2018年11月17日更新.3,353記事.5,760,333文字.

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1型糖尿病=インスリン依存型糖尿病?

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IDDMとNIDDM

昔はインスリン依存性糖尿病(IDDM)とか、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)とか、IDDMのことを若年性糖尿病だとか言っていましたが、現在そは1型糖尿病、2型糖尿病と呼ぶことが多い。

糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に大別されます。
1型糖尿病では、インスリンを合成・分泌する膵β細胞が破壊・消失し、インスリンの産生が低下し、インスリンの作用不足を生じます。
2型糖尿病では、インスリン分泌不全やインスリン抵抗性(インスリン分泌は正常だが、効力が低下している状態)をきたす複数の遺伝因子に、過食・運動不足・肥満・ストレスなどの環境因子が加わり、インスリンの作用不足を生じます。

インスリン分泌がほぼなくなって、著しい高血糖になって、体外からインスリンを補い続けるインスリン療法が欠かせない状態をインスリン依存状態といいます。
これに対し、インスリン分泌が少し残っていて、インスリン療法をしなくても生命を維持できる状態をインスリン非依存状態といいます。
前者は以前、IDDM(insulin dependent diabetes mellitus)と呼ばれ、1型糖尿病と同じ意味で使われることもありました。
また後者はNIDDM(non-insulin dependent diabetes mellitus)と呼ばれ、おもに2型糖尿病のことを指す言葉として使われていました。

実際に、1型糖尿病のほとんどはインスリン依存状態にあり、2型糖尿病の多くはインスリン非依存状態ですが、全く同じ意味では使用できません。
1型でも一時的にインスリン療法が不要になる時期もありますし、2型にその逆のことが起きるケースもあります。

1型糖尿病にDPP-4阻害薬は禁忌?

エクアなどのDPP-4阻害薬の禁忌には、
「糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、1型糖尿病の患者〔インスリンの適用である。〕」
と書かれており、1型糖尿病に対して禁忌となっている。
バイエッタなどのGLP-1受容体作動薬も1型糖尿病に対して禁忌となっている。

1型糖尿病はインスリン分泌能が無いか、あってもわずかなので、インクレチンを増やしてもインスリン分泌が促されることがなく、使っても無意味。
と思っていましたが。

インクレチン関連薬は,DPP-4 阻害薬およびGLP-1 受容体作動薬ともに,添付文書上は1型糖尿病に対しては「禁忌」となっている.確かに,インスリン依存状態にある患者に対する単独投与は高血糖・ケトアシドーシスを招く可能性があるため大変危険であり,従来は「インスリン依存型糖尿病」であったものがそのまま「1型糖尿病」に添付文書上で置き換わったためこのような記載となった.しかし,成因論的な分類である「1型糖尿病」と臨床的な病態を表す「インスリン依存」は本来区別されるべきである.実際,DPP-4 阻害薬で作用が増強するGLP-1 とGLP-1 受容体作動薬には,インスリン分泌促進作用以外に膵β細胞の温存作用や免疫修飾作用があり,インスリンが残存している時期の使用による進展予防効果が期待され,とくに日本で多くみられる緩徐進行1 型糖尿病における有効性が注目されている.また,GLP-1 にはグルカゴン分泌抑制,胃排泄運動の抑制,食欲抑制作用などがあり,内因性インスリン分泌が認められない症例に対しても,インクレチン関連薬をインスリンと併用することにより血糖安定化やインスリン使用量および体重の減少が期待できる.インクレチン関連薬の可能性

1型糖尿病=インスリン依存型糖尿病、というわけではない。
2型糖尿病=インスリン非依存型糖尿病、というのはある意味正しいかも知れませんが。

しばらくインスリン分泌が保たれるタイプの、緩徐進行1型糖尿病では、DPP-4阻害薬や、その他の内服薬も効く可能性があるわけだ。
でも、緩徐進行1型糖尿病の場合、初めはインスリン分泌があり、SU剤などで血糖値が下がるわけで、2型糖尿病として治療が進められる。
そのうち内服薬の効果が無くなってきて、結果的に「緩徐進行1型糖尿病だったのか」と思いますが、初めから緩徐進行1型糖尿病であると見抜くことは困難と思われる。
なので、やっぱり1型糖尿病にDPP-4阻害薬が処方されることは無いわけで、禁忌にしておいても問題はないかな。

ちなみに、アマリールの禁忌には、
「重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、インスリン依存型糖尿病(若年型糖尿病、ブリットル型糖尿病等)の患者[インスリンの適用である。]」
インスリン依存型糖尿病と書かれており、1型糖尿病ではない。古いのかな。
適応症は2型糖尿病なのに。
適応症もインスリン非依存型糖尿病に変えたらいいのに。

1型糖尿病

膵β細胞の破壊により、インスリン分泌が急速・不可逆的に低下して起こる糖尿病。
インスリン分泌能は最終的には廃絶し、生存のためにインスリン投与が必須の状態(インスリン依存状態)となる。

1型糖尿病の多くは、遺伝因子に加え、ウイルス感染などの環境因子が引き金となって、自己免疫異常が起こり、膵β細胞が破壊されることで発症すると考えられている。


2型糖尿病

インスリン分泌障害と、インスリン抵抗性の亢進が様々な程度で関与して起こる糖尿病。
生活習慣病の代表ともいうべき疾患で、全糖尿病に占める割合は95%以上である。

2型糖尿病は1型糖尿病と異なり進行が緩徐であるため、発症しても長期間自覚症状がなく気づかれなかったり、早期に診断されても自覚症状がないため受診・治療を中断してしまったりすることが多い。しかし、この間にも合併症は進行していく。

何らかの自覚症状が出現してようやく受診したときには、すでに合併症が存在していたり、合併症が重症化していたりする。
このため、高血圧と同様に「サイレントキラー」とよばれることもある。
したがっ早期発見・早期治療が最も重要である。

2型糖尿病の発症には、インスリン分泌障害とインスリン抵抗性が関与しており、ともに複数の遺伝因子によって規定されている。
さらに、インスリン抵抗性には主に生活習慣に起因する環境因子も大きく関与している。
インスリン分泌障害とインスリン抵抗性の関与の程度は一人一人異なる。

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