更新日:2017年1月7日.全記事数:3,091件

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抗精神病薬まとめ


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定型抗精神病薬

クロルプロマジン、ハロペリドールなどは、従来型抗精神病薬などとも呼ばれ、精神分裂病の急性期における陽性症状(幻覚・妄想・思考障害など)には有効ですが、慢性期における陰性症状(感情の平板化、会話貧困、欲動低下など)にはそれほど有効ではなく、治療抵抗性分裂病患者には効果がないといわれています。

また、大きな特徴として、抗精神病薬による薬物療法で問題となる錐体外路症状を共通の副作用としてもっています。

定型抗精神病薬は、化学構造の違いによって、フェノチアジン系、ブチロフェノン系、イミノベンジル系、ベンザミド系、
その他、と5つに系統分けされています。

しかしどの系統の定型抗精神病薬も、その主要な薬理学的特徴はドーパミン受容体の遮断です。

「この症状にはこの系統が効く」といったものがあるわけではなく、患者さんの個人差によって合う薬を探していくことになります。

定型抗精神病薬のほとんどはドーパミン受容体との親和性が高く、ドーパミン受容体を遮断してシグナルを伝えないようにするアンタゴニスト(拮抗薬)です。

その作用により、中脳辺縁系で過剰になりすぎたドーパミンのシグナルが抑えられ、統合失調症の症状のうち、幻覚・妄想などの、いわゆる陽性症状に対してのみ効果を発揮します。

イミノベンジル系抗精神病薬

幻覚や妄想に対する作用はさほど強くありませんが、意欲の低下を改善する作用があります。

フェノチアジン系抗精神病薬

総じて抗コリン作用や抗アドレナリンα1作用を認める。

クロルプロマジン(コントミン)、レボメプロマジン(ヒルナミン)は鎮静作用と睡眠作用が強く、このことから統合失調症以外の躁病、様々な精神疾患における不安・緊張・衝動性・希死念慮、またベンゾジアゼピン系睡眠薬が無効な不眠に用いられる。

ブチロフェノン系抗精神病薬

ハロペリドール(セレネース)は幻覚妄想に対する作用が強く鎮静作用が弱い。

躁病やせん妄などにも用いる。

抗コリン作用は弱いがEPSやプロラクチン値上昇作用が強いので注意する。

ベンザミド系抗精神病薬

スルピリド(ドグマチール)は抗潰瘍薬であるが、低用量(50~150mg)では抗うつ作用、大量(300mg以上)で抗精神病作用が認められる。

副作用として脳内移行が悪いため高プロラクチン血症が出やすく、乳汁分泌、月経異常などに注意する。

高齢者ではEPSが出やすい。

非定型抗精神病薬

現在統合失調症の全てのガイドラインで第一選択は非定型抗精神病薬となっている。
非定型抗精神病薬はEPSが少なく、副次的に定型抗精神病薬よりも陰性症状に対する効果があり、また抗パーキンソン薬併用(認知機能に支障)の可能性が少なくなるために認知機能にも効果が現れることが期待されている。

MARTA

抗幻覚妄想効果に加え、鎮静、催眠効果、抗うつ効果あり。

EPS少ない。

セロトニン・ドパミン以外のコリン、ヒスタミン、アドレナリン他多くの受容体にも作用することで名前がついた。

諸外国で治療抵抗性統合失調症の治療に推奨され、日本でも発売されたクロザピンのように多くの受容体に作用することで効果発現すると考えられている。

抗精神病作用に加え、認知機能やうつ、双極性障害に対する効果が期待され、また鎮静効果があるため睡眠薬の代わりに使用されることもある。

EPSやプロラクチン値上昇もより少ないとされるが、体重増加、脂質代謝異常や血糖上昇が問題となる。

糖尿病患者には禁忌であり、また同疾患の家族歴のある者にも注意を要する。

クロザピン(クロザリル)はどの抗精神病薬よりも強力でEPSも少なく、さらに治療抵抗性症例への効果が期待されるが、無顆粒球症や血糖値上昇が出現しやすいため、しばらくは血液内科医や糖尿病内科医の対応が可能な施設での入院治療及び頻回の血液検査を要する。

