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ノロウイルスに効くエタノール消毒薬?
公開. 投稿者:下痢/潰瘍性大腸炎.この記事は約6分36秒で読めます.
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ノロパンチはノロウイルスに効く?
「ノロパンチ」というアルコール除菌スプレーが健栄製薬から出ているそうです。
「ノロウイルスにアルコール消毒は効かない」というのが業界の常識ですが、名前だけ聞くとノロウイルスに効きそうな気がしますが、アルコールがノロウイルスに効くのか?ノロウイルスといえば次亜塩素酸ナトリウムじゃなくていいのかな。
そもそもなぜノロウイルスにアルコールが効かないのか?
その理由はエンベロープにあります。
インフルエンザウイルスやRSウイルスなど約80%のウイルスが、ウイルスの周囲にエンベロープという膜を持っています。
エンベロープはその大部分が脂質から成っているので、脂質を溶かす事ができるアルコールや有機溶媒、石鹸などで破壊することができます。
しかしノロウイルスは、このエンベロープという膜を持たないウイルス、ノンエンベロープウイルスなのです。
ロタウイルスやアデノウイルスもノンエンベロープウイルスです。
で、ノロパンチはノロウイルスに効くらしいが、なぜか?
「エタノールにクエン酸を配合し、pHを弱酸性にすることでエタノールの除菌効果を増強!!それにより、今まで一般的な消毒液が効きにくかったノンエンベロープウイルスにも効果を発揮!」
するらしい。
エタノールにクエン酸とカテキン加えただけで、そんなに除菌効果アップするのかと疑わしき部分もありますが、次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて作るのも面倒だし、ノロウイルスに効くのなら使ってみたい。
ノロパンチ以外にもノロウイルスにも効果のあるアルコール消毒液がある。
エタノールは消毒効果が比較的高い部類(中レベル)の消毒薬ですが、ノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスの仲間はアルコールに対して感受性が低く、エタノール単独では効果が不十分とされています。
丸石製薬株式会社 |一般の方へ|製品情報(一般の方向け)
このエタノールに有機酸と亜鉛化合物を添加することでエタノールの持つ消毒効果を引き出し、ノンエンベロープウイルスに対しても効果のある消毒剤の開発に成功しました。
これがウエルセプトです。
薄めた次亜塩素酸ナトリウムを作り置きしておくのも面倒だし、徐々に効果が弱まるので長期間は置いておけないので、スプレータイプのアルコール消毒液が、次亜塩素酸に劣るとしても使えるのは便利。
ノロウイルスにアルコール消毒は効果無し?
全てのウイルスはアルコールを吹き付ければ死滅すると思っていましたが、そうでも無いようです。
ノロウイルスはエンベロープを有しないため、消毒薬に対する抵抗性が比較的強いと考えられます。
80v/v%エタノール含有速乾性手指消毒薬の適用は手指に付着しているノロウイルスを10分の1程度に不活性化できると推定できます。
これは通常の手指消毒効果としては、低すぎる値ですが、念入りな手洗いによりウイルス量を100分の1程度までまず除去し、さらに速乾性手指消毒薬を適用し10分の1とすることで、全体として1000分の1程度に減少させることができると期待されます。
手洗いのほうが効果的ということですね。
ウエルパスはあまり意味がありません。
エンベロープ
エンベロープはその大部分が脂質から成るためエタノールや有機溶媒、石けんなどで処理すると容易に破壊することができる。
このため一般にエンベロープを持つウイルスは、消毒用アルコールでの不活化が、エンベロープを持たないウイルスに比べると容易である。
アルコールで消毒できないウイルス
ウイルスは、脂質を含むエンベロープと呼ばれる膜で包まれているウイルスと、エンベロープを持たないウイルスに分類できます。
エンベロープを有するウイルスは界面活性剤やアルコールなどの脂質を溶かす消毒薬に対して感受性が高く、有さないものは不活化されにくいことが知られています。
ベンザルコニウム塩化物や両性界面活性剤、クロルヘキシジングルコン酸塩は、エンベロープを有するウイルスには有効ですが、有さないウイルスにはほとんど効果を示しません。
また、エンベロープを有さないウイルスに対して、エタノールやイソプロパノールが十分な効果を得られなかったとの報告もあります。
エンベロープを有しないウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスやエンテロウイルス、ポリオウイルスなどが挙げられます。
これらのウイルス感染を予防するには、せっけんと流水による手洗いと、擦式消毒用アルコール製剤を使用した手指消毒の両方を行うことが重要です。
グルコン酸クロルヘキシジン
ビグアナイド系
0.02~0.05%液は結膜嚢、0.05%液は創傷部位、0.1~0.5%液は器具の消毒に用いられる。
ただし、結膜嚢に使用後はリンスが必要である。
皮膚に残留し、持続的な抗菌作用を発揮する。
結膜嚢以外の粘膜(膀胱、膣、口腔)、中枢神経、聴覚神経への使用は禁忌である。
微生物汚染を受けやすいので、開封後は汚染に注意する。
下痢から始まった嘔吐は危険?
