記事
アサコールが便にそのまま出てきた?
公開. 更新. 投稿者:潰瘍性大腸炎/クローン病. タグ:アサコール. 閲覧数:1302回
1分41秒で読める. カテゴリ:
スポンサーリンク
アサコールのゴーストピル
アサコールの添付文書に、「便中に錠剤がみられる場合がある。」とある。
いわゆるゴーストピルというやつです。
ペンタサのゴーストピルについても、添付文書に「本剤のコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中に白いものがみられることがある。」
と書かれている。
成分はきちんと吸収されており、抜け殻が出てきているだけなので大丈夫。
と、言い切れるのか。
アサコールは、pH依存性徐放剤であり、pH7以上になる大腸に到達してからメサラジンを放出します。
インタビューフォームには、「pH6.4で溶出せず、pH7.2で溶出する。」と書かれている。
胃内のpHは、食前の空腹時にはpH1~1.5、食事をとってもpHは4~5なので、アサコールが胃内で溶けだすことはない。
PPIを飲んだらpHは5~6くらいまで上がりますが、それでもアサコールが溶け出すことはない。
アサコールと制酸剤は併用注意にも挙げられていない。
小腸のpHは弱酸性のpH5~6.5くらい。ここでもまだアサコールは溶け出さない。
大腸のpHは、一般的にアルカリ性でpH7以上となっている。ところが、潰瘍性大腸炎の患者の中には通常よりも低いpHとなっている患者もいるようだ。
潰瘍性大腸炎症例91例について直腸粘膜pH値を測定し, 粘膜の肉眼的所見, 生検組織像と対比し検討した. 活動期の直腸粘膜pH値は7.05±0.14 (mean±1SD) で対照群の7.31±0.17に比して有意に低値を示した (p<0.01). 直腸粘膜生検の組織学的炎症の程度と直腸粘膜pH値には有意な負の相関を認めた. 潰瘍性大腸炎では局所の prostaglandin の増加によるH+分泌の亢進や, 上皮細胞内の嫌気性代謝の亢進にもとづく乳酸の増加などにより, 粘膜のpH値が低下すると考えられる. 直腸粘膜pH値は潰瘍性大腸炎の活動性の客観的な指標のひとつと考えられた. 潰瘍性大腸炎の直腸粘膜pH値
アサコールの効果が不十分と感じている患者がいたら、もしかしたら大腸内pHが低くて溶け出す量が少ないのかもしれない。
インタビューフォームによると、アサコールの生物学的利用能(bioavailability)は28%。
なお、アサコール錠はpH7以上で溶解するメタクリル酸コポリマーSでコーティングされており、大腸選択的に放出されて大腸粘膜に直接作用することによって炎症を抑える薬剤であるため、体内への吸収は約28%にとどまる。
何はともあれ、ゴーストピルが出てくると不安感が募るので、全部が吸収されているわけではなく、28%程度の吸収で効果があることを伝えておこう。
スポンサーリンク
この記事に関連する記事
肺非結核性抗酸菌症患者に注意すべき睡眠薬は?

不眠を訴える患者が結核のような名前の病気を持っているとのこと。問い合わせで肺非結核性抗酸菌症と判明した。気を付けるべき睡眠薬は?
A. ハルシオン
B. ベルソムラ
C. マイスリー
D. ルネスタ
E. ロゼレム

答えはエムスリードットコムで