更新日:2017年1月7日.全記事数:3,089件

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骨粗鬆症治療薬まとめ


骨粗鬆症の治療薬としては、骨吸収を抑制するビスホスホネート選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)に加えて、加齢にともなうカルシウム代謝障害を改善する活性型ビタミンD3が広く使用されています。

しかしながら、既存の治療薬を用いてもなお、骨粗鬆症患者に生じる骨折を防ぐことができません。
これまで、一度骨粗鬆症になった人は骨を改善する方法はないというのが現状でした。
そのため、骨形成を促進する薬の開発が強く求められていました。

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SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)

SERMはエストロゲン受容体に結合し、その構造変化を起こさせることにより骨に対してはエストロゲンと類似の作用を発揮するが、乳房や子宮に対してはエストロゲン様作用を発揮しない。
新規椎体骨折を抑制すること、高いリスク群において非椎体骨折を抑制すること、重篤な合併症が少ないことに加えて、骨外作用として浸潤性乳癌のリスクの低下や脂質代謝改善作用があるので閉経後比較的早期の女性では第一選択薬といえる。
またテリパラチドやビスホスホネート製剤からの切り替えにおいて骨密度が維持または増加効果がみられた。

ビタミンK2製剤

ビタミンK2製剤のメナテトレノン (グラケー、ケイツー)は、 カルシウムの骨への定着に関与する蛋白質(オステオカルシンなど)を活性化して骨形成促進作用を発揮すると同時に、破骨細胞の分化阻害などによる骨吸収抑制作用も有する。
骨は、破骨細胞の働きで分解されつつ(骨吸収)、骨芽細胞により新しく再生される(骨形成)というサイクルを繰り返しており、このバランスが崩れると骨量減少が起きる。
その点、骨形成促進作用と骨吸収抑制作用を併せ持つビタミンK2製剤は、骨量増加の面で有用性が高いと考えられている。

ビスホスホネートとビタミンK2製剤はそれぞれ単独でも使用されるが、骨量の減少が著しく骨折リスクが高い患者には、併用されることも多い。
ビスホスホネート製剤による強力な骨吸収抑制に、ビタミンK2製剤の骨形成促進作用をプラスすることで、高い骨量増加効果が期待できるからである。
ただし、ビスホスホネート製剤とビタミンK2製剤は、どちらも吸収が食事に強く影響される薬剤であることに注意を要する。
しかも、服用時点がそれぞれ起床後空腹時と食後であるため、併用時は十分な説明が必要となる。
ビスホスホネート製剤は、飲食物との併用でカルシウムやマグネシウムとキレートを形成し、吸収が低下する。
リセドロン酸ナトリウム(アクトネル、ベネット)投与後の血中濃度曲線下而積(AUC)を測定した試験では、絶食時投与に比べ、食前30分投与では36.8%に、婁 後30分投与では6.4%にまで低下したことが報告されている。
このためビスホスホネート製剤は、起床直後に服用するよう定められている。
一方、ビタミンK製剤は食後に服用しないと十分に吸収されない。
健康成人男性に経口投与した試験では、一晩絶食後に服用すると、朝食摂取後30分以内に服用した場合に比べ、AUCが14.8%に低下した。これはビタミンKが脂溶性ビタミンで あり、その吸収には食事(特に脂肪分)に反応にして分泌される胆汁が必要とされるからである。

活性型ビタミンD3製剤

ビスホスホネート製剤が登場するまではわが国で汎用されてきた活性型ビタミンD3製剤は、骨量増加作用はわずかしかないが脊椎骨折の防止効果は証明されている。
その理由として筋力増加作用や転倒防止効果が示唆されており、高齢者への使用が推奨される。
またビスホスホネート製剤と併用するとビスホスホネート製剤の治療効果を増幅する。
国際的にはビタミンD充足が骨粗鬆症薬物治療の前提であり、活性型ビタミンD3製剤は骨粗鬆症の基礎的治療薬として位置づけられる。

ビスホスホネート製剤

骨粗鬆症治療薬には多くの種類があるが、中でもビスホスホネート製剤はよく処方される薬剤である。
ビスホスホネートは強力な骨吸収抑制作用により、高い骨塩増加効果を示す。
わが国でもこの点が高く評価 されており、骨折予防効果に関する様々なエビデンスが確認されている。

ピロリン酸類似の合成化合物で体内に取り込まれると速やかに骨中のハイドロキシアパタイトに吸着し、破骨細胞のアポトーシスを誘導することにより強力な骨吸収抑制能を示す。
窒素含有ビスホスホネートであるアレンドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸が骨折発生抑制効果の点からガイドラインではグレードAとなっている。
経口薬は食道潰瘍や食道炎が報告されているため服用時は立位または座位で、約180mLの水で服用し服用後30分は臥床を避ける必要がある。
一方、一度吸収されたビスホスホネートは破骨細胞中に沈着して長期間効果を発揮するので投与間隔をあけることが可能であり1週1回製剤、4週1回製剤、月1回製剤が発売されている。
さらにアレンドロン酸やイバンドロン酸の注射製剤が承認され、これまで経口投与ができなかった逆流性食道炎、寝たきりや嚥下困難の患者でも投与が可能となった。
米国では食後に服用可能な徐放剤も承認されている。
以上のようにビスホスホネート製剤には投与経路の相違を含め多くのタイプが存在することから、患者の状態に応じた選択が必要である。
なおビスホスホネートのような強力な骨吸収抑制薬を長期間投与すると、骨代謝の過剰抑制に関連した有害事象として顎骨壊死(BRONJ)と非定型大腿骨骨折のリスクが生じるとされている。
BRONJの発生頻度は10万人・年あたり数例で注射剤に多く、抜歯やインプラントなどの侵襲的な歯科治療後に発生することが多い。
また非定型大腿骨骨折のリスク、発症頻度は大規模臨床試験では23/万人・年でビスホスホネートのベネフィットがリスクを上回っている。

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