更新日:2017年1月7日.全記事数:3,094件

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

抗菌薬まとめ


スポンサードリンク

ニューキノロン系薬

ニューキノロン系薬においては、グラム陰性菌からグラム陽性菌への抗菌スペクトルの拡大、抗菌力の増強、吸収・組織移行性など体内動態の改善が達成されている。
わが国で利用できるニューキノロン系薬の多くが経口薬であり、主に呼吸器、尿路感染症において使用されてきた。
点滴静注薬としてはCPFX、PZFX、LVFXがある。
キノロン系薬は、細菌のDNA複製に関わる酵素であるDNAジャイレースとDNAトポイソメラーゼⅣを阻害する。
作用点としては、グラム陰性菌ではDNAジャイレースが、グラム陽性菌ではDNAトポイソメラーゼⅣが重要である。

殺菌作用は濃度依存的に認められることが知られており、投与する場合にはPK-PD理論の視点からも1日1回投与により最高血中濃度を高くする投与法が効果的である。

本剤は大腸菌、肺炎桿菌などの腸内細菌、インフルエンザ桿菌、モラクセラなどのグラム陰性菌に対して抗菌活性を有している。
さらに最近では、市中肺炎の最も重要な病原体である肺炎球菌に対して抗菌活性を強化したレスピラトリーキノロンが開発されている。
この中には、GRNX、STFX、TFLX、MFLX、LVFXが含まれる。
また、呼吸器感染症の原因として重要なマイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどに対する抗菌活性もあり、LVFXなど一部の薬剤は結核菌・非結核性抗酸菌に対する抗菌作用も有している。
最新のグレースビット(STFX)は、呼吸器病原菌に活性を示すが、緑膿菌や大腸菌のグラム陰性菌群にも抗菌活性を示す。
グラム陰性菌からグラム陽性菌までをカバーする広い抗菌スペクトル、高い組織・細胞内移行性などから、適応症として⑴泌尿・生殖器感染症(膀胱炎、尿道炎、腎盂炎、前立腺炎、性行為感染症など)、⑵腸管・腹腔感染症(細菌性腸炎、旅行者下痢症、赤痢、腸チフス、腹腔内膿瘍など)、⑶呼吸器感染症(細菌性・異型肺炎、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪、中耳炎、副鼻腔炎など)、⑷骨・関節感染症(骨髄炎、細菌性関節炎など)、⑸皮膚・軟部組織感染症、などが重要である。
中等症~重症感染症にはLVFX、CPFXあるいはPZFXの点滴投与が効果的である。

アミノグリコシド系薬

細菌のリボゾーム(30S)に結合しmRNAの誤翻訳を引き起こすことにより蛋白合成を阻害する。
本剤は、抗結核作用のあるSM、KMに加え、抗緑膿菌作用があるもの(GM、TOB、DKB、AMK、ISP)、ないもの(FRM、RSM)に大別される。
また、ABKはMRSAを、SPCMは淋菌感染症を適応としている。
アミノグリコシド系薬は、大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス、セラチア、エンテロバクターなどのいわゆる腸内細菌科のグラム陰性桿菌に対して全般的に強い抗菌活性を示す。
一方、グラム陽性菌ではブドウ球菌に対して抗菌活性があり、βラクタム系薬との併用によりさらなる相乗効果が期待できる。
一方、肺炎球菌を代表とする連鎖球菌や腸球菌に対しては、通常、ペニシリン系薬やグリコペプチド系薬との併用療法として使用される。

本剤は強力な殺菌作用を特徴とする。
その殺菌作用は濃度依存的であり、最高血中濃度に依存した抗菌効果を示すことが知られている。
また、もう一つの特徴として、薬剤濃度が低下した後も細菌の発育を抑制する効果、いわゆるpost antibiotic effect(PAE)がグラム陽性菌のみならずグラム陰性菌においても認められることが挙げられる。
本剤におけるPAEでは、細菌に対する増殖抑制時間が濃度依存的に延長することが知られており、これらの知見から本剤では1日1回投与が推奨されている。

本剤は経口投与によりほとんど吸収されない。
この性質を利用して、腸管感染症あるいは術前・移植前の腸管内殺菌を目的に経口投与される。
非経口投与としては静脈内あるいは筋肉内投与が行われ、前者では投与直後~30分後に、後者では30~60分後に血中濃度のピークがみられる。
本剤は刺激性が低いことから症例によっては胸腔、腹腔、あるいは髄腔への直接投与も可能である。

