更新日:2017年1月9日.全記事数:3,089件

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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漢方薬まとめ


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竜骨牡蠣剤

桂枝加竜骨牡蛎湯/柴胡加竜骨牡蛎湯

安神とは精神不安、不眠、動悸、焦燥感などを治療する方法で、安神薬として鉱物や貝殻などの生薬を用いる重鎮安神薬と、植物由来の生薬を用いる養心安神薬がある。

竜骨牡蠣剤は重鎮安神薬である竜骨と牡蠣を主構成生薬とする処方群で、動悸、不眠、イライラなどの精神神経症状を緩解する目的で処方される。

牡蠣と竜骨は重鎮安神薬としての効能は類似するが、竜骨の方が作用は強く、臍下部の動悸に有効である。

一方、牡蠣は脇腹の動悸に効果があり、両者はしばしば併用される。

理気剤

平胃散/香蘇散/参蘇飲

生体内をめぐるエネルギーである気の流れがストレスなどによって部分的に阻害された気鬱(気滞)は、抑うつ傾向、頭重、頭冒感、咽喉のつかえ感、曖気(げっぷ)、心下部のつかえ感、腹部膨満感、腹痛、四肢のしびれや痛み、朝起きにくいなどのさまざまな症候を示す。

愁訴の多くは執拗で、時間的に消長したり、愁訴部位が変動するなどの不定愁訴として認められることが多い。

このような気鬱を治療する処方群が理気剤で、理気薬を主構成生薬とする。

柴胡剤

柴胡剤は柴胡と黄ごんを主構成生薬とする処方群で、邪が表から深部に移行し半表半裏に熱がこもり、外に発散できない熱によって発熱と悪寒が交互に起き(往来寒熱)、そのためいつまでも微熱が続く病態で、胸脇苦満、食欲不振、悪心、嘔吐、口が苦い、舌の白苔、弦脈などの特徴的な症候がみられる。

柴胡は疏肝(疏肝理気・疏肝解鬱:肝気鬱結を発散)の働きにより肝の機能を調え、肝気の鬱結による抑うつ感、悪心、嘔吐、食欲不振などを改善する。

さらに柴胡に黄ごんが加わることで強い清熱作用を示し、半表半裏の熱邪を除き往来寒熱や肝胆の熱証を緩解する。

これらの働きにより柴胡剤は病毒や病邪を中和、解毒し(免疫機能、解毒機能)、生体機能のバランスを調和する。

この治療法は和法と呼ばれ、発汗法、下法、吐法のような攻法あるいは補法とは異なり、病位が半表半裏にある少陽病に用いられる。

少陽病に用いられる代表的な処方群には柴胡剤と瀉心湯類を中心としたごん連剤(半夏瀉心湯、三黄瀉心湯など)がある。

黄連と黄ごんを主薬とするごん連剤は、心の熱による心下部(みぞおち)のつかえや圧通(心下痞硬)などの病態を目にするが、柴胡剤は肝の熱によるストレス症状や胸脇苦満などの病態に適応する。

承気湯

小承気湯/大承気湯/調胃承気湯/桃核承気湯

承気湯とつく漢方薬はいくつかあり、小承気湯、大承気湯、調胃承気湯、桃核承気湯など瀉下作用のある薬です。

承気とは、上の気を下に伝え(伝承させ)る、ということで瀉下作用のことです。

駆於血剤

駆於血剤は血の流れの停滞によって生じる病態(お血、中医学:血おと呼ぶ)を改善する駆於血薬(中医学:活血化お薬)を主構成生薬とする処方群である。

お血は現代医学的に血液レオロジーの異常や末梢循環障害に起因する病態と解釈されている。

お血の発生原因はさまざまで、寒冷刺激、炎症、精神的ストレス、運動不足、食生活、環境などに加え、気滞や水滞、さらには打撲、ねんざ、出血などの外傷や手術などの直接的な要因も関係する。

お血の症状として、顔面・眼瞼部・口唇などの色素沈着、腰痛、筋肉痛、臍傍部・下腹部の圧痛、月経困難症・月経不順などの婦人科疾患、不眠・イライラ・精神不隠などの精神神経症状などがあげられる。

お血は広範囲な疾患の原因や遠因あるいは悪化因子となることが多く、単独の疾患としてよりもむしろ慢性疾患に随伴している場合が多い。
冷えのぼせの症状には駆於血剤がファーストチョイスとなる。

