更新日:2016年12月23日.全記事数:3,079件

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大腸がんにセレッコックスが効く?


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NSAIDsと大腸がん

NSAIDsが大腸がんに効くという話がある。
NSAIDsのような胃粘膜、小腸粘膜にダメージを与える薬は、大腸粘膜にも悪影響を与え、大腸がんなどの悪性疾患を増やすようなイメージがありますが。

非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)は、アラキドン酸カスケードにおけるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで種々のプロスタグランジン(PGD2、PGE2、PGF2α、PGI2) とトロンボキサンA2(TXA2) の産生を抑制し、抗炎症作用を発揮する。
中でもCOX2に関しては、正常粘膜に比べて大腸腫瘍(腺腫および癌) において強く発現することが報告されている。
そのため近年、選択的COX2阻害薬のセレコキシブ(セレコックス) の抗腫瘍効果が注目されている。

セレコキシブによる抗腫瘍効果は、COX2阻害作用によるものと、COX2阻害作用によらないものがあると考えられている。COX2阻害作用による抗腫瘍効果の機序としては、(1)腫瘍細胞の増殖抑制、(2)アポトーシスの誘導、(3)血管新生の抑制、(4)腫瘍免疫反応の活性化、(5)浸潤・転移抑制、などが推測されている。
例えばPGE2は生体内で上皮細胞増殖因子受容体(EGFR) の活性化を誘導して細胞増殖や浸潤能を亢進させたり、アポトーシスを抑制したりすることが示唆されており、COX2阻害薬がこれらの作用を抑制することで抗腫瘍効果を発揮する可能性が考えられている。
一方、COX2阻害作用によらない機序については不明な点が多いが、COX2阻害薬はP糖蛋白(P-gp)などのABCトランスポーターによる抗癌剤の耐性化を阻害し、抗癌剤の効果を増強する可能性が示唆されている。
臨床的には、1970年代から、長期にわたってアスピリンなどのNSAIDsを服用している患者では大腸癌の罹患率や死亡率が有意に低いことが報告されていた。
さらに2000年以降、セレコキシブやロフェコキシブを使用した複数のランダム化比較試験が行われ、COX2阻害薬が大腸腺腫の発生を抑制することが報告されている。

また、ステージⅠ~Ⅲの大腸癌に関しても、化学療法や放射線治療とCOX2阻害薬の併用の有効性が報告されている。
そのほか、NSAIDs の常用が乳癌や前立腺癌のリスクを有意に低下させるとの報告もある。
なお、セレコキシブ以外のNSAIDsでは、アスピリンが大腸腺腫の再発リスクを40%減少させることが日本の研究で報告されている。
ただし、大腸癌の予防や補助療法におけるNSAIDsの至適投与量や投与期間、低用量アスピリンの併用の要否などについては明らかになっておらず、さらなる検討が必要である。
特に選択的COX2阻害薬に関しては、長期投与により、血小板凝集抑制作用および血管拡張作用を有するPGI2の産生が低下する可能性が指摘されており、実際に心血管系イベントが有意に増加したとの報告もある。

COX-2阻害薬の特徴

COX-1は胃粘膜、血小板などを含め多くの細胞に常に発現しているが、COX-2は炎症関連細胞などへの種々の刺激により発現が増す。
そのため、COX-2阻害薬は胃・十二指腸潰瘍の発症率を低下させ、消化管出血、穿孔及び閉塞などの発症率もある程度低下させる。
しかし、消化管潰瘍の危険因子を有する例では、プロスタグランジン(PG)製剤やプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用が必要である。

参考書籍:日経DI2016.6

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