テトラサイクリン系薬

抗菌スペクトルは広いが、その使用に伴い多くの細菌が本剤に耐性となっている。
しかし、βラクタム系薬、アミノグリコシド系薬に無効な非定型病原体であるリケッチア属、マイコプラズマ属、クラミジア属、またコレラ、ブルセラ属、モラクセラ属、ウレアプラズマ、レプトスピラ属などにも有効である。

現在では耐性の少ないビブラマイシン、ミノマイシンが主流になっているが、これは日和見感染で問題となるブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌、MRSAにも一部有効である。しかしミノマイシン耐性MRSAも増加している。
血中濃度は低いが、髄液、上顎洞、気道などに組織内濃度が高く、喀痰中移行がよい。
ざ瘡に対する少量長期投与の有効性が報告されている。
その他、バイオテロリズムの病原体(炭疽、ペスト、野兎病)に対しても活性がある。
半減期が長く(10時間前後)、排泄が遅いので投与回数は少なくてよいが、本剤の組織への蓄積には注意する必要がある。
ミノマイシン、ビブラマイシン以外は食事の影響を受けやすく、特にCa、Mg、Al、Feを含む薬剤や食品との併用により吸収が低下する。

2011年から2012年にかけてわが国ではマクロライド系薬に耐性のマイコプラズマ肺炎の増加が見られた。
その年の流行株に対しては、8歳以上の小児にはミノマイシンが有効であった(通常3日間投与で有効。5日以内の使用が勧められる)

ST合剤

サルファ剤のスルファメトキサゾールとトリメトプリムの5:1の配合薬で、ともに細菌の葉酸合成の異なる段階に作用するので相乗効果を示す。
腎、肺への移行がよく、グラム陰性桿菌、腸チフス、赤痢、トキソプラズマ感染症などに用いるほか、ニューモシスチス肺炎の予防のほか、尿路感染症に1日3〜4錠の少量長期投与が行われ、予防的管理が可能な場合が多い。
注射薬としてバクトラミンがある。
副作用はサルファ剤と同様、血液障害、皮疹、またバクトラミンでは低血糖などが問題となる。

バクタ

トリメトプリム(T)とスルファメトキサゾール(S)により相乗的な抗菌作用の増大、腎・肺への移行良好。

リンコマイシン系薬

広義のマクロライド系薬であり、リンコシン、クリンダマイシンの二つが重要である。
作用機序・抗菌スペクトル及び体内動態などはマクロライド系に類似する。
クリンダマイシンは嫌気性菌に対する抗菌活性があることが特徴であり、またペニシリン耐性肺炎球菌などに対しても優れた抗菌活性を示す。
肺などの組織及び細胞内への移行に優れており、白血球の貪食・殺菌能を亢進する作用、βラクタマーゼ産生抑制作用も報告されている。
A群レンサ球菌による劇症型溶血性レンサ球菌感染症(人食いバクテリア症)などの毒素が病態に関与している疾患に対して、クリンダマイシンが最近のM蛋白産生及び外毒素産生を抑制し、その病原性を弱めるとの報告もある。
嫌気性菌に対して抗菌活性が強いことからクロストリジウム・ディフィシルによる偽膜性大腸炎を誘導しやすいことに注意する。

マクロライド系薬

メチル側鎖を有するラクトン環を基本骨格とする抗菌薬の一群であり、その化学構造から14員環系、15員環系、16員環系に大別される。
本剤は細菌リボゾームの50Sサブユニットに結合することにより菌の蛋白合成を阻害する。
その抗菌効果は一般に静菌的と考えられているが、作用条件及び対象菌種によっては殺菌的に作用する。
特にpH5.5~8.5のアルカリ域で本剤の細菌への透過性が高まり、強い抗菌効果を示す。

レンサ球菌(肺炎球菌、β溶血性レンサ球菌など)、ブドウ球菌などのグラム陽性菌、及び非定型病原体としてのマイコプラズマ、クラミジア、レジオネラに対して抗菌活性が強い。

本剤は血中濃度に比べて肺・肝などの網内系臓器における濃度が高く、また細胞内移行性が高い。
しかし最近では、マクロライド耐性の黄色ブドウ球菌(特にMRSA)・肺炎球菌が増加し大きな問題となっている。
特に肺炎球菌においては、アジア地域におけるペニシリン耐性・マクロライド耐性肺炎球菌の増加が顕著であり、本菌の約80%がマクロライド耐性となっている。
また近年、マイコプラズマにおいてもマクロライド耐性菌の増加が問題となっている。

エリスロシンよりクラリスのほうがいい?