桂麻剤

桂枝加芍薬湯/桂枝加芍薬大黄湯/小建中湯/黄耆建中湯/当帰建中湯

桂麻剤(桂枝麻黄剤)は桂枝湯を基本に麻黄を配剤した処方群のことで、なかでも麻黄を配剤する処方群を麻黄剤と呼ぶ。

これらはカゼ症候群や急性熱性疾患の初期の症状(太陽病の病態)である悪寒、悪風、発熱、頭痛、鼻閉などの表証に用いられる。

太陽病には桂枝湯の適応である良性で軽度な急性熱性疾患である中風と麻黄剤の適応となる悪性で重度な急性熱性疾患の傷寒の2つの病勢がある。

いずれも寒邪、風邪により体表面が閉じられ熱がこもった病態で、桂麻剤により表を温めて発汗(発表・発散・解表)させることで、病邪や病毒を体外に追い出し効果を発現する。

桂枝湯の加減方(桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、小建中湯、黄耆建中湯、当帰建中湯など)は桂枝湯類とも呼ばれ、太陰期の胃腸虚弱に用いられる。

半夏剤

半夏瀉心湯/茯苓飲合半夏厚朴湯/半夏厚朴湯/小半夏加茯苓湯/二陳湯/半夏白朮天麻湯/二朮湯

半夏剤は半夏を主構成生薬とする処方群で、半夏には上部消化管の湿を除き(燥湿)、気を下すことで悪心、嘔吐を緩解させる働き(降逆止嘔)がある。

生姜は半夏の刺激性を緩和する目的で配剤され、止嘔の作用を増強する。

苓朮剤が全身性の水滞に対応するのに対し、半夏剤は胃部から突き上げてくるような吐き気、悪心、めまい、頭痛、くしゃみ、水様性鼻汁などの上半身の水分の停滞や代謝異常に起因する症候に適応し、口渇や下痢をともなわないのが特徴である。

苓朮剤

茯苓飲/啓脾湯/五淋散/治頭瘡一方/きゅう帰調血飲/防已黄耆湯

苓朮剤は茯苓、猪苓、沢瀉、朮(白朮、蒼朮)などの利水薬を中心に構成される利水剤である。

漢方では、体をめぐる水のアンバランスを病気の背景に存在する重要な因子として捉えている。

水が体全体をうまく循環できず水が停滞した状態を水滞(水毒)と呼び、浮腫、口渇、鼻汁、痰、頭痛、めまい、動悸、嘔吐、胃部振水音、尿量減少(小便不利)、多尿(小便自利)、下痢、関節痛、全身倦怠などのさまざまな症候と関係する。

脾胃の減退は水分の吸収低下を招き、消化管内の余分な水分貯留による嘔吐、胃部振水音、下痢、さらに体内の水分不足による口渇や尿量減少などの典型的な水滞の症状があらわれる。

水分の代謝・排泄に深く関わる腎と肺(五臓)の働きが低下することで、血管や組織における水部の停滞や偏在が起き、浮腫、関節痛、尿量異常などの症状を示す。

これら水滞の改善に用いられる利水剤は、利尿剤(尿細管からの再吸収を阻害し、体の水分量の多少に関わらず尿量を増やす)と異なり、水分の足りないところには供給し、多すぎるところからは利尿によって排除する特徴をもつ。

大黄剤

乙字湯/通導散/潤腸湯/大黄甘草湯/防風通聖散/麻子仁丸/治打撲一方

大黄剤は大黄を主構成生薬とする処方群で、大黄の清熱(消炎、解熱、鎮静)により胃腸の内熱(胃腸の炎症)を除くとともに、強い瀉下作用により腸内の老廃物を排泄し、消化管の働きを正常化させる働きがある。

