更新日:2016年12月21日.全記事数:3,096件.今日の勉強

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透析患者に使える糖尿病薬は?


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腎不全に適した糖尿病薬は?

透析導入の原疾患の第一位は糖尿病性腎症です。
早期腎症期(CKDステージG1、G2に相当)では厳格な血糖コントロールによって糖尿病性腎症の発症・進展を防止できるので、HbA1c値6.9未満を目標にします。

一方、顕性腎症期後期以降(CKDステージG3以降に相当)は、腎機能が低下しているため、薬物治療による低血糖の危険性が高まります。
腎不全期(CKDステージG4,G5に相当)ではインスリン治療が原則となりますが、インスリンの半減期が長くなるため、低血糖に注意しなければなりません。

su系:腎排池型の薬剤は、低血糖の危険性が高くなります。ステージG3で慎重投与、G4以降は禁忌です。

グリニド系:ナテグリニド(スターシス、ファスティック)はG4以降で禁忌ですが、レパグリニド(シュアポスト)は肝排泄型なので、すべてのステージで使用可能です。

ビグアナイド系:乳酸アシドーシス発症の危険が高くなります。G3以降は禁忌です。

α-グルコシダーゼ阻害薬:体内にほとんど吸収されないので、すべてのステージで使用可能です。だたし、ミグリトール(セイブル)は未変化体のまま吸収されるので、G4以降で慎重投与です。

DPP-4阻害薬:ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン(ネシーナ)は腎機能に応じて減量します。シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)は、G4以降で禁忌です。

GLP-1受容体作動薬:リラグルチド(ビクトーザ)はすべてのステージで使用可能ですが、エキセナチド(バイエッタ、ビデュリオン)は、G4以降で禁忌です。

透析患者に使えるDPP4阻害薬は?

シタグリプチンリン酸塩水和物(グラクティブ、ジャヌビア)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)といった腎排泄型のDPP阻害薬とは異なり、リナグリプチン(トラゼンタ)は胆汁排泄型であることが大きな特徴である。

主に糞中に未変化体として排泄され、腎臓からはほとんど排泄されない。
このため、透析患者にも用量調節の必要なく投与できる。

現にリナグリプチンの添付文書には、禁忌や慎重投与の項に透析患者や腎障害患者の記載がない。
他のDPP4阻害薬を見ると、シタグリプチンは透析患者には禁忌であり、アログリプチンは透析患者に投与可能だが減量が必要である。

ビルダグリプチンは、腎排泄型であるが肝での加水分解で主に代謝されるので、透析患者にも用量調節せずに投与が可能である。
ただ、ビルダグリプチンは透析患者に対する使用経験が少ないため、透析患者には慎重投与となっている。

リナグリプチンは、胆汁排泄型であることに加え、単剤使用であれば低血糖を起こしにくいというDPP4阻害薬に特有の利点も持つ。
このような特長は、血糖値が変動しやすい透析患者にはメリットが大きい。
ただし、リナグリプチンでも低血糖や腹部膨満感、便秘などの副作用は起こり得るので、そのことは患者に指導しておく必要がある。

糖尿病性腎症で血糖値が下がる

糖尿病性腎症で腎不全に至ると、一時的に血糖値が下がる現象が見られるケースが少なくない。

インスリンの約40%は腎臓で分解されるため、腎不全ではインスリンの代謝や排泄が低下し、インスリンの血糖降下効果が長く続くようになるからである。
インスリン製剤が一時的に不要になることもある。

一方で、腎不全は代謝性アシドーシスや尿毒症性物質の蓄積など、インスリン抵抗性を増大させて血糖値を上昇させる要因も抱える。
さらに、糖尿病性腎症患者では神経障害も進行しており、消化管運動に異常が生じるため、食後の血糖値が一定しない。

加えて透析を始めると、透析液に血中のブドウ糖が拡散したり、血中のインスリンが透析膜に吸着されるなどの要因から、透析日と非透析日で血糖の日内変動パターンが変わる。
こうした理由から、糖尿病の透析患者では血糖値の変動が予測しづらい。

参考書籍:クレデンシャル2013.8、日経DI2012.5

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