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シグマートにはプレコンディショニング効果がある?
公開. 投稿者:狭心症/心筋梗塞.この記事は約3分37秒で読めます.
2,157 ビュー. カテゴリ:シグマートのプレコンディショニング効果
シグマート(ニコランジル)にはプレコンディショニング効果があるというのを聞いた。
プレコンディショニングとはなんぞや。
プレ(pre 先行する)+コンディション(condition 条件付け)+ing
ごく短時間の心筋虚血がその後に起こる心筋梗塞の程度を軽くすること。
短時間だけ心臓への血液を減らした後に回復させる(例えば軽い狭心症のような状態で心臓を慣らしておく)と、心臓はより重篤な傷害である心筋梗塞に対して強くなるということ。
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プレコンディショニング効果についてはわかりましたが、シグマートがプレコンディショニング効果を持つということはシグマートが軽い狭心症を引き起こすということなのだろうか。
シグマートの作用機序について。
硝酸塩作用:
ニコランジルは グアニル酸シクラーゼを作動させて環状GMP(cGMP)の生成を増加させる。
cGMPはプロテインキナーゼG(PKG)を活性化させて、GTPアーゼRhoAをリン酸化して活性を阻害し、Rhoキナーゼ活性を阻害する。
Rhoキナーゼ活性が低下する事で平滑筋のカルシウム感受性が低下する。
PKGは筋鞘のカルシウムポンプを駆動し、カルシウムを細胞外に放出する。
PKGはカリウムチャネルに作用してカリウム流出を促進し、過分極とする事で電位依存性カルシウムチャネルを遮断する。
最終的に、これらの作用に依って平滑筋が弛緩し、冠血管が拡張する。カリウムATPチャネル開口作用:
ニコランジル – Wikipedia
ニコランジルはカリウムATPチャネルを開口し、カリウム流出を促進させる。
細胞が過分極となり、電位依存性カルシウムチャネルが閉じる事で細胞内カルシウムイオン濃度が低下する。
このシグマートのカリウムATPチャネル開口作用が、薬理学的心筋虚血耐性(プレコンディショニング)をもたらてし、虚血状態に対する心筋保護作用を発揮する。
心筋細胞のミトコンドリア内のカリウムATPチャネルを活性化して、イオンレベルでの変化が心保護作用につながっている。
と、まあ、作用機序的には「心筋梗塞が起こったときに心保護作用があるよ」と言われても、心筋梗塞発症後2時間で危ないところが何時間までOKになるといった具体的なものは何も示されていない。
シグマートは硝酸(N)薬であると同時にKATPチャネル開口薬(K)でもある。
この2つの薬理作用を備えたニコランジルは、NKハイブリッド薬と呼ばれることもある。
シグマートは心筋のミトコンドリアに作用し、KATPチャネルを開口し、心筋保護作用を発揮する。
ダオニールとリスモダンとカリウムATPチャネル
糖尿病治療薬のSU剤は、膵臓β細胞のKATPチャネルを阻害し細胞を脱分極させ、インスリン分泌を促す作用があります。
スルホニルウレア骨格だけでなくベンザミド骨格を持つグリベンクラミド(ダオニール/オイグルコン)、グリメピリド(アマリール)はSU受容体のSUR1だけでなく、SUR2にも結合する。グリクラジド(グリミクロン)はベンザミド骨格を持たないのでSUR2受容体には結合しない。
膵臓β細胞のSU受容体はSUR1です。SUR2は心筋、骨格筋、平滑筋、血管平滑筋に分布しています。
つまり、グリベンクラミドは心臓のKATPチャネルを阻害し、虚血プレコンディショニングを阻害する可能性が指摘されています。
また、シベノール(シベンゾリン)やリスモダン(ジソピラミド)といったクラスⅠの抗不整脈薬で、低血糖の副作用があるが、これも膵β細胞KATPチャネルの抑制によるものと言われている。
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