2019年11月20日更新.3,359記事.6,226,545文字.

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SGLT2阻害薬で腎機能改善?

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糖尿病患者とeGFR

糖尿病の患者で、腎機能の数値eGFRが上がっていれば「腎機能改善した?」と思いますが、基本的に腎機能が改善することはなく、糖尿病性腎症の初期の一過性のeGFR上昇とみられる。

糖尿病性腎症の一般的な経過として、糖尿病発症後に、まず糸球体過剰濾過が起こり、一時的に推算糸球体濾過量(eGFR)が上昇する。

その後、病態の進行に伴って微量アルブミン尿が表れるようになると、eGFRの値は低下し、見かけ上はいったん正常化する。しかし、病態がさらに進行すると、eGFRは急速に低下する。

なぜ糖尿病患者では糸球体過剰濾過が起こるのか。
糸球体と尿細管の間には、GFRの変動を小さくするための自動調節機構(尿細管糸球体フィードバック機構:TGF)が備わっている。
正常の生理的環境下では、遠位尿細管にあるマクラデンサ細胞が、尿中に到達したナトリウム(Na+)量を感知し、糸球体の輸入細動脈の血管抵抗を調節し、恒常性を維持している。

しかし、高血糖環境下では、糸球体から多量のグルコースが濾過され、近位尿細管に流れ込む。濾過された多量のグルコースは、近位尿細管に存在するNa-グルコース共輸送体(SGLT)2を介してNa+とともに再吸収を受けるため、下流にある遠位尿細管のマクラデンサ細胞に到達するNa+が減少する。
このNa+の減少を、マクラデンサ細胞は、「GFRが低下している」と錯覚し、輸入細動脈を拡張させる誤ったシグナルを送ってしまう。糖尿病患者ではこうしたTGFの破綻により糸球体過剰濾過が起こると考えられている。

つまり、糖尿病患者の初期のeGFR上昇は、腎機能の改善とはもちろん違い、腎機能の悪化にもまだ至っておらず、腎臓の働かせすぎ状態が起こっている。

これに対し、SGLT2阻害薬は、Na・グルコースの共輸送を抑制し、遠位尿細管へ到達するNa+を増加させることでTGFを正常化し、糸球体過剰濾過を是正する。
糖尿病に伴う輸入細動脈の拡張に対して、RAS抑制薬が輸出細動脈を拡張させるのに対し、SGLT2阻害薬は輸入細動脈の拡張を是正する。

参考書籍:日経DI2019.10

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