大黄剤は基本的に胃熱証の適応であり、便が硬く、食欲や体力のある人の便秘に適応する。

したがって、虚証や腹力の低下した便秘に用いると、腹痛や下痢を引き起こすので注意を要する。

一般に大黄剤は頓服として用い、便通が改善したら連用を避ける方がよい。

石膏剤

白虎加人参湯/釣藤散/消風散/辛夷清肺湯/木防已湯

病位が表であれば桂麻剤の発表によって解熱させるが、まだ病邪が胃腸に及んでいない裏熱の場合は寒性薬の清熱により対応する。

清熱薬は主に少陽病や陽明病の熱証に用いられ、前者には柴胡剤やごん連剤が、後者には石膏剤が適応する。

石膏剤は石膏を主構成生薬とする処方群で、石膏によって肺の熱をさまし、津液を生じ(生津)口渇を止め、熱証の人の興奮や炎症を鎮める効果をもつ。

すなわち、石膏剤は高熱、発汗、口渇、多飲などの悪寒がない発熱性疾患及び皮膚の炎症やほてりなど体表に近い病位に熱が留まった病態を緩解する。

石膏は寒性が強く処方全体が熱証や実熱向きであるため、石膏剤は寒気のあるものや顔色の蒼白い寒証あるいは虚熱の人には不適である。

補陰剤

滋陰剤(補陰剤)は麦門冬、天門冬、地黄などの滋陰薬(潤性薬)を主構成生薬とする処方群である。

陰液(血・水)の全般が不足をきたした病態を陰虚と呼び、特に滋陰剤は津液(水:生理的体液)の不足によって生じる咽喉乾燥感、乾性の咳、粘稠で切れにくい痰、皮膚の枯燥、口渇、多飲などの燥証に対し、主として津液を補い体を潤すことで効果を発揮する。

補血剤

七物降下湯/きゅう帰膠がい湯/荊芥連翹湯/疎経活血湯/当帰飲子/温清飲/四物湯/大防風湯

補血剤は血虚を改善する補血薬を主構成生薬とする処方群である。

血は漢方医学では血管内の赤色の体液とその機能を意味し、全身に栄養を供給しかつ滋潤する働きがある。

この血の働きが衰退した病態が血虚で、血の生成低下や過剰消耗によって起き、顔色が青白い、めまい感、眼精疲労、皮膚の乾燥や荒れ、爪の異常、冷え症、月経不順、脱毛、集中力低下などが主な症状である。

気と血は互いに依存的な関係にあり、気のエネルギーにより血は循環され、気のエネルギーは血の栄養によりもたらされる。

したがって、血虚は気虚に起因するあるいは気虚を引き起こすことが多く、このような病態では冷えをともなう、一方、気虚をともなわない血虚の場合、気の量が相対的に過剰になることから体や四肢がほてるなどの虚熱の症候を生じる。

附子剤

真武湯

附子は漢方薬に処方される生薬の中で例外的に毒性が問題となり、種々の方法で修治される。

本来、トリカブトの母根烏頭、子根が附子であるといわれているが、近年、中国では修治していないものを烏頭、修治したものを附子といい、この分類が日本でも一般的になってきている。

修治した附子には、塩附子、白河附子、炮附子、加工附子などがあり、それぞれの特性を十分に理解して用いる必要がある。

日本ではオートクレーブで高温処理したほとんど毒性のない加工附子を使用することが多い。

附子は冷え、悪寒、頭痛、身体痛、体力低下などの症状がみられる寒証、虚証の著しい陽虚を治す補陽散寒の効能がある。

石膏が代表的な寒性薬であるのに対し、附子は熱性薬の代表で、これを含む処方はすべて寒証用となる。

附子剤は附子を主構成生薬とする処方群で、使用にあたっては必ず冷えがあることを確認し、熱証には禁忌である。

使用を誤ると心悸亢進、のぼせ、舌の痺れ、頭痛などが起こり、さらに症状が進むと、血圧低下、呼吸麻痺、心臓停止をともなって死につながることもあるので注意が必要である。

通常、子供には使用しないが、高齢者には適応が多く、副作用もでにくい。

附子剤の誤用によってのぼせや動悸があらわれた場合、竜骨牡蠣剤によって緩解することができる。

乾姜剤

人参湯/苓甘姜味辛夏仁湯/苓姜朮甘湯/大建中湯

中国では生のヒネショウガを生姜、乾燥したものを乾姜と称す。

一方、日本では生のヒネショウガを鮮姜、乾燥したものを乾生姜または生姜と呼び、これが局方の生姜・乾生姜にあたる。

漢方製剤において、生姜として乾生姜が、乾姜としてヒネショウガの皮を去り蒸して乾燥した日本の乾姜が用いられ、生のヒネショウガに相当する乾姜はほとんど使われない。

生姜ならびに乾姜は50%以上の漢方処方に用いられる汎用生薬で、いずれも温める働きがある。

生姜は発汗、鎮吐、胃腸の機能を高める目的で葛根湯、小柴胡湯、六君子湯、小半夏加茯苓湯、半夏厚朴湯などに用いられる。

一方、乾姜は温める作用がより強く(特に消化管を温める)、体内の冷えによって起こる病態に温性、補陽の目的で人参湯、苓甘姜味辛夏仁湯、苓姜朮甘湯、大建中湯などに処方される。

