2024年4月17日更新.2,754記事.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたいなと。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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腰痛患者は安静にする?

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安静=寝ていること?

腰痛患者が安静を指示されると、「安静=寝ていること」と考える人も多い。

しかし、腰痛患者にとっての安静とは、寝ていることでは無く、腰椎への負担が少ない姿勢で過ごすことを意味している。
腰椎の椎間板にかかる圧力は、直立の状態を100とすると、椅子に座った状態では140、前傾して立った状態では150、座って前傾する姿勢では185の圧力が掛かるとされる。

日常生活で「前傾して立った状態」とは、たとえば洗面台で顔を洗うときや物を持ち上げるときの姿勢である。
そんなときは膝を軽く曲げて、腰の位置を下げると腰椎への負担が小さくなる。

「座りながら前傾する姿勢」は、机に向かってパソコン作業をしているときなどが当てはまる。
1時間のデスクワークのうち、10分程度は椅子から立って、腰を伸ばし、歩くようにするのがよい。
膝が股関節よりも高くなるようにするのも効果的。
座面が高い椅子の場合は、足元に台などを置いて調節するとよい。

寝るときの姿勢は、側臥位(横向き)で膝を曲げた姿勢が最も腰への負担が小さい。
仰向けなら膝の下に、うつ伏せなら腰の下に、枕やタオルを入れるといい。

痛みの恐怖回避モデル

近年、腰痛が長引く要因の1つとして、痛みへの強い不安や腰痛再発に対する過剰な回避行動が、痛みの悪循環をもらたしていることが明らかになってきた。

こうした痛みの悪循環は、「痛みの恐怖回避モデル(Fear-avoidance model)」と呼ばれる。

長引く腰痛の患者では、痛みへの意識が必要以上に強くなることで、過度に安静を保ったり、活動的でなくなったりする。その結果、筋力が低下し、血流が悪化するなどして、廃用症候群や日常生活動作(ADL)の低下、抑うつ傾向となり、腰痛がさらに増悪してしまう。

また、慢性腰痛の患者の中に痛みを感じやすくなっている人がいることも最近の研究で明らかになっている。

ヒトには本来、痛みが起きても、それを抑えようとする機構(下行性疼痛抑制系)が働くようになっている。しかし、不安や恐怖、ストレスを強く感じている人は、この機構がうまく働かず、脳内のドパミンシステムやオピオイドシステムが機能不全に陥り、痛みを感じやすくなったり、痛みが長引いたりすると考えられている。

痛みへの不安や恐れを軽減し、活動性を維持するために、適切な薬物治療で痛みをコントロールすることが重要です。

ロコモティブシンドロームとは

最近、よく耳にするロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)。

ロコモティブは「運動の」という意味です。 「機関車」という意味もあります。

なので、ロコモティブシンドロームは運動器症候群と訳します。

骨や筋肉、関節など運動器の働きが衰え、生活の自立度が低くなり、要介護の状態や要介護となる危険の高い状態のことをいいます。

国民生活基礎調査(〇七年)によると、介護が必要になった理由は、脳卒中(23・3%)、認知症(14%)が上位を占めるが、四位の関節疾患(12・2%)と五位の骨折・転倒(9・4%)を合わせると、五人に一人は運動器の障害が原因になっている計算です。

  • 家の中でつまずいたり滑ったりする
  • 階段を上るのに手すりが必要である
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない
  • 片脚立ちで靴下がはけなくなった
  • 2kg 程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)
  • 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

1つでも当てはまればロコモの心配があります。

サルコペニアとは

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とサルコペニアは類似した概念で、混同されやすい。

ロコモティブシンドロームは、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態、一方、サルコペニアは、進行性および全身性の筋肉量および筋力の低下を特徴とする症候群とされている。

ロコモティブシンドロームは、要介護状態になるリスクが高くなる。一方、サルコペニアは、身体的な障害や生活の質の低下、および死などの有害な転帰のリスクを伴うとされる。

加齢に伴って、「足腰が弱る」ことは古くから経験的にも知られていたが、長い間、自然な老化過程で生じる現象と受け止められ、病的状況と捉える発想はなかった。

この「足腰が弱る」という状態は、関節機能が、腰や膝、股関節などにおいて、移動制限や疼痛を伴って低下する場合が典型であるが、ほかにも、筋肉、骨、軟骨、関節等の体を動かす運動器全体の衰えが様々な組み合わせで生じる広い概念と、筋肉が量的減少や質的劣化を生じて移動能力が低下する状況が混在しているように考えられる。

前者がロコモティブシンドロームの概念、後者が筋肉が加齢とともに衰えて筋肉量が減少し、筋力あるいは身体機能も低下した病態を意味するサルコペニアの概念に該当するようになった。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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本の紹介

yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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