2024年3月28日更新.2,749記事.

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抗真菌薬の分類

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抗真菌薬の一覧

分類医薬品名一般名剤形適応用法
アリルアミン系ラミシールテルビナフィン塩酸塩クリーム、外用液、スプレー白癬、カンジダ、癜風1日1回
イミダゾール系アスタットラノコナゾール軟膏、クリーム、外用液白癬、カンジダ、癜風1日1回
アデスタンイソコナゾール硝酸塩クリーム白癬、カンジダ、癜風1日2~3回
アトラントネチコナゾール塩酸塩軟膏、クリーム、外用液白癬、カンジダ、癜風1日1回
エクセルダームスルコナゾール硝酸塩クリーム、外用液白癬、カンジダ、癜風1日2~3回
エンペシドクロトリマゾールクリーム、外用液白癬、カンジダ、癜風1日2~3回
オキナゾールオキシコナゾール硝酸塩クリーム、外用液白癬、カンジダ、癜風1日2~3回
ニゾラールケトコナゾールクリーム、ローション白癬、カンジダ、癜風、脂漏性皮膚炎1日1回
フロリードDミコナゾール硝酸塩クリーム白癬、カンジダ、癜風1日2~3回
マイコスポールビホナゾールクリーム、外用液白癬、カンジダ、癜風1日1回
ルリコンルリコナゾール軟膏、クリーム、液白癬、カンジダ、癜風1日1回
ルコナック爪外用液ルリコナゾール外用液爪白癬1日1回
チオカルバメート系ゼフナートリラナフタートクリーム、外用液白癬1日1回
ハイアラージントルナフタート軟膏、外用液白癬、癜風1日1回
ベンジルアミン系メンタックス/ボレーブテナフィン塩酸塩クリーム、外用液、スプレー白癬、癜風1日1回
モルホリン系ペキロンアモロルフィン塩酸塩クリーム白癬、カンジダ、癜風1日1回
トリアゾール系クレナフィン爪外用液エフィコナゾール外用液爪白癬1日1回

抗真菌薬の分類

抗真菌薬は真菌の細胞膜合成過程のいずれかの部位を阻害することにより効果を発揮します。

真菌の細胞壁はαーグルカンやβーグルカンを含む多糖体などで形成されているが、細胞膜はエルゴステロールを含んでいて、これが抗真菌薬の治療の標的となる(ヒトの細胞膜はコレステロールを含む)。

数千の真菌が存在するが、ヒトに感染を起こす真菌は限られた種類である。

しかし、臓器移植例やHIV感染例あるいは強力な抗癌剤を使う例の増加により、真菌感染例は増加している。

このような傾向を反映して、抗真菌薬の種類も増えてきている。

アゾール系

・アゾール系薬は、小胞体でのエルゴステロールの合成を阻害する。細胞膜の主成分エルゴステロールを失った真菌は成長が阻害される
・静菌的作用
・薬物相互作用に注意(併用禁忌多し)
・VRCZ(ボリコナゾール)による視野障害(初期に多く次第に自然軽減)
・C.albicans が原因菌の場合FLCZ(フルコナゾール)が第一選択薬
・Aspergillus 属にはVRCZ(ボリコナゾール)が第一選択薬

イミダゾール系

イミダゾール系の抗真菌薬は広い抗菌スペクトルを有し、皮膚糸状菌のほか、カンジダ、癜風菌に対して抗菌力を有する。

真菌の膜構成成分であるエルゴステロールの合成過程で14αデメチラーゼの作用を阻害しラノステロールから14デメチルラノステロールへの変換を阻止する。

現在、クロトリマゾール、硝酸ミコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸スルコナゾール、硝酸オキシコナゾール、塩酸クロコナゾール、ビホナゾール、ケトコナゾール、塩酸ネチコナゾール、ラノコナゾールが外用剤として使用されている。