ごん連剤

三物黄ごん湯/柴胡清肝湯/黄連湯/清上防風湯/女神散

少陽病に用いられる代表的な処方群には柴胡剤とごん連剤があり、柴胡剤が肝の熱によるストレス症状や胸脇苦満などの病態を目標にするのに対し、ごん連剤は心の熱による気逆の病態に適応する。

黄ごんと黄連を主構成生薬とするごん連剤は、ほてり、のぼせのある赤ら顔、上半身の炎症、心下痞(みぞおちのつかえ)、心下痞硬(みぞおちのつかえと圧痛)、心悸亢進ぎみで興奮やイライラする傾向のあるものを目標とする。

ごん連剤の適応する熱症状の判断基準として冷たい飲食物を好む傾向がある。

熱をさます作用が強いことから、寒がりや冷え症には用いない。

熱証は実熱と虚熱に大別でき、一般的な熱証の症状として熱感、のぼせ、顔面紅潮、目の充血、発熱、炎症、イライラ、怒りっぽい、不眠、便秘、尿量減少などがある。

実熱は現代医学の炎症に相当し清熱により治すが、実熱に陰虚または血虚をともなう病態は、清熱と滋陰または補血を組合せて治療する。

ごん連剤に配剤される清熱薬には、黄連、黄ごん、黄柏、山梔子、連ぎょう、牛ぼう子などがある。

人参剤

四君子湯/人参湯/桂枝人参湯/大建中湯/呉茱萸湯/炙甘草湯/六君子湯/加味帰脾湯/帰脾湯/十全大補湯/人参養栄湯/清暑益気湯/補中益気湯

脾胃気虚は脾胃の機能低下(消化器系のエネルギー不足)により気の生成が低下した病態で、症状として食欲不振、食後の胃もたれ、腹部膨満、腸鳴、宿便、軟便、下痢、しゃっくり、げっぷなどの消化器系症状に加え、全身の倦怠感、疲れやすい、気力がないなどの精神症状をともなう。

人参は脾胃気虚による生体の活力低下を治す代表的な補気薬(益気薬)で、人参を主薬とする人参剤は気虚を改善する補気剤の代表である。

人参剤は食欲不振、食後の胃腸のもたれ、食後の眠気や疲労感、宿便や便秘(便を排泄する力が弱い)、軟便(水分吸収が悪い)などの症状に適応する。

人参剤は参耆剤として分類されることもある。

参耆剤はいずれも補気薬である人参、黄耆を主薬とするもので、両方を含む処方には補中益気湯、十全大穂湯、人参養栄湯、帰脾湯、加味帰脾湯がある。

地黄丸類

地黄丸類は六味丸の六種の生薬を基本とする処方群で、一般に高齢者によくみられる腎陰虚に適応する。

腎虚

腎は成長発育および生殖機能に深く関与し、体や知能の成長発育および維持、泌尿生殖器系の機能の活動、水分代謝や内分泌系の制御を司っている。

したがって、腎虚には骨格、知能、運動能力などの先天的な成長発育不足や知能、性機能、運動機能、内分泌機能、代謝機能など加齢にともなう機能低下がある。

一般に腎虚とは熱証や寒証などの陰陽が関わる症状をともなわない。

[症状]小児:骨格、知能、運動能力などの遅れ
成人:足腰、聴力、視力、知能、性機能などの低下、排尿障害、歯や毛髪の脱落、白髪、月経の遅れ、無月経など

腎陰虚

腎陰はすべての陰液の源で、下痢、発汗、出血、慢性病、ストレス、老化、性の不摂生などによって腎陰が不足すると腎虚の症状に加え、陰液不足による陽気の相対性亢進である虚熱、乾燥、機能の仮亢進による病態を生じる。

[症状]熱感、手掌や足裏のほてり、のぼせ、イライラ、不眠、寝汗、性機能の仮亢進など

腎陽虚

腎陽はすべての陽気の源で、老化、性の不摂生、慢性病あるいは先天的に腎陽が不足すると、腎虚の症状に加え、陽気不足による陰液の相対的過剰による寒証、水滞、機能の低下による病態を生じる。

[症状]気力や体力の低下、寒気、四肢冷感、頻尿、多尿、排尿障害、夜間尿、浮腫など

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