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水分補給に適した飲み物は?
公開. 投稿者:風邪/インフルエンザ.この記事は約5分31秒で読めます.
1,781 ビュー. カテゴリ:熱中症対策と水分補給
夏場にビールで水分補給をしていると言うオヤジがいる。
ビールなどのアルコールには、抗利尿ホルモンの分泌を抑えることによる利尿作用があります。
そのため飲んだ水分は尿として出てしまい、脱水症状を引き起こす可能性が高い。
コーヒーやお茶で水分補給をするというオバサンもいる。
コーヒーやお茶に含まれるカフェインにも利尿作用があり、熱中症対策としての水分補給には適さないだろう。
ノンカフェインの麦茶などであれば問題ない。
ペットボトル症候群
熱中症予防に、糖分の多い清涼飲料水で水分補給をする人もいる。
ただ、糖分の多い清涼飲料水を大量に飲み続けていると、急激に血糖値が上がる「ペットボトル症候群」に陥る危険性がある。
ペットボトル症候群の正式名称は、「ソフトドリンク(清涼飲料水)・ケトーシス」。
継続して大量にジュースなどの清涼飲料水を摂取することで、血糖値が上昇し、血糖値を一定に保つホルモンのインスリンの働きが一時的に低下してしまう。
インスリンが欠乏するとブドウ糖をエネルギーとして使えなくなり、脂肪などを分解する。
その際に「ケトン体」と呼ばれる代謝成分が増え、血液が酸性に傾く。それがケトアシドーシス。
意識がもうろうとしたり、倦怠感があったり、昏睡状態に陥ることがある。
糖分の過剰摂取で血糖値が上がると、それを薄めようとしてさらに水分を欲して喉が渇く、尿の回数も増える、喉の渇きに任せてさらに甘い飲み物を飲む、という悪循環に陥る。
一般的な清涼飲料水は1リットル当たり100グラム前後の糖分が含まれていると考えられる。
角砂糖1個が5グラムとすると、1リットルの清涼飲料水をがぶ飲みすると、角砂糖20個をかじっているのと同じだと思え。
冷たい飲み物は熱中症に逆効果?
夏場の水分補給には、冷たい麦茶が最適。
と、思いきや、あまり冷たくするのは止めた方がいいかも。
お年寄りや体の弱い人は、氷水のような冷たいものだと量を飲めないので、十分な水分補給にならないという。
消化器官は約37度を下回るとうまく機能しないといわれる。
冷えた水などを飲んで胃が冷えると、温度を戻そうと体内の血液や水分が急速に胃の周辺に集まる。
もともと猛暑で体は脱水症状ぎみ。それなのに水分や血液が一部の器官に集中することで、さらに脱水症状が進むという。
そのうえ脳や心臓、腎臓などで血液が足りなくなるので、高齢者や、動脈硬化などの基礎疾患がある人の場合だと、最悪、死につながることもある。
便秘の人で、水分補給を心がけているという人でも、冷たい飲料を飲んでいる場合がある。
それだと、腸の働きを余計に悪くしてしまうので、便秘が改善されない。
井戸水程度の15~20℃の水が最適。
冬場の脱水状態?
夏は熱中症による脱水を気にかけ、水分補給を勧めたりしますが、冬場はあまり注意喚起することがない。
しかし冬場でも、特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなることがあり、日常生活での水分摂取も遅れがちになるので注意が必要です。
冬場はノロウイルスやインフルエンザなどの感染症が流行することによって、発熱、おう吐、下痢などの症状をきたすこともあり、それによる脱水にも注意が必要です。
それに加え、室内外が乾燥していることも脱水を招く要因だという。
水分補給の際に気を付けることは、ただ単に水を飲めばよいということではなく、同時にミネラルの補給も必要という点です。
下痢や嘔吐は、胃液や腸液などの体液を放出するもので、単に体の水分を失うのではなく、水分とともにナトリウムやカリウムなどの電解質も喪失してしまいます。
水では体液を補給することはできません。
飲む点滴?
高度の脱水状態では点滴が必要となりますが、軽度から中等度の脱水では経口補水液で対応できます。
経口補水液は「飲む点滴」とも呼ばれます。
点滴という行為は、患者や医療従事者に負担が大きいので、口からの摂取で対応できればそれに越したことはありません。
脱水時にポカリスエットなどのスポーツドリンクで水分補給を行うこともありますが、スポーツドリンクは比較的糖分が多く、ミネラルが少ないので文字通りスポーツ時の水分補給には適していますが、下痢や嘔吐などによる脱水時には経口補水液のほうが適しています。
一般的に「スポーツドリンク」と呼ばれる飲料はナトリウムを100ミリリットルあたり40~80ミリグラム含むのに対して、経口補水液は120ミリグラム含みます。
また「スポーツドリンク」という定義があいまいなのに対して、「経口補水液」は世界保健機関(WHO)などが厳格に定義し、その効果を認定していることも大きな違いです。
かくれ脱水?
「かくれ脱水」とは、体の正常な状態と脱水症の間にある「脱水症になる前の状態」のことで、からだの1%~2%の体液が失われている状態を言います。
正常:体重減少なし、血清浸透圧276~291mOsm/kg/H2O
かくれ脱水:体重減少1~2%、血清浸透圧292~299mOsm/kg/H2O
脱水症:体重減少3%以上、血清浸透圧300mOsm/kg/H2O以上
かくれ脱水の定義
・血液所見では体液不足に伴い血液浸透圧が基準値上限(291mOsm/kg/H2O)よりも増加している(292以上~300未満)
・体重の1~2%に相当する量の体液が喪失している、脱水症の前段階状態と考えられる。
・慢性的な変化であるために、体液喪失を疑わせる自覚症状及び他覚所見は認められない。
たかが脱水?
脱水症状では単にのどが渇くというだけでなく、「手先の皮膚がかさかさする」「口の中が粘る」「やる気や食欲の低下によるだるさ」「めまいや立ちくらみ、ふらっとする」などの症状が前兆としてあります。
脱水症状が進むと血液の粘度が高くなり、血管が詰まり脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす要因になります。
たかが脱水、のどが渇いただけ、と甘く見ていると命にも危険が及びます。
特に高齢者は気をつけないと、水分摂取を怠ってしまいがちです。
夜間は、寒くてトイレに行くのも億劫なので、水分を控えてしまいます。
夜中にトイレに起きて、転倒骨折するのも心配ですが、必要量の水分補給は大事です。
あんまり遅くに水分摂取するのはダメかもだけど、就寝2時間前くらいまでに、十分水分は摂っておいたほうがいい。
参考資料:OS1脱水ジャーナルvol.9
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