2016年12月21日水曜更新.3,270記事.5,325,314文字.

調剤薬局で働く薬剤師のブログ。薬や医療の情報をわかりやすく伝えたい。あと、自分の勉強のため。日々の気になったニュース、勉強した内容の備忘録。

記事

てんかんに絶食療法?

スポンサーリンク


てんかんとケトン食療法

てんかんの食事療法というのを聞いたことありませんでしたが、ケトン食療法というのがあるそうです。
日本ではあまり普及していませんが、欧米や韓国では難治性てんかんの治療法の一つとして確立しています。

ケトン食療法は糖・炭水化物を減らして、脂肪を増やした食事で、脂肪が分解されてケトン体が体内で作られ効果を発揮します。
お米、パン、パスタなどはできるだけ食べないようにして、砂糖の代わりに人工甘味料を使用し、卵、豆腐、肉、魚主体の食事に食用油を添加し、食事中の脂肪:(糖+炭水化物+タンパク質)の比率(ケトン指数)を 3~4:1にします。

医師を通じて入手できる特殊ミルク(ケトンフォーミュラ)はいろいろな料理にも利用できます。

効果を高めるためにカロリーや水分を7~8割に制限する場合があります。
タンパク質を制限しないで糖・炭水化物を10~15g/日までにして脂肪を多めに摂取する修正アトキンス食も有効性が報告されています。
いずれもバランスの偏った食事なので医師と栄養士の指導が必要です。

ケトン体と聞くと、糖尿病のケトアシドーシス的な、悪いイメージしか無い。
ケトン体が何故てんかん発作に有効なのかはよく分かっていません。
飢餓状態でてんかん発作が良くなる経験が元になり、人為的に飢餓状態に似た状態を作り出すケトン食糧法が考案されました。

参考:てんかんの食事療法(ケトン食療法)について。

てんかんと絶食療法

飢餓がてんかんに効くということは昔から知られていた。

 低栄養状態の体内でつくられる化合物が、脳内で神経伝達物質を運ぶタンパク質の“スイッチ”を切り(オフ)、てんかん発作を抑えることを岡山大や第一薬科大(福岡市)のチームが解明し、7日付米科学誌ニューロン電子版に発表した。
 この化合物はケトン体で、飢餓状態になると肝臓で脂肪が分解されてできる物質。岡山大の森山芳則教授によると、飢餓がてんかんに効くことは昔から知られているが、その理由は不明だった。「薬の効かない難治性てんかんの治療薬開発などにつながる」という。
 てんかん発作は、神経伝達物質のグルタミン酸が脳の神経細胞間で過剰に伝達され、異常な興奮状態になり起こるとされる。森山教授らは、輸送にかかわるタンパク質「小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)」を解析した。
 VGLUTは塩素イオンが結合して活発に働く。ところが、血中で増えたケトン体は塩素イオンに置き換わってVGLUTのスイッチをオフにし、グルタミン酸を輸送する働きを阻害。発作を抑えることが判明した。
 森山教授によると、欧米などでは低タンパク、低炭水化物、高脂肪の食生活でケトン体を増やす食事療法がある。参考:てんかんを抑える仕組み解明 飢餓で“スイッチオフ” – 47NEWS(よんななニュース)

飢餓状態になると、糖質の代わりに体内の脂肪を分解してエネルギーを作るために、ケトン体が発生します。
そのケトン体がグルタミン酸を輸送する働き阻害して、てんかん発作を防ぐ。
そのため、絶食療法が難治性てんかんに有効。
しかし、小児を絶食、飢餓状態に置くのは危険を伴うので、実際に行うには入院も必要です。
家庭で絶食療法を試みるのは止めましょう。

デパケン服用中のケトン食療法は禁忌?

デパケンなどのバルプロ酸ナトリウムの副作用に、「カルニチン減少」という副作用がある。
カルニチンと聞くと、脂肪を燃焼させるダイエットサプリメントとして有名です。
脂肪はグリセロールと脂肪酸に分解されますが、脂肪酸をエネルギーとして利用するためには細胞内のミトコンドリアに運ばれなければなりません。
脂肪酸がミトコンドリア内に運ばれるためには、カルニチンという物質が必要です。

バルプロ酸ナトリウムの薬効分類は、分岐鎖脂肪酸系の抗てんかん薬といわれ、脂肪酸と似た構造です。
そのため、脂質の摂取割合を増やしたケトン食やMCTオイルの併用は、バルプロ酸によるカルニチン減少のリスクを増やすことになる。
エルカルチンの併用を勧める。

ケトン食で認知症改善?

中鎖脂肪酸が認知症に効くという話を聞いたので調べてみる。

 白沢教授によると、脳の神経細胞はグルコース(ブドウ糖)をエネルギー源としているが、アルツハイマー病になるとグルコースを使うことができない『ガス欠状態』となり、認知症状を引き起こす。グルコースの代替としてケトン体が使われる。

 ただ、ケトン体が効かない人もおり、ケトン体の血中濃度がうまく上がらないか、神経細胞が死んでしまっている状態と考えられるという。白沢教授は「認知症の予防効果があるかどうかは、これからの研究課題だ」と話している。ココナツオイル アルツハイマーに効果 摂取4時間で症状改善例も+(2-2ページ) – MSN産経ニュース

ケトン体と聞くと、糖尿病患者のケトアシドーシスを思い出し、あまり良いイメージは無いのですが。

一般にケトーシスはグルコース代謝に異状をきたし、代償的にケトン体でエネルギー代謝を賄おうとして引き起こされる。例えば、重度の糖尿病患者では、β酸化の過度の亢進などにより肝臓からこれらのケトン体が大量に産生される。参考:ケトン体 – Wikipedia

つまり認知症は糖尿病と同じような状態になって引き起こされているわけか?

インスリンの基礎分泌が保たれている人ではケトアシドーシスになることは無いようです。

ケトン食ってのは、昔流行った低炭水化物ダイエット的なやり方なのだろうけど、脂肪の摂取割合を増やせれば、必ずしも中鎖脂肪酸じゃなくても良さそうだけど。
中鎖脂肪酸が効率的なのかも知れないけど、金額的には高いな。

スポンサーリンク

コメントを書く

カテゴリ

プロフィール

IMG_0670
名前:yakuzaic
職業:管理薬剤師
出身大学:ケツメイシと同じ
勤務地:さくらんぼ県
好きな言葉:三流の自覚持って社会人失格の自覚持ってプロの仕事しましょう
follow us in feedly

最新の記事

人気の記事

最近のコメント

検索

スポンサーリンク

リンク

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ

タグ

治療薬一覧 調剤関連資料