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イップスはジストニア?
公開. 投稿者:統合失調症.この記事は約3分30秒で読めます.
1,749 ビュー. カテゴリ:ジストニア
ジストニアと聞くと、なんだか大それた病気のように聞こえるが、スポーツ選手が陥るイップス(ゴルフでパットやスイングが打てなくなったり、野球における投球障害など)や、文字が書けなくなる(書痙)、楽器(ピアノ、バイオリン、ギターなど)が弾けなくなるといった症状も含まれ、軽微な症例まで含めると患者数は数十万人にも及ぶと推定される身近な病気なのです。
ジストニアは「反復性・捻転性の一定のパターンを持った筋収縮により、異常な運動、または異常な姿勢を来す病態」と定義されます。
ジストニアで知能が侵されたり、視力、聴力などの感覚器に障害が起こったりすることはなく、生命に関わることも少ないですが、安静時にも出現し、書字、会話、走行などにも支障を来すため、患者のADLは著しく低下します。
ジストニアの臨床的特徴には、以下のようなものがある。
①異常な姿勢や動作のパターンは一定(常同性:例えば口の運動は閉口、開口のいずれか、また斜頸が右になったり左になったりすることはない)
②特定の動作や環境によって、症状が出現したり増悪したりする(動作特異性)
③感覚刺激により、一時的に症状が軽減することが多い(感覚トリック)
④起床後、しばらくは症状が軽い(早朝効果)
⑤動作時の環境で症状が増強される(オーバーフロー現象:動作時に不必要な筋が収縮)
⑥何らかのきっかけで(あるいは一見誘引なく)、急に増悪、もしくは軽快する(フリップフロップ)
様々なジストニア
脳(主に大脳基底核)や神経系統の何らかの障害により、持続的または不随意に筋肉が収縮したり固くなったりする難治性の疾患です。筋肉が自分の意志どおりに動かなくなり、異常な動作や姿勢になります。知的機能障害や視力・聴力などの感覚機能障害はなく、生命に関わる疾患ではありません。発病の早い段階ではストレスや情緒により影響されることがあるといわれています。
ジストニアは、全身の筋肉が異常に動いてしまう全身性ジストニア、体の一部のみ筋緊張の異常が起こる局所性ジストニアに分類されます。局所性ジストニアは痙性斜頚のほか、痙攣性発声障害(声が出ない、詰まる)、眼瞼痙攣(眼がぎゅっ閉じて開けられない)、書痙(力が入って字が書きにくい、箸を持ちにくい)、職業性ジストニア(音楽家やプログラマー、美容師などで、特定の職業動作に伴って出現する)などがあります。スポーツ選手に起こりやすいイップスとよばれる症状も職業性ジストニアと考えられています。
原因で分類すると、一次性(原発性)ジストニア(原因不明や遺伝子異常を含む)と、二次性(続発性)ジストニア(別の疾患やケガが元になっているもの)に分類されます。パーキンソン病に伴うジストニアや薬剤性ジストニア(ドパミン遮断作用をもつ抗精神病薬による錐体外路系の副作用)など、原因がわかっているものは二次性ジストニアです。
ジストニアを誘発する薬剤
ジストニアの発症機序は明らかではないが、抗精神病薬(D2遮断薬)をはじめ、D2遮断作用を有する薬剤、D2作用を阻害する可能性のある薬剤、D2受容体の情報伝達を阻害する薬剤、コリン作動薬などがジストニアを誘発するとされている。
また、抗パーキンソン病薬、カルシウム拮抗薬、抗不安薬など原因薬剤は多岐にわたる。
日本神経学会の「ジストニア診療ガイドライン2018」では、少なくとも中枢神経に作用する薬を服用中の患者は、常に薬剤性ジストニアを疑う必要があるとされている。
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