド剤であるメトホルミンも、乳酸アシドーシスに対する懸念などから、最高投与量が1日750mgまでとされるなど、使用が制限された状態が続いていた。

1990年代になって、世界的にビグアナイド剤が見直され、メトホルミンを使った大規模臨床試験が欧米で実施された。

その結果、メトホルミンは、これまで広く使用されてきた経口糖尿病薬であるスルホニルウレア剤(SU剤)と比較しても、体重増加が認められず、インスリン抵抗性を改善する効果があるなど、メリットがあることが明らかになった。

メトホルミン服用者での乳酸アシドーシスの発生頻度は、フェンフォルミンに比べて低いことも明らかになった。

チアゾリジン系薬

チアゾリジン薬は、末梢組織でのインスリン感受性亢進や、肝臓からのブドウ糖放出抑制などによりインスリン抵抗性を改善する薬剤です。

チアゾリジン誘導体は末梢の脂肪組織に多く発現している核内受容体転写因子PPARγのリガンドであり、インスリン抵抗性を改善させるアディポネクチンを増加させるとともに、インスリン抵抗性を惹起するTNFαなどのアディポサイトカインを抑制する。

チアゾリジン系薬の特徴

・体重増加を起こしやすい。
・体液貯留を起こしやすく、心不全患者やその既往がある者には禁忌となる。また、循環器系の副作用があらわれることがあるため、定期的に心電図検査を行う。
・重度の腎機能障害・重度の肝機能障害のある者には禁忌となる。また、基礎に肝機能障害がある場合には、定期的に肝機能検査を行う。

チアゾリジン系薬の副作用

主な副作用は浮腫である。また、海外の疫学調査により膀胱癌の発症リスクをわずかに上昇させることが報告されている。

スルホニル尿素薬(SU剤)

SU薬は、膵β細胞膜上のスルホニルウレア受容体(SU受容体)に結合してATP感受性K+チャネルを閉鎖し細胞膜の脱分極を引き起こす。

結果、電位依存性L型Ca2+チャネルが開口し、細胞外からのCa2+流入により細胞内Ca2+濃度が上昇し、この上昇でインスリン分泌顆粒の開口放出が起こると推察される。

SU剤の特徴

・強力な血糖降下作用を示すが、長期投与により効果が減弱することがある(二次無効)。二次無効時には他剤への切り替えによりインスリン分泌能が回復する場合がある。
・体重増加を起こしやすい。
・重度の腎機能障害・重度の肝機能障害のある者には禁忌となる。

SU剤の副作用

低血糖リスクが経口血糖降下薬の中で最も高い(低用量でも低血糖があらわれることがあり、遷延化しやすい)。高齢者や腎・肝機能障害例、DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬併用例、SGLT2阻害薬併用例では低血糖を招きやすいことから必要に応じて減量を考慮する。(特に65歳以上の高齢者や、血清クレアチニン1.0mg/dL以上の軽度腎機能低下例でSU薬を投与している患者にDPP-4阻害薬を追加する場合には必ずSU薬を減量する)。

糖尿病内服治療薬の中では、最も多く使用されている薬です。
SU(エスユー)薬は、インスリンを合成する膵臓のβ細胞に働き、インスリンの分泌を促進させる薬です。また、末梢の筋肉でのブドウ糖利用を高め、肝臓からのブドウ糖放出を抑制する膵外作用もあるとされています。

SU類は膵β細胞にあるSU受容体と結合し、ATP感受性Kチャネルを閉鎖して、β細胞膜の脱分極を来したし、電位依存性Caチャネルより細胞外Caが流入してインスリンの分泌を起こす。
したがってSU類が適応となるのは内因性インスリン分泌能が残っている症例であり、対象となる症例は食事療法と運動療法を十分に行ってもコントロールが得られない非肥満2型糖尿病である。
Ⅰ型糖尿病や膵疾患に伴う糖尿病などではSU類は無効である。

グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)はSU類の中で最も強力で、長時間作用するので1日に1~2回の投与でよく、現在、広く使用されている。
グリクラジド(グリミクロン)は血糖低下作用以外に抗酸化作用や血小板機能亢進を抑える作用があり、糖尿病の血管病変への効果が期待される。
グリメピリド(アマリール)はSU受容体との結合解離速度、結合親和性が今までのSU類と異なり、インスリン分泌促進作用は弱い。しかし血糖低下作用はグリベンクラミドとほぼ同等で、そのため本剤は膵外作用として、インスリン抵抗性改善作用を併せ持つと考えられている。

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系薬)

グリニド薬は、SU薬と同様にSU受容体に作用することでインスリン分泌を促進する薬剤です。
グリニド薬はSU薬と比較して効果発現が速く、短時間でその作用が消失するため必ず食直前に服用します。

