更新日:2016年3月4日.全記事数:3,117件.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

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調剤ミスしても健康被害が無ければ大丈夫?


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人は誰でもミスをする

「人は誰でも間違える」という言い訳。
「失敗は成功のもと」「弘法にも筆の誤まり」といったことわざもある。

長瀬智也主演のドラマ「フラジャイル」で、検体のラベル貼り間違えという過誤を扱った話があった。
「人間だからだれでも失敗はする。たとえ医者でも100%完璧なことなどありえない。」と、上司が部下をかばいましたが、長瀬くんは、
「医療にかかわる人間は、一度だって失敗を犯してはならない。なぜなら、その一度の失敗で患者の命を奪うことがあるからだ」と言い放つ。

我々薬剤師も医療にかかわる人間として、このような心構えで毎日仕事に臨むべきだと思います。
でも、ミスしちゃったらフォローも大事よね。

重大なミスと軽微なミス

調剤ミスの種類としては、
①違う薬。アルマールとアマリールを間違える、みたいに、全く違う薬を渡してしまうというケース。
②規格違い。アマリールの1mgと間違えて、3mgを渡してしまうという規格間違いのケース。
③入力間違い。1日1回という用法を間違えて、1日2回と入力ミスして渡してしまうケース。
④数量違い。30日分処方なのに20日分しか渡していなかったケース。30日分処方なのに40日分渡してしまったケース。
⑤ジェネリック関連。先発品と間違えてジェネリックを調剤したケース。ジェネリックと間違えて先発品を調剤したケース。

深刻な間違いになるケースはどれかと問われれば、①②③。
④と⑤は健康被害につながるリスクは少ないと思われ。

④も⑤も調剤ミスなので、しかるべき対応が必要なのは言うまでもありませんが。
監査時に確認すべき優先順位、時間のかけ方がわかると、ミスを減らせるかも知れない。

監査時に、処方せんを見て、錠剤を見て、シートの数が間違いないか、処方せんに数を書き込んだりしてますが、その間も五感を研ぎ澄ませ、シートに印字されている薬品名、規格、薬袋の用法用量などの確認が重要である。

健康被害がなければ法的責任はない?

薬剤師による調剤ミスがあっても健康被害などの損害がなければ、法的な責任は発生しません。

もちろん、ミスがあったのであれば法的責任がないからといって、「被害がなかったのだからいいでしょう」などという態度は適切ではありません。
薬剤師や薬局に非があるのですから、患者に真摯に対応する道義的な責任があります。

ただし、悪質なクレームの場合には、安易に要求に従うべきではなく弁護士に相談して法的な対応をしていくことが適切です。
また、仮に患者が間違った薬を服用してしまった場合も、健康被害がなければ原則として法的責任は発生しないため、同様の対応をしていくことになります。
自覚症状を訴えている場合には、客観的な資料に基づいて対応をする必要があります。

調剤過誤の法的責任

調剤過誤の際、薬剤師や薬局が負う法的責任は不法行為責任(民法709条)と言い、この発生要件は、①権利侵害、②過失又は故意、③因果関係、④損害、であり、この要件がすべてそろって損害賠償請求権が発生します。

調剤過誤を犯しても、間違った薬を服用せず、健康被害が発生しなければ、法的な損害は無いため、損害賠償請求権は発生しないことになります。

このほか、薬局は患者に対し契約責任(民法415条)も負っていますが、この責任においても損害がなければ損害賠償義務は発生せず、同様に金銭の支払い義務などはないことになります。

患者が服用したが健康被害がなかった場合

次に、患者が薬を服用してしまったが、健康被害がない場合について。

この場合も、基本的には、健康被害がないので損害がないという前提で、同様の対応をしていくことになります。
ただし、間違った薬を服用してしまっている以上、患者の適切な医療を受ける権利を害したとも考えられますので、服用していない場合よりは慎重な対応が必要になると考えられます。
仮に、健康被害の有無の確認のために受診などをすれば、その費用や交通費は薬局が負担することになるでしょう。

自覚症状を訴えている場合

患者が自覚症状として、「体がだるくなった」など抽象的な症状を訴えている場合には、言われるがままに対応するのではなく、本当にそれが誤投薬との因果関係があるのかを判断する必要があります。

そのためには、受診をしてもらい、医師の判断を待って因果関係の有無を判断する必要があると考えられます。
金銭的な支払いをするにあたっては、言われるがままに支払うのではなく診断書や領収書など客観的な資料の提出を受けて、支払いの有無を判断していくという意識が重要になります。

参考書籍:調剤と情報2013.1

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職業:管理薬剤師
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