早い時期は吐いているだけで、時々お腹が痛くなる程度ですが、しばらくしたら水のような、おしっこのような便がたくさん出る。
これがウイルス性胃腸炎の特徴ですから、時間経過が大事です。
まず上から始まって、それから下に行くというパターンです。
下から始まって、つまり、お腹が痛かったり下痢があって、それから吐き出したら、それは悪いパターンです。
腸閉塞はガスも出ないと思われているのですが、閉塞した部位から先、肛門の所のものは先に出るのです。
痛くてお腹がゴロゴロ鳴ると、固い便が出てから柔らかいものが2〜3回少し出て、その後何も出なくなります。
それから腹が痛くなるので、下(腹痛・下痢)が先で上(嘔吐)が後は悪いパターンです。
ウイルス性胃腸炎というのは、胃も腸も全体的にウイルスがいて、胃の方の炎症があって、バーっと吐いて、そのうち腸がゴロゴロしてきて動いて、水のような便が出てきます。
ノロウイルスの原因は牡蠣?
ノロウイルスによる食中毒はカキやアサリ、シジミなどの二枚貝によるものが最も多いと言われてきました。
しかし、ノロウイルスの原因食材がカキと特定される割合は年々低下しており、2006年後半にはカキが食材と特定された集団食中毒は発生しなかった。
感染源として最も多いのは人から人への感染です。手洗い、うがいをしっかりしましょう。
ノロウイルスは治っても、体内にウイルスが1か月くらい残り、糞便中に排泄されるといいます。
本人は治ったと思って、手洗いなどを怠っていると、他人にうつしてしまうのですね。自分は治ったからと安心せず、他人にうつさないように気をつけましょう。
冬場は必ずノロウイルスの食中毒が流行します。
カキだけが原因ではないので、カキはかなり風評被害にあっているともいえます。
掃除機の中にノロウイルス?
ノロウイルスの感染経路として、掃除機内のゴミから感染する危険性も高い。
患者の便や吐物から広がる「第三の感染経路」。掃除機がウイルスがついた室内のほこりを吸い集めて濃縮するためとみられる。
ゴミを0.1ミリグラム程度吸い込むだけで感染・発症する可能性がある。
掃除機のゴミ処理後は、必ず手洗いとうがいをする。
ノロウイルスは、患者の便や吐物から空気中のちりやほこりにくっついて感染を広げる性質がある。
ノロウイルスは10~100個で発症する。
ノロウイルス感染者の吐瀉物の処理後に、掃除機でカーペットを掃除すると、ウイルスが空気中に浮遊して感染を広げるといった話もありました。
掃除機内に限らず、ドアノブやら家庭内のいたるところにウイルスは潜んでいると思います。
感染者が出たら1か月くらいは手洗いやうがいなど、予防を怠らないほうがいいでしょう。
勉強ってつまらないなぁ。楽しみながら勉強できるクイズ形式の勉強法とかがあればなぁ。
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