硝酸ミコナゾールは静注用製剤として内臓真菌症に対して使用できる。

ケトコナゾールは海外では内服剤として全身的な投与法として使用されている。

ケトコナゾールは特にMalassezia furfurに対して0.001~0.1μg/mLのMICを示し、強い抗菌力を有するので、M.furfurの関与が強いとされる脂漏性皮膚炎に対しても用いられている。

トリアゾール系

抗真菌薬の副作用を減弱させ、経口投与を可能にしたグループがアゾール系の抗真菌薬である。

フルコナゾールやイトラコナゾール、ボリコナゾールが代表的薬剤として挙げられる。

アムホテリシンBは殺菌性であるが、アゾール系は静菌性と考えられる。

水虫の薬は飲み薬と塗り薬がありますが、副作用の面からもまず塗り薬で治療することが多いでしょう。

1日1回のものが主流です。

市販の水虫薬にはかゆみ止めの成分が入っているものが多いです。

かゆみが強くて何度も塗りたいようならば1日2~3回のものを選ぶと良いでしょう。

分類名イミダゾール系薬トリアゾール系薬
一般名ミコナゾール
クロトリマゾール
イトラコナゾール
フルコナゾール
ボリコナゾール
構造(アゾール環内の窒素の数)2個3個
スペクトル広いイミダゾール系薬に比べてやや狭い
ヒトのステロール合成系への影響ありイミダゾール系薬に比べて少ない(副作用が少ない)
生体内代謝受けやすい(血中濃度半減期が短い)
外用で
表在性真菌症に使用
受けにくい
経口、注射薬で
深在性真菌症に使用

キャンディン系

・キャンディン系抗真菌薬は、細胞壁を構成する 1,3-β-Dグルカンの合成を阻害して、真菌の細胞壁合成を阻害する
・カンジダに対しては殺菌的に作用する
・薬物相互作用は少ないといわれている
・CPFG(カスポファンギン)には真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症にも適応を持っている
・MPFG(ミカファンギン)が肝代謝を受ける一方で、CPFG(カスポファンギン)は加水分解による代謝を受けるため、肝臓への負担は少ない
・中枢神経への移行は低い
・C.glabrata が原因菌の場合は第1選択薬となりうる

エキノカンディン系(キャンディン系)抗真菌薬にはミカファンギンナトリウムがある。
細胞壁の合成を阻害して、カンジダには殺菌性に作用する。

副作用が少なく、安全な抗真菌薬と考えられている。

真菌と分類されたニューモシスチスに対するスルファメトキサゾール・トリメトプリム、ペンタミジンの使用は臨床状態により他の抗真菌薬との併用を考慮しなければならない。

抗真菌薬による治療は長期にわたるので確定診断を得るように努力する。

ポリエン系

・ポリエン系であるアムホテリシンBは、真菌の細胞膜を構成するエルゴステロールに結合して、細胞膜を破壊する
・殺菌的に作用する
・副作用の頻度が高い(腎障害、電解質異常)
・L-AMB(アムホテリシンBリポソーム)はクリプトコックス髄膜炎において6mg/kg/日まで投与可能(通常は2.5mg/kg/日)
・ムーコル(接合菌)にも有効

フロロピリミジン系

・真菌のDNA、RNAに作用して蛋白合成を阻害する
・カンジダ属、クリプトコックス属およびアスペルギルス属に抗菌活性あり
・髄液を含めて組織移行は良好
・基本的にほかの抗真菌薬と併用投与する
・血液毒性に注意

【アンコチル(フルシトシン)】

腸管吸収はよく、髄液中濃度も血清中の60~80%と高い。

クリプトコッカス髄膜炎では単独投与はないが、AMPH-Bの補助薬として併用で用いる。

5-FCは耐性化しやすいので初回から十分量を用いる。

妊婦には禁忌である。

アリルアミン系

アリルアミン系製剤のテルビナフィンはスクワレン・エポキシダーゼを選択性に阻害することにより真菌膜合成過程をブロックして抗真菌効果を示す。

また、直接的に細胞膜に障害を与える作用も有するとされている。

T.rubrum、T.mentagrophytesに対して0.001~0.1μg/mL、M.canisに0.005~0.1μg/mLのMICを示し、殺菌的な作用を発揮する。