MARTAとは、薬理学的には、ドパミン受容体、セロトニン受容体のみならず、さまざまな受容体に親和性をもっている薬剤です。

ドパミンD2受容体の遮断作用は比較的弱く(あるいは、緩く遮断する)、セトロニン5-HT2受容体に対する遮断作用が強いため、錐体外路症状の惹起が少なく、視床下部でのドパミンD2受容体に対する遮断作用も弱いことから、プロラクチンの上昇が起こりにくいといわれています。

また、中脳、皮質への選択性が高いこと、コンクリフトモデルでの活性、前頭葉でのNMDA系活性の正常化により、陰性症状や認知機能障害が改善されると考えられています。

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)

少量で確実な抗幻覚妄想効果。

セロトニンとドパミンが拮抗することを利用し、中脳ー辺縁系のドパミンを遮断して抗精神病効果を得ながら、セロトニンを遮断することで黒質ー線条体系のドパミンをさほど遮断しないため、EPSが少ないという理論。

リスペリドン(リスパダール)、ペロスピロン(ルーラン)、ブロナンセリン(ロナセン)がこれにあたる。

抗精神病効果に優れ、体重増加、血糖上昇は少なく、禁忌等もないため統合失調症治療の第一選択薬となる。

しかしプロラクチン値を上げ、無月経、乳汁分泌、射精不能を起こし得る。

ペロスピロンはセロトニン1A受容体の部分作動作用もあり、EPSが幾分少なく、また抗不安・抗うつ効果が期待されるが、鎮静効果はその分弱い。

ブロナンセリンはドパミン選択性がSDAの中では強く、EPSが見られやすいが、脳内移行がよいためプロラクチン値を上げにくい。

SDAとは、薬理学的にはドパミン受容体とセロトニン受容体の遮断作用を併せ持つ薬剤で、特にセロトニン受容体に対する親和性がドパミン受容体に対する親和性を上回っていることが特徴といわれています。

抗精神病薬による抗精神病作用は、主に中脳辺縁系におけるドパミンD2受容体の遮断作用により発現しますが、線条体でのドパミンD2受容体の遮断作用により錐体外路症状が引き起こされます。

SDAではドパミンD2受容体遮断作用により、中脳辺縁系と線条体および前頭前野皮質系でのドパミンD2受容体を遮断しますが、線条体でのドパミン神経はセトロニン神経によって調節されているため、セロトニン5-HT2受容体を遮断することにより、錐体外路症状の惹起を抑制し、前頭前野皮質でのドパミン活性の向上により陰性症状が改善すると考えられています。

また、中脳辺縁系でのドパミンD2受容体の遮断作用はセトロニン5-HT2受容体の遮断により影響を受けないため、陽性症状が改善されると考えられています。

セロトニン・ドパミン遮断薬(SDA;serotonin-dopamine antagonist)
セロトニンとドパミンが拮抗することを利用し、ドパミン神経の中脳-辺縁系路を遮断して抗精神病効果を得ながら、セロトニンを遮断することによってEPSをもたらす黒質-線条体経路をさほど遮断しないため、EPSが少ないという理論である。
リスペリドン(リスパダール)、パリペリドン(インヴェガ)、ペロスピロン(ルーラン)、ブロナンセリン(ロナセン)がこれにあたる。
リスペリドンは抗精神病効果に優れ、体重増加、血糖上昇は少なく、禁忌もないため統合失調症治療の第一選択薬となる。
しかし脳内移行が悪いためプロラクチン値を上げ、無月経、乳汁分泌、射精不能を起こしうる。
パリペリドンはリスペリドンの代謝産物であり、プロラクチン値を上昇させうるが、徐放剤のため立ち上がりは遅く、副作用が少ないことが期待される。
ペロスピロンはセロトニン1A受容体の部分作動作用もあり、EPSが幾分少なく、また抗不安・抗うつ効果が期待される。

ブロナンセリンはドパミン選択性がSDAの中では強く、EPSがみられやすい反面、幻覚妄想症状に効果がより期待できる。
鎮静効果は弱い。
なお、脳内移行がよいためプロラクチン値を上げにくい。

参考書籍:今日の治療薬2015

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