更新日:2015年10月22日.全記事数:3,190件.

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甲状腺摘出で低カルシウム血症?


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甲状腺と副甲状腺とカルシウム

甲状腺腫瘍の患者さんで、甲状腺を摘出したという人にカルシウム剤やビタミンD製剤が処方されることがある。

甲状腺の裏側には、副甲状腺という米粒以下の大きさの臓器がへばりついています。
副甲状腺からは副甲状腺ホルモンというホルモンが分泌されており、血液中のカルシウム濃度の調節をしています。

甲状腺を全摘すれば、当然この副甲状腺もいっしょにくっついて取れてしまう。
そのため、低カルシウム血症になってしまうというわけです。

上手な医師であれば、この副甲状腺を筋肉中に戻すという処置も行われるようです。

甲状腺の手術に慣れた医者であれば、副甲状腺を確認して確実に甲状腺から離して機能を温存することが可能です。甲状腺癌の手術では左右の下の方にある副甲状腺はそのまま温存することが難しく筋肉の中に移植します。

しかし、副甲状腺は甲状腺から外されるような処置をすると一時的に働きが落ちて、副甲状腺ホルモンの分泌が低下し、血液中のカルシウムが低下します。血液中のカルシウムが低下すると手や口の周りがしびれ、さらに低下すると筋肉がけいれんすることがあります。カルシウムの低下に対処するため術後1週間程度カルシウム製剤(乳酸カルシウム)およびカルシウムの吸収を促進するためビタミンD製剤(アルファロールまたはワンアルファ)を服用していただきます。甲状腺癌手術後に発生した永久的な副甲状腺機能低下症(つまり副甲状腺が温存できなかった)は最近5年間でふたりだけでした(1.6%)。
名古屋大学医学部付属病院 乳腺・内分泌外科:甲状腺-手術後の合併症

甲状腺摘出後で、カルシウム製剤などが処方されている患者では、手足のしびれなどテタニー症状が出ていないか確認しましょう。

カルシウム製剤の違い

上記の患者さんで、カルシウム製剤として乳酸カルシウムが処方されていた。

なぜ粉の乳酸カルシウムを処方するのか。
アスパラCAの錠剤で良いんじゃないか。調剤メンドクセ。
しかも、一時的な使用なので、500g包装の乳酸カルシウムはデッドストックになること確定。
と不満たらたらでしたが、それなりの理由がある。

乳酸カルシウムの分子量は308.29で、カルシウムの原子量は40。
乳酸カルシウム1日量3g中にカルシウムは3×40/308.29=0.389、約390mg含有されている。

アスパラCA(アスパラギン酸カルシウム)の分子量は358.32で、カルシウムの原子量は40。
しかし保険適応上の1日量1.2g(6錠)を飲んでも1.2×40/358.32=0.134、約134mgにしかならない。

骨粗鬆症とカルシウム
カルシウムの必要量をみると、1日600~700mg程度。
牛乳1杯に約200mgのCaが含有されている。

牛乳1杯にも満たないアスパラCA錠。しょぼいぜ。

ではなぜアスパラCA錠が好んで使われているかというと、上記の薬剤師(私)の不満、粉しか無く飲みづらいことと、乳酸カルシウムは胃腸障害や便秘が多いからという話。

沈降炭酸カルシウムと甲状腺

カルシウム含有量だけでいえば、炭カル錠やカルタン錠(炭酸カルシウム)が、分子量100.09で1日量3g(500mgを6錠)服用すれば、3×40/100.09=1.2と約1200mg摂取できるので最強ですが、それぞれ適応症が違うので処方されない。

それで、炭カル錠の添付文書を読むと、禁忌の項目に、

甲状腺機能低下症又は副甲状腺機能亢進症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

との文言がみられる。
副甲状腺機能は低下しているので問題ないけど、甲状腺機能は甲状腺摘出しているのだから低下している。
じゃあ炭酸カルシウムは禁忌なのか。ほかのカルシウム製剤は問題ないのか?と疑問に思いつつ。

何故沈降炭酸カルシウムは甲状腺機能低下症で禁忌なのか?:六号通り診療所所長のブログ:So-netブログ
東大教授に学ぶ!現場で起きた ヒヤリ・ハット事例 – 薬学生ナビ – マイナビ2015

また別の機会に勉強する。

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