グリニド系薬の特徴

・食後高血糖が主体となっている症例に良い適応となる。
・ナテグリニドは透析を必要とするような重篤な腎機能障害のある者には禁忌となる。

グリニド系薬の副作用

単剤では低血糖リスクは低いとされる。ただし、投与から食事までの時間が長い場合は低血糖を招く恐れがあることから用法を遵守する。

DPP4阻害薬

DPP-4阻害薬はインクレチンと呼ばれるホルモンに関係する薬である。
ではインクレチンとは、どんなホルモンなのか。

簡単に言ってしまうとインクレチンは「膵臓からのインスリン分泌を促すホルモンの総称」だ。
食事をとった時に、インクレチンは腸管から分泌される。
そして分泌されたインクレチンは、血糖値を下げるインスリンの分泌を促す。

このように、通常は血糖値が下がるようになっている。
しかしインクレチンは、DPP-4と呼ばれる物質によって分解されてしまう。
その結果、血糖値を十分に下げられないのだ。
そこでDPP-の働きを阻害してやれば、インスリン分泌を促進できるので血糖値を下げられることが分かる。

DPP-4阻害薬の作用機序

DPP-4阻害薬はDPP-4の働きを阻害することで、活性型GLP-1濃度や活性型GIP濃度を高め血糖依存性のインスリン分泌促進作用やグルカゴン分泌抑制作用を示す薬剤です。

膵β細胞からのインスリン分泌を促進するグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)はジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)で速やかに分解・不活性化される。
DPP-4を選択的・可逆的に阻害することで内因性GLP-1濃度を高め、血糖依存性にインスリン分泌を促進させるとともに膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制し、血糖降下作用を発揮する。

DPP-4阻害薬の特徴

・体重増加を起こしにくい。
・全ての経口血糖降下薬、インスリン製剤との併用が可能である。
・胆汁排泄型のリナグリプチンやテネグリプチンは腎機能障害例でも通常用量で使用できる(そのほかの薬剤は腎排泄型であり、腎機能に応じて用量調節する)。
・トレラグリプチンは重度の腎機能障害のある者や透析中の末期腎不全患者、ビルダグリプチンは重度の肝機能障害のある者には禁忌となる。

DPP-4阻害薬の副作用

主な副作用は消化器症状である。血糖依存的に作用を示すことから、単剤では低血糖リスクは低いとされる。ただし、SU薬併用例では重症低血糖を起こす恐れがあることから、併用時にはSU薬の減量を考慮する。

GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は、膵β細胞膜上のGLP-1受容体に作用することで血糖依存性のインスリン分泌促進作用やグルカゴン分泌抑制作用を示す薬剤です。

膵β細胞膜上のGLP-1受容体に結合し、グルコースの代謝により生じたATPからcAMPの産生を促進させることにより、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させる。

さらに、血糖値が高い場合には、膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制する。

GLP-1受容体作動薬の特徴

・胃内容物排出抑制効果があり、空腹時血糖値食後血糖値の両方を改善する。
・食欲抑制効果があり、体重減少が期待できる。
・エキセナチドは、透析患者を含む重度の腎機能障害のある者には禁忌となる。

GLP-1受容体作動薬の副作用

主な副作用は投与初期に見られる消化器症状であり、漸増投与を行うことで発現リスクを回避する(連日投与型の製剤のみ)。血糖依存的に作用を示すことから、単剤では低血糖リスクは低いとされる。
ただし、SU薬やインスリン製剤併用例では重症低血糖を起こす恐れがあることから、併用時にはSU薬やインスリン製剤の減量を考慮する。
また、急性膵炎の報告があり、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などがあらわれた場合には、急性膵炎の可能性を疑う。

αグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

αーGIは、αグルコシダーゼの働きを阻害することでブドウ糖の吸収を遅延させ、食後高血糖を改善する薬剤です。

腸管において二糖類(ショ糖)から単糖類(ブドウ糖)への分解を担う二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)を阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善する。

その作用機序から、必ず食直前に服用します。

α-GIの特徴

・体重増加を起こしにくい。
・食後高血糖を改善するグリニド薬との併用による相乗効果が期待できる。
・GLP-1の分泌を促進することが報告されており、DPP-4阻害薬との併用による相乗効果が期待できる。

α-GIの副作用

主な副作用には腹部膨満感、放屁の増加、下痢などがあり、高齢者や開腹手術の既往がある症例などでは腸閉塞などの重篤な副作用につながる恐れがある。
単剤では低血糖リスクは低いとされるが、SU薬やインスリン製剤併用例などでは低血糖に注意が必要であり、低血糖時には必ずブドウ糖を投与する。
また、重度の肝機能障害があらわれることがあるため、定期的に肝機能検査を行う。

SGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬は、近位尿細管においてブドウ糖の再吸収を担う輸送体であるSGLT2を阻害することで、ブドウ糖排泄を促進する薬剤です。

