更新日:2016年10月6日.全記事数:3,124件.

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ベルケイドとオートファジー


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ベルケイドとオートファジー

東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが「オートファジー」の仕組みを解明した功績によりノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
オートファジーとは、細胞が持っている細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つで、自食とも呼ばれます。

このオートファジーと多発性骨髄腫の薬である「ベルケイド」が関係あるという話。

ベルケイドのインタビューフォームをみると、薬理作用の項目にオートファジーの記載があった。
「オートファジーが活性化され、細胞死が誘導される(細胞死の誘導に関しては相反する説もあり)」

ベルケイドはプロテアソーム阻害薬です。
がん細胞の分裂や増殖のプロセスにはさまざまなタンパク質が関与しています。
これらのタンパク質がその役割を終えたとき、あるいは細胞内に異常なタンパク質が生じたときに「プロテアソーム」と呼ばれる酵素がこれらのタンパク質を分解します。
また、がん細胞がつくりだす新しい血管の伸長を促すタンパク質や、細胞増殖を抑えるタンパク質も分解します。
そこで、プロテアソームの作用を邪魔することによって、不要なタンパク質を分解できないようにして、がん細胞分裂の信号伝達を乱し、がん細胞を死滅させようというのがこのプロテアソーム阻害剤なのです。
がん細胞の中の不要なタンパク質の分解を阻害して、死に導く薬です。

異常なたんぱく質、不要なたんぱく質の分解を阻害する、ということはがん細胞に対しては効果的かもしれませんが、正常な細胞にとっては正常な新陳代謝のサイクルを妨げるわけで、副作用が表れる。

オートファジーはダイエットに効果があるとも言われている。
また、パーキンソン病、アルツハイマーなどの異常なたんぱく質が増えることで起きる疾患の治療にも応用が期待されている。

ノーベル賞と薬

ノーベル賞を受賞したことでオートファジーが注目され、ベルケイドにオートファジーの技術が使われていたことを知りました。
しかし、ベルケイドそのものにノーベル賞が与えられたわけではありません。

ブラックジャックが「ものの本によれば、風邪と水虫と癌のうち、どれか一つでも完全に治す方法を発見した人は、まちがいなくノーベル医学賞をとれる」と言っていましたが、水虫の薬でノーベル賞を受賞したという話は聞きません。

ノーベル賞と関係のある薬をさかのぼってみると、
1921年ノーベル生理学・医学賞:インスリンを発見したバンティングとマクラウド
1939年ノーベル生理学・医学賞:プロントジル(最初に開発されたサルファ剤)を開発したゲルハルト・ドーマク
1945年ノーベル生理学・医学賞:ペニシリンを発見したフローリー、チェイン、フレミング
1952年ノーベル生理学・医学賞:結核の特効薬ストレプトマイシンを発見したワクスマン
1957年ノーベル生理学・医学賞:抗ヒスタミン剤の開発をしたD. ボベット
1988年ノーベル生理学・医学賞:H2ブロッカーの開発をしたJ. W. ブラック
1988年ノーベル生理学・医学賞:アシクロビルを発見したG. B. エリオンとG. H. ヒッチングス
2010年ノーベル化学賞:ニューロタン、ディオバンなどの合成に使われるクロスカップリング反応を発見した、鈴木、宮浦
2015年ノーベル医学・生理学賞:ストロメクトールを発見した大村智

画期的な薬は数あれど、ノーベル賞級の薬というのはあまり無い。

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