Candida属に対しては0.25~0.128μg/mLのMICで、静菌的な作用である。

M.furfurに対して0.2~0.8μg/mLのMICを示す。

ケラチンに高い結合性を示し、優れた貯留性を有するので、1日1回の外用で十分な効果がある。

チオカルバメート系

【ハイアラージン(トルナフタート)】
1962年に開発され、1965年より使用されるようになったチオカルバメート系製剤で殺真菌作用を有している。

皮膚糸状菌に対して高い抗菌活性を有しているが、カンジダに対しては抗菌力が弱い。

スクワレン・エポキシダーゼの作用を阻害することにより抗菌力を発揮する。

【ゼフナート(リラナフタート)】

わが国で合成されたチオカルバメート系製剤である。

トルナフタート、トルシクラートと同様に真菌細胞の膜構成成分であるエルゴステロール生合成過程のスクワレン・エポキシダーゼの作用を阻害し、抗真菌作用を発揮する。

T.rubrumに対して0.004~0.078μg/mL、T.mentagrophytesに対して0.019~0.156μg/mL、E.floccosumに対して0.009~0.078μg/mLのMICを示し、高い抗菌活性を有している。

チオカルバミン系の抗真菌薬です。とくに白癬菌に強い抗菌作用を示します。けれど、カンジダには効きません。

同系統のトルナフテート、トルシクラートより抗真菌活性が強いとされます。

皮膚貯留性が良好。

皮膚に長く留まるので、1日1回の塗布で済みます。

ベンジルアミン系

ベンジルアミン系製剤である塩酸ブテナフィンはチオカルバメート系製剤と類似した骨格を有する製剤である。

皮膚糸状菌ではT.ruburuに対して0.007μg/mL、T.mentagrophytesに対して0.012μg/mL、M.canisに対して0.024μg/mL、M.gypseumに対して0.014μg/mL、E.floccosumに対して0.016μg/mLのMICを示し、強い抗菌力を有している。

また、M.furfurに対して3.13μg/mLのMICを示す。

アリルアミン系製剤と同様にスクワレン・エポキシダーゼの作用を阻害し、スクワレンからスクワレン-2、3、オキサイドへの変換をブロックし、真菌膜合成過程を中断させる。

角質親和性があり、長時間貯留するため、1日1回の外用でよい。

モルホリン系

モルホリン系製剤であるアモロルフィンは1981年に開発された。

外用すると48~72時間皮膚に貯留するため、1日1回の外用でよい。

Δ14リダクターゼ、Δ8→Δ7イソメラーゼの作用を阻害する。

エルゴステロール合成過程の2ヶ所をブロックすることにより抗真菌作用を発揮する。

皮膚糸状菌、カンジダ、黒色真菌に対して静菌作用ないし高濃度に長時間作用させると殺菌効果を呈する。

HendersonulaやMalassezia furufurに対しても抗菌活性を有する。

ポリエンマクロライド系

アムホテリシンBは抗真菌範囲が広く、耐性が少なく、迅速な殺菌作用を有するが、副作用の点から投与が困難である。

アムホテリシンBの腎毒性を軽減するために、脂肪製剤が3種類製造された。

わが国ではアムホテリシンBリポソーム(アムビゾーム)が使用できる。

効果の点では同一あるいはそれ以上と考えられている。

ヒドロキシピリドン系

バトラフェンはpyridone誘導体で、ユニークな化学構造を有し、真菌の他、グラム陽性菌、陰性菌などに対しても殺菌効果が高く、広い抗菌スペクトルを有する。

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薬剤師

勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。

先生

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yakuzaic
yakuzaic/著
2023年09月14日発売

プロフィール

yakuzaic
名前:yakuzaic
職業:薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
生息地:雪国
座右の銘:習うより慣れろ。学ぶより真似ろ。
SNS:X(旧ツイッター)
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