Na+の濃度勾配を駆動力としてグルコースを細部内へ能動輸送するトランスポーターSGLT2を阻害することで、腎近位尿細管でのグルコース再吸収を抑制し、血液中の過剰なグルコースを体外に排出することで血糖値を低下させる。

SGLT2阻害薬の特徴

・腎機能低下例では効果が減弱する可能性があるため、腎機能の保たれている症例に良い適応となる。
・体重減少が期待できる。

SGLT2阻害薬の副作用

主な副作用には尿路感染症や性器感染症、ケトアシドーシス、皮疹などがある。
浸透圧利尿作用が働き多尿・頻尿となることがあるため、脱水に注意し過度な水分摂取を行う必要がある。
また、単剤では低血糖を起こしにくいが、インスリン製剤やインスリン分泌促進系薬との併用時には減量を考慮する。

GLUTとSGLT

グルコースは細胞にとって、最も普遍的なエネルギー源として使われる。
しかし、水溶性であるグルコースは脂質で構成される細胞膜を自由に通過できず、そのための特別な通路がglucose transporter(グルコーストランスポーター)である。

グルコーストランスポーターはGLUT(促通核酸糖輸送担体:facilitative Glucose Transporter)とSGLT(ナトリウム・糖共輸送担体:Sodium Glucose Co-transporter)に大別される。

GLUTは細菌から哺乳類に至るまで構造が保持されており、すべての細胞に発現が認められる。濃度依存性の輸送形式を呈し、細胞内外のグルコース濃度が等しくなるように作用する。

一方、SGLTの発現は、ほ乳類の腸管や腎尿細管などに限局しており、グルコースとNaを同時に輸送する特徴を有している。
細胞内のNa濃度が細胞外と比べ非常に低いために、SGLTではグルコースとNaは常に細胞外から細胞内へと輸送することになる。
細胞内に入ったNaはNa/K ATPaseによって細胞外(血管側)に放出され、一方、細胞内に入ったグルコースは血管側に発現しているGLUTを介して血液中に出ていく。したがって、SGLTによるグルコース取り込みは、Na/K ATPaseによるATPの消費を必要とする二次的能動輸送と考えられている。

インスリン製剤

インスリン療法は、インスリン依存状態の糖尿病において不足した内因性インスリン分泌を補う治療法であり、健常者の血中インスリンの変動パターンを模倣することを基本とします。

インスリン製剤は、作用の発現や持続時間により超速効型、速効型、中間型、混合型、混合溶解、持効型溶解に大別されます。
なお、混合型は速効型(または超速効型)と中間型、配合溶解は超速効型と持効型溶解を混合しています。

インスリン注射の基本的な手順

①キャップを外し、ゴム栓を消毒する
②注射針を付ける
③懸濁製剤は白く濁るまで往復10回以上、上下に振る
④空打ちの目盛りに合わせ、針先を上に向けて気泡を集める。注入ボタンを押し、薬液が出ることを確認する。空打ちは毎回行う
⑤目盛りが0に戻ったことを確認し、注射する単位に合わせる
⑥注射部位を消毒する。注射部位は毎回ずらす
⑦皮膚をつまんで注射針をまっすぐ刺し、注入ボタンを押す。そのまま5~10秒数える(製剤により異なる)
⑧注入ボタンを押したまま針を抜く
⑨針ケースをかぶせて針を外し、正しく廃棄する

糖尿病

糖尿病とは、インスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患です。
インスリンの作用とは、インスリンが体の組織で、代謝調節を発揮することをいいます。

インスリンの需要と供給のバランスがとれていれば、血糖を含む代謝全体が正常に保たれます。
インスリンの作用不足による高血糖が低度であれば無症状ですが、中等度以上の高血糖が持続すると口渇・多飲・多尿・体重減少・易疲労感を呈します。
高度になるとケトアシドーシス、昏睡に至ることもあります。

高血糖の持続により、糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)および動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管障害、閉塞性動脈硬化症)が惹起され、患者のQOLが著しく低下します。

1型糖尿病は多尿・口渇・多飲(高血糖による脱水症状)、体重減少(インスリン欠乏によって糖が取り込めない)などの症状、または糖尿病ケトアシドーシスによる意識障害などによって発見されることが多い。
2型糖尿病は初期は無症状だが、進行すればインスリン分泌が高度に障害され、1型と同様に多尿・口渇・多飲、体重減少をきたすようになる。

1型糖尿病

膵β細胞の破壊により、インスリン分泌が急速・不可逆的に低下して起こる糖尿病。
インスリン分泌能は最終的には廃絶し、生存のためにインスリン投与が必須の状態(インスリン依存状態)となる。