14員環系マクロライドの中で、エリスロマイシンは、酸に不安定であるため投与量を増やす必要がある。
このため、長期投与が一般的な慢性副鼻腔炎の患者には、酸に安定であり、少量投与で済み、有効性も高いクラリスロマイシンやロキシスロマイシンが選択される場合が多い。

マクロライド系抗菌薬の特徴は?

メチル側鎖を有するラクトン環を基本骨格とする抗菌薬の一群であり、その化学構造から14員環系(EM、CAM、RXM)、15員環系(AZM)、16員環系(JM、SPM、MDM)に大別される。

細菌リボゾームの50Sサブユニットに結合することにより菌の蛋白合成を阻害する。

抗菌効果は一般に静菌的と考えられているが、作用条件および対象菌種によっては殺菌的に作用する。

連鎖球菌(肺炎球菌、β溶血性連鎖球菌など)、ブドウ球菌などのグラム陽性菌、および非定型病原体としてのマイコプラズマ、クラミジア、レジオネラに対して強い抗菌効果を示す。

特にpH5.5~8.5のアルカリ域で本剤の細菌への透過性が高まり強い抗菌効果を示す。

血中濃度に比べて肺、肝などの網内系臓器における濃度が高く、また細胞内移行性が高い。

最近では、マクロライド耐性の黄色ブドウ球菌(特にMRSA)・肺炎球菌が増加し大きな問題となっている。

特に肺炎球菌においては、アジア地域におけるペニシリン耐性・マクロライド耐性肺炎球菌の増加が顕著であり、本剤の約80%がマクロライド耐性となっている。

単純性膀胱炎に対する有効性に加え、腸管出血性大腸菌感染症に対する効果も報告されている。

本剤はNa含有が14.5mEq/gと多く、心不全や腎障害患者に大量投与する際には十分注意する必要がある。

ペニシリン系薬

大きくグラム陽性球菌用、ペニシリン耐性ブドウ球菌用、広域ペニシリン薬に分類される。
広域ペニシリン薬はグラム陽性菌に対する効果を維持しながら大腸菌、インフルエンザ菌などのグラム陰性菌にも有効である。

ただし近年、肺炎球菌、インフルエンザ菌においてペニシリン耐性株の増加が問題となっている。
黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌はペニシリンを分解する酵素(βラクタマーゼ)を産生する株があることから、これらを対象にβラクタマーゼ阻害薬であるクラブラン酸やスルバクタムを配合した薬剤が開発されている。
ペントシリンなどの広域ペニシリン薬はセラチア属細菌などの腸内細菌に加え、緑膿菌などの日和見病原体に対する抗菌活性も強い。

セフェム系薬

注射用セフェム系薬は、便宜的に第一世代から第四世代に分類されているが明確な定義によるものではない。
一般に、グラム陽性菌と、一部のグラム陰性桿菌(感受性のある大腸菌、プロテウス、肺炎桿菌など)に有効である。

第二世代は市中感染菌となるグラム陰性菌へのスペクトルが広がるが、グラム陽性球菌に対しては効果が低下する。
また、この世代に含まれるセファマイシン薬はBacteroides fragilisなどの嫌気性菌に対しても有効であることが特徴である。
第三世代はグラム陰性菌に対しても更なるスペクトルを有する。
また肺炎球菌に対して有効であるが、他のグラム陽性球菌に対する効果は更に低下する。
また緑膿菌に対して効果のあるセフタジジムも存在する。
第四世代はグラム陽性菌(ブドウ球菌を含む)と緑膿菌を含むグラム陰性菌の双方に抗菌力をもっている。
ただし、グラム陽性球菌、嫌気性菌、ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌に対しての効果は期待できない。

スポンサードリンク

コメントを書く

カテゴリ

プロフィール

IMG_0670
名前:yakuzaic
職業:管理薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
勤務地:さくらんぼ県
座右の銘:継続は力なり、失敗は成功の母
follow us in feedly

リンク

薬剤師に役立つリンク集
医薬品医療機器総合機構(新薬・公知申請)
添付文書(PMDA)(添付文書)
社会保険診療報酬支払基金(診療報酬関係通知)
Minds医療情報サービス(ガイドライン)
ミクスOnline(ニュース)

人気の記事

最新の記事

検索

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

スポンサードリンク