更新日:2017年1月31日.全記事数:3,135件.

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口内炎にアゼプチンが効く?


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口内炎にアゼプチン

口内炎は、口腔内粘膜に炎症が起きる病態の総称であり、唇や口角、 舌、歯茎などに好発する。義歯の接触による物理的な刺激など口腔局所に発症原因がある「原発性口内炎」と、ベーチェット病や膠原病などの 全身性疾患の随伴症状として表れる 「症候性口内炎」がある。

さらに、病変の形状や状態に基づいて、(1)アフタ性、(2)潰傷性、(3)壊疽性、(4)カタル性一の4つに分類される。
最も頻度が高いアフタ性口内炎では、粘膜上に「アフタ」と呼ばれる境界が明瞭な円形または楕円形の直径数mmの白い線維素性炎症ができ る。
アフタの周囲には炎症性発赤や浮腫が生じ、強い痛みを伴う。
アフタ性口内炎の多くは、1週間から10日程度で自然に治癒するが、治癒と再発を繰り返し、なかなか完治しない「慢性再発性アフタ」も少なくない。
トリアムシノロンアセトニド(ケナログ、アフタッチ)など口腔用のステロイド軟膏のほか、ビタミン類 (B2、B6、C、パントテン酸)や抗ヒスタミン薬などが処方されることが多いが、治療に難渋するケースも多い。

こうした難治性の慢性再発性アフタに対し、抗アレルギー薬のアゼラスチン塩酸塩(アゼプチン)の 処方例が散見される。
アゼラスチンは、ベーチェット病に随伴するアフタ性口内炎の治療薬としてよく使われているが、慢性再発性アフタにも効果があることが報告されている。
アフタの発症には、リンパ球やマクロファージ、好中球などからの炎症性サイトカインの放出が関与しており、アゼラスチンはこれら細胞性免疫を抑制する。
同薬には細胞膜の安定化作用もあり、炎症部位で発生した活性酸素による細胞膜障害も軽減すると考えられている。
臨床試験では、ベーチェット病を併発していない慢性再発性アフタの患者にアゼラスチンを投与したところ、83%に効果が認められ、うち20%で治療後の再発が抑えられた。
また、潰傷の発生頻度の減少や潰傷の面積縮小、有痛期間や治療期間の短縮なども認められている。
同薬には口内炎に対する適応はないが、慢性口内炎のほか放射線治療による口内炎に対しても、よく適応外処方されることを知っておくといい。
また、放射線治療による白血球減少症や円形脱毛症などの適応を有するセファランチンも、口内炎に対して適応外で使われることが多い。

口腔扁平苔癬とセファランチン

口腔扁平苔癬は、口腔内に紅斑やびらんを伴う白色の小丘疹が多発する炎症性粘膜疾患である。
50 ~60代の女性に好発し、左右の頬粘膜に発現する頻度が高い 。
主な自覚症状は接触痛や灼熱感で、特に辛い物や酸味のある物に対して強い刺激を感じやすい 。
病因としてはC型肝炎ウイルス感染や歯科金属アレルギー、口腔常在菌、ストレスとの関連が疑われている。

確実な治療法はないが、局所療法として口腔用軟膏や噴霧剤、トローチ剤、含嗽剤がよく用いられる 。
局所療法だけで治らない場合は、外用ステロイドや抗アレルギー薬などの内服薬が併用される 。

タマサキツヅラフジ抽出アルカロイド(セファランチン)も、口腔扁平苔癬に適応外使用されることがある。
細胞膜安定作用や血液幹細胞増加作用、抗アレルギー作用、末梢循環改善作用などを持ち、放射線による白血球減少症や円形脱毛症・粃糠性脱毛症に適応がある薬剤だが、口腔扁平苔癬にも有効とする報告が複数なされている 。

口腔扁平苔癬の患者12例にセファランチンを投与した臨床試験では、潰瘍の状態や大きさ、疼痛、発赤といった症状全般の改善率が75%だった。
作用襪序は不明だが。(1)細胞膜安定化作用に基づく炎症性のアラキドン酸代謝産物の産生抑制作用、(2) ヒスタミンなどの化学伝達物質の肥満細胞からの遊離抑制作用、(3) 剛腎皮質ホルモン産生増強作用、(4) 多核白血球の活性酸素産生抑制作用、などが炎症に対して有効に働くとともに、微小循環改善作用による組織修復促進なども口腔扁平苔癬に効果を示すと考えられている 。
口腔扁平苔癬だけでなく、白板症や再発性 アフタなどの口腔粘膜疾患にも用いられることがある 。

また、セファランチンの効果は用量依存性であることから、高濃度のセファランチンを口腔粘膜局所に付着させる軟膏製剤を院内製剤として調整し、高い治療効果を得たとの報告もある。
ゲル化軟膏として基剤にプラスチペース、ゲル化剤としてポリアクリル酸ナトリウム(PA-Na)を用いれば粘膜付着時間を延長させられる。
なお、PA-Naの添加量は5 % より10 % の方が付着時間を延長でき、治療効果が上昇するというデータがある 。

口腔内の食べかすや歯垢、歯石などは症状を悪化させやすい 。
食後はすぐに口腔内の清掃を行い、含啾剤で清潔に保つよう指導する。
義歯を装着した患者には、こまめに洗浄するよう伝える 。

口腔用軟膏の塗り方

口内炎の口腔用軟膏がうまく塗れないと訴える患者は少なくない。
唾液などで口腔粘膜が湿潤状態にあると、基剤が粘膜になじみにくく、塗布に苦労するようである。
このため、乾いたティッシュペーパーやガーゼなどで患部の水分を吸い取り、乾燥させてから塗布するとなじみやすくなるといったコツを、投薬時に説明するようにしたい。
また、口内炎の痛みが強いと、歯磨きなどの口腔清掃がおろそかになりやすい。対応策として、柔らかめの歯ブラシで磨くように指導するといい。
このほか、患部に刺激を与える熱いものや塩辛いもの、香辛料の強いものは避け、喫煙や飲酒も口腔内のバランスを大きく乱すため治療が完了するまで控えるよう伝えることも大切である。

参考書籍:日経DIクイズベストセレクションSTANDARD篇、日経DIクイズBEST100

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コメント

  1. 歯科医です。テラコートリル軟膏とケナログを1:1~1:2の割合で混ぜると口内炎に劇的に効く特効薬が出来ます。ケナログ単味より約3分の1の早さで治ります。詳しくはファミリー歯科口内炎の治し方ブログをご覧ください。

    長尾忠:2016/11/21

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