1型糖尿病の多くは、遺伝因子に加え、ウイルス感染などの環境因子が引き金となって、自己免疫異常が起こり、膵β細胞が破壊されることで発症すると考えられている。

2型糖尿病

インスリン分泌障害と、インスリン抵抗性の亢進が様々な程度で関与して起こる糖尿病。
生活習慣病の代表ともいうべき疾患で、全糖尿病に占める割合は95%以上である。

2型糖尿病は1型糖尿病と異なり進行が緩徐であるため、発症しても長期間自覚症状がなく気づかれなかったり、早期に診断されても自覚症状がないため受診・治療を中断してしまったりすることが多い。しかし、この間にも合併症は進行していく。

何らかの自覚症状が出現してようやく受診したときには、すでに合併症が存在していたり、合併症が重症化していたりする。
このため、高血圧と同様に「サイレントキラー」とよばれることもある。
したがっ早期発見・早期治療が最も重要である。

2型糖尿病の発症には、インスリン分泌障害とインスリン抵抗性が関与しており、ともに複数の遺伝因子によって規定されている。
さらに、インスリン抵抗性には主に生活習慣に起因する環境因子も大きく関与している。
インスリン分泌障害とインスリン抵抗性の関与の程度は一人一人異なる。

 1型糖尿病2型糖尿病
成因主に自己免疫を基礎とした膵β細胞の破壊インスリン分泌低下、インスリン抵抗性
病態主にインスリン依存状態(絶対的なインスリン欠乏)⇒生命維持にインスリン治療が不可欠主にインスリン非依存状態(相対的なインスリン不足)⇒生命維持にインスリン治療は必須ではない
発症年齢若年期に多い(中高年でも認められる)40歳以上に多い(近年は若年発症も増加している)
肥満との関係性関係性はない肥満、または肥満の既往が多い
家族歴血縁者における糖尿病は、2型糖尿病より少ない血縁者にしばしば糖尿病を認める
症状の進行多くの場合、急激に症状があらわれる進行するにつれて緩徐に症状があらわれる

インスリン抵抗性

血中インスリン濃度に見合ったインスリン作用が得られない状態であり、インスリン受容体の減少、インスリン拮抗物質の存在、インスリン受容体からの細胞内へのシグナル伝達異常などが考えられる。
インスリン抵抗性には、内臓脂肪の蓄積が関与するといわれている。

血糖調節に関わるホルモン

通常、血糖値が上昇すると、膵ランゲルハンス島β細胞より分泌されるインスリンの作用により、血中のグルコースが肝臓や筋肉、脂肪細胞などに取り込まれ血糖値が低下します。
一方、血糖値が低下した場合には、インスリン分泌は抑制され、グルカゴンや甲状腺ホルモン、コルチゾール、成長ホルモンなどの作用により血糖値が上昇します。
また近年注目されているホルモンであるインクレチンは、膵β細胞に作用することでインスリン分泌を血糖依存的に促進します。

インクレチン

代表的なインクレチンには、小腸上部のK細胞から分泌されるGIPと、小腸下部のL細胞から分泌されるGLP-1があります。
このうち、GLP-1はインスリン分泌促進作用が強く、加えてグルカゴン分泌抑制や食欲抑制、胃運動抑制などの作用も示すことが知られています。
通常、インクレチンは食事による刺激を受けて分泌が促進されますが、血中のDPP-4と呼ばれる酵素により数分で不活性化されます。

インクレチンで糖尿病が治る?

インクレチンはインスリンの分泌を促すホルモンです。
食後に腸管から分泌されます。

インクレチンは血糖値のレベルに合わせてインスリンの分泌を促し、また膵臓のα細胞で作られ血糖値を上げる働きをするホルモンであるグルカゴンの分泌を抑え、血糖値を下げる働きをします。
インクレチンの優れた点は、まず低血糖を起こすことが無い、そのため量を調節する必要が無いということです。

もうひとつは膵臓の機能を回復させるという点です。
糖尿病では膵臓のβ細胞が減少していきます。一度壊れたβ細胞は元には戻らないので、糖尿病は治らないと言われています。それがインクレチンによって回復するのであれば、糖尿病が治る可能性があるということです。

しかし、インクレチンもインスリンと同じホルモンなので、飲んでも消化管で分解されて効きません。注射しなけばなりません。
そのため内服でも効果のある「DPP-4阻害薬」が発売され、期待されてます。

糖尿病の原因はインクレチンの減少?

インクレチン作用の低下は糖尿病状態に基づく二次的な変化なのか、インクレチンが減少したために糖尿病を発症するのかは明らかではありません。
しかし、少なくとも糖尿病になると二次的な影響として、インクレチン作用が低下することは間違いありません。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

そんな薬剤師には、m3.com(エムスリードットコム)の、薬剤師のための「学べる医療クイズ」がおすすめ。

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プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
好きな言葉:三流の自覚持って社会人失格の自覚持ってプロの仕